HEART『LITTLE QUEEN』 [音楽(洋楽)]
表題のアルバムは1977年に発表されたものであり、なかなかご機嫌なロックを聴かせてくれる名盤である。ジャケットは中世の雰囲気を漂わせたメルヘンチックなものであるが、サウンドはアコースティックを中心としたロック・スピリットに満ちたものである。また、本アルバムは1977年のBillboard年間アルバム・チャートでは46位に、レギュラー・チャートでは最高位9位を記録するヒットとなった。
まずは『Barracuda』でスタートするが、この曲はテンポの良いロック・ナンバーであり、ハードなロックを聴かせてくれる。当時はまだ女性がいるバンドではこのようなハードなロックというのは珍しかったが、本格的なハード・サウンドというこの曲はシングル・カットされてスマッシュヒットとなった。(1977年のBillboard年間シングル・チャートで53位、レギュラー・チャートでは最高位11位を記録している。)続く『Love Alive』はアコースティックなサウンドがややスローなテンポで展開する綺麗な一曲であり、じっくりと聴かせてくれる。続く『Sylvan Song』はアコースティックでメロディアスなサウンドのインスト・ナンバーであり、ギターのサウンドがハートフルに響いてくる。また、続く『Dream Of The Archer』とはノンストップで続いていて、ギターのサウンドがブリッジとなり、美しいハーモニーを堪能できるアコースティックなサウンドのボーカル・ナンバーへと変わっていくが、これがまたドラマティックである。
メロディアスなサウンドから再びロックのビートが炸裂する『Kick It Out』はパワフルなロック・ナンバーであり、リズミカルな一曲であり、アコースティック系のサウンドとのギャップが何とも言えない味を出していて、そこがまた本アルバムの魅力でもある。これに続くのはアルバム・タイトル・ナンバーである『Little Queen』であり、ミディアム・テンポのロック・ナンバーであり、アンのハートフルでパワフルなボーカルが魅力的である。
ここから先はアコースティック・サウンドの曲ということになり、雰囲気がゴロッと変わることになる。まずは『Treat Me Well』は静かなアコースティック・サウンドのスロー・ロックであり、じっくりと聴かせてくれる。続く『Say Hello』は同じアコースティック系のサウンドでも明るいポップ調の一曲となり、美しいコーラスを聴くことが出来る一曲である。シンプルなサウンド(特にアコースティック系のサウンド)というものは何処か心を和ませてくれる。続く『Cry To Me』もアコースティック・サウンドのゆっくりとしたコーラス・ナンバーであり、この曲がラストの『Go On Cry』にブリッジで繋がり、スローなテンポのアコースティック・ロック・ナンバーとなり、心を和ませてくれる世界が更に広がることになる。また、この曲は6分弱という本アルバムの中で最も長い曲でもあり、余韻を持った形で締めくくってくれる。
本アルバムがリリースされた1977年という年は、世界的なディスコ・ブームに火がつく直前であり、既に安定期となっていた'70'sサウンドの総決算というような一年でもあり、FLEETWOOD MACのモンスター・アルバム「RUMOURS」やEAGLESの「HOTEL CALIFORNIA」などの歴史に残る名作が数多く発表された年でもある。本アルバムはそういうアルバムと比べると、セールス面では大きく水を空けられたが、内容としては引けを取らないものになっている。じっくりと聴いてもらいたいアルバムである。
↓筆者が所有しているのはこちらと同じ全10曲入りです。
↓こちらは2曲のボーナス・トラックが追加されています。
↓一応、ピックアップしておきます。
『Barracuda』いい曲です。ツェッペリンサウンドで好きです。
ハードロックの美人姉妹ですが、全然似てないですね。
by キヨさん (2006-03-30 00:49)