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YNGWIE MALMSTEEN『FIRE AND ICE』 [音楽(洋楽)]

表題のアルバムは1992年に発表された7枚目のソロアルバムである。このアルバムの評価は、実のところ低いのであるが、彼のギター・サウンドの嵐がご機嫌なので、取り上げることにした。(普通、アルバムの評価はトータルで行うものであるが、何か一つ秀でたものがあれば、それはそれでちゃんと評価をするのが筆者の姿勢であります。)尚、筆者が所有しているのは、ボーナス・トラックなしで全14曲入りのUS盤である。

とにかく、最初の『Perpetual』のギターを聴いてもらいたい。インスト・ナンバーであるこの曲のギター・パフォーマンスは凄いものである。この後も、彼のギターに関しては聴き所が満載である。(逆に言えば、それ以外は今一なんですが...)続く曲は『Dragonfly』。ミディアム・テンポのハード・ロック・ナンバーである。曲のタイトルのシャウトで始まる『Teaser』はポップのエッセンスが入ったナンバーであるが、ギターは冴えている。『How Many Miles To Babylon』は6分を越える叙事詩的なナンバーであるのだが、聴き所はやはりギターだけなのである。(こういう所、世間はしっかりと評価している...)

続く『Cry No More』もギターを弾きまくっている彼だが、今ひとつ、サウンドに力がないと感じてしまう。しかし、ハード系のややスローなミディアム・テンポのサウンドとしてはまとまりがあるナンバーである。そこから一転して、スピーディーなハードなナンバーの『No Mercy』は、勢いだけならばRAINBOWなどにも通じるものがあるが、弦楽器のサウンドをフューチャーしたことが新鮮ではあるが、ハードロックには...という感じになってしまっているのがちょっと残念。でも、そのお詫びなのだろうか、MALMSTEENがギターを弾きまくってくれているので、良しとします。

C'est La Vie』はイントロが「あれ?」と思うナンバーであるが、その後は普通のハード系ナンバーである。その分、続く『Leviathan』ではイントロからまたもギターを弾いてくれていて、ミディアム・テンポながらもパワフルな一面を見せてくれるインスト・ナンバーとなる。アルバム・タイトル・チューンの『Fire And Ice』は立ち上がりはご機嫌なサウンドを聴かせてくれているのだが、ボーカルが入るとポップ調になっちゃって、ちょっと...(というように、ちょっとチグハグな一面も気になり出すようになってしまいます。)

続いては、またもトップ・スピードで繰り広げられる『Forever Is A Long Time』は、バリバリで疾走しているという雰囲気が伝わってくるなかなかのナンバーである。と思ったら、今度は『I'm My Own Enemy』で一転してスローなバラード調の曲(6分ちょっとの大作)になる。続く『All I Want Is Everything』はギター・ソロの立ち上がりからミディアム・テンポのハードなナンバーとなるが、完全に曲の順番を考え直してもらいたくなってしまう。(でも、ギターの演奏だけはご機嫌である。)『Golden Dawn』はギター・ソロによる1分半の短めのナンバーであるが、アコースティック系のサウンドとしては心が安まることが出来る一曲である。そして、ラストの『Final Curtain』は雷鳴の音で幕が開くということで、ちょっと期待してしまうサウンドであるが、ミディアム・テンポのナンバーということで、ちょっと肩すかし。この曲においては、雷鳴の音が全てです。

収録されている曲の方は、確かに何処か物足りなさを感じるのも正直なところであるが、MALMSTEENのギターだけは本当に素晴らしい。もう少し、アルバム製作過程で時間をかけていたら、もっと良いものになっていたであろうと思われるのが残念なところである。しかし、それでも彼のギターについてだけはじっくりと堪能することが出来る。でも、完璧なアルバムは、それはそれで楽しむことが出来るが、その一部に不満を感じるようなアルバムの方が、どことなく人間味を感じることになり、愛らしく思えてくるものでもある。

それにしても、MALMSTEENギターのテクについては五つ星の採点で星6個を付けたくなります。(実際、それだけの技量を持っているのだから...)ということで、本Blogにおける洋楽記事としては珍しく酷評をしたが、確かなギターのテクがあるMALMSTEENだからこそのことなのである。ギターのサウンドがお好きな方にはお奨めです。


 

Fire & Ice

Fire & Ice

  • アーティスト: Yngwie Malmsteen
  • 出版社/メーカー: Wea International
  • 発売日: 1998/06/30
  • メディア: CD


コメント(3)  トラックバック(1) 
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コメント 3

りょんりょん

このアルバムって密かにオリコンチャート1位を取ってるんですよね。あのインギーが(笑)。次の「セブンスサイン」も初登場2位だったりするし。あのインギーが(笑)。

個人的にはこの辺りからイングヴェイのギターの弾き方が変わってきたように思えます。これ以前はよりメロディアスにって感じだったのが、これ以降はより情熱的にって感じで。

実は自分のブログでもイングヴェイのことを総括して書こうかなって思っていたんですが、先を越されちゃいました(笑)。

私がイングヴェイの中で一番好きなアルバムはファンからは評判が悪い「War To End All Wars」だったりします。曲もギターも情熱に溢れ、背筋がゾクってくるような艶もあって。
by りょんりょん (2005-12-11 23:08) 

MEICHIKU

りょんりょんさん、コメントを返すのが遅くなってすいません。
そちらでYNGWIEの記事を書かれたら、TBをいただければ幸いです。

ところで、オリコン・チャートって、人気投票のようになっていて、
これっぽっちも権威も減ったくれも感じません。
'90年代初頭でもそうであったと思うのですが...
by MEICHIKU (2005-12-16 23:42) 

りょんりょん

記事を書いたら是非TBさせて頂きます。

オリコン自体は私も何も思ってないんですが、あの(こらこら)インギーを1位にしてどうすんねんって当時は思いました。

イングヴェイのファン層って良くも悪くも固定されていてたと思います、当時も。だから人気投票だったとしてもオリコンでする必要なんてあったのかなぁと。

箔を付ける為にレコード会社が策略したとしても、費用対効果を考えると意味がなかったような気がします。

チャートを見ていて面白いって感じるのは、売れていたと思っていたものがそんなに売れておらず(80年代のシカゴとか、せいぜいTOP10に入るかどうか>アルバム)、え?こんなんがこんなに売れてたんかっていうのがあったりして、そういうのを発見すると、過去のものほど、感慨深くなります。

イングヴェイのビルボードでの最高は「オデッセイ」の37位だったかな。
by りょんりょん (2005-12-17 15:52) 

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