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HEART『PASSIONWORKS』 [音楽(洋楽)]

表題のアルバムは1983年に発表されたものであり、この頃の彼らは'70'sの栄光からは考えられないような泥沼状態に陥っていて、バンドとしての存在も危ぶまれるようになっていた。そんな中で発表された本作は数々の試みが行われ、今までの彼らのサウンドとは大きく異なることになった。(結局、セールス的にも今ひとつであったのだが、)もがき苦しむ中でも彼らのスピリッツは失われていない。また、リードボーカルのアン・ウィルソンが今まで以上に引っ張っているようになっている所は注目である。(そういえば、本アルバムの翌年に彼女は映画「FOOTLOOSE」のサントラに参加していて、LOVERBOYのマイク・レノとコンビを組んで『Almost Paradise』という絶妙のデュエットを聴かせてくれている。)ということで、彼らを取り上げる最初に本アルバムをチョイスしたのだが、何とか聴いてもらいたいアルバムとして紹介することにする。

まずは『How Can I Refuse』で、元気に始まる。この曲はテンポの良いロック・ナンバーであって、いかにも'80'sロックというサウンドである。(この聴くから3曲続けて、TOTOのデビッド・ペイチがシンセサイザーで参加している(彼は全部で5曲に参加している))続く『Blue Guitar』はミディアム・テンポのロック・ボーカル・ナンバーとして仕上げられている。続く『Johnny Moon』にもデビッド・ペイチがシンセサイザーで参加しているが、こちらは静かなバラード調のナンバーである。続く『Sleep Alone』はビートを利かせたテンポの良いロック・チューンであり、パワフルなナンバーである。これに続く『Together Now』はややスローながらもビートの利いたロック・チューンであり、パワフルなボーカルを堪能できるのだが、今ひとつ乗りきれないサウンドになってしまっているのが残念なところである。彼ら特有のサウンドをもっと前面に出してもらいたいところである。

続く『Allies』は、最もごうかな顔ぶれが集まったナンバーである。先に記したデビッド・ペイチがピアノとシンセで、リン・ウィルソンがバックグラウンド・コーラスで参加していて、しかもこの曲はJOURNEYのジョナサン・ケインによるものである。メロディ・ラインの美しいバラードであり、本アルバムの中では最も聴き応えのあるナンバーである。続く『(Beat By) Jealousy』はパワフルなロック・バラードである。続いてはミディアム・テンポのビートを利かせたロック・チューンの『Heavy Heart』となり、アンのパワフルなボーカルは冴えを見せてくれている。続く『Love Mistake』はメロディアスなバラード・ナンバーで、切々と歌うアンのボーカルが魅力的な一曲、TOTOのD.ペイチが参加した(5曲目の)『Language Of Love』はミディアム・テンポのロックのテイストを持ったポップ・チューンになっていて、大変聴きやすいナンバーであるのだが、いかにも'80'sロックだと言わんばかりのサウンドになってしまったのがちょっと残念なところである。(TOTOが演奏するのであったら、もっと上手くまとめてくれただろう。)そしてラストの『Ambush』はTOTOのスティーヴ・ポーカロがシンセサイザーで参加した一曲であり、この曲はなかなかご機嫌なサウンドを披露してくれている。こちらであれば、'80'sロックの良いところも出てきているので、こういうサウンドをもっと意識していたら良かったと思われる。

本アルバムでは、HEART特有のサウンドというものは影を潜めていて、'80'sの売れ筋を狙ったサウンドになっているが、'80's(前半)のロックというのはもっと元気があるサウンドである。(悪いサウンドではないのだが、)全体的に元気なところが少なくなってしまったのが非常に残念なところである。が、それでも'80's(前半)のサウンドが楽しめるという点では悪くはない一枚である。(評価は低く、論外というような扱いを受けている本アルバムであるが、)こういうアルバムこそ、個人的な好みでよいので、密かな楽しみを発見してもらって、個人的に楽しんでもらいたいものである。(かなりマニアックな聴き方、楽しみ方になりますが...)

 

Passionworks

Passionworks

  • アーティスト: Heart
  • 出版社/メーカー: Epic
  • 発売日: 1990/10/25
  • メディア: CD


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