「IL FERROVIERE」 [映画(洋画)]
表題の作品は1956年のイタリア映画「鉄道員」である。このタイトル(邦題)の読みは「てつどういん」であり、1999年には邦画で「鉄道員」と書いて「ぽっぽや」(降旗康男監督、高倉健主演)と読む作品があるが、全く関係ない別の作品である。この作品は、第二次大戦後のイタリアを舞台に、庶民の人生の悲哀を初老の鉄道機関士の目を通して描いたものであり、映画史に残る名作として現在まで語り継がれている作品である。(この作品も製作されてから50年ということになりました。)モノクロの映像がまたとても良い印象を出している。アルフレード・ジャンネッティ、ピエトロ・ジェルミ、ルチアーノ・ヴィンチェンツォーニという3人が脚本を書き、監督はピエトロ・ジェルミ、音楽はカルロ・ルスティケリである。出演はピエトロ・ジェルミ、エドアルド・ネボラ、ルイザ・デラ・ノーチェ、シルヴァ・コシナ、サロ・ウルツィたちである。(監督が主演もしている。)
物語は、50歳になった鉄道機関士のアンドレア。彼はその厳格な態度や律儀さから娘や息子たちからは嫌われていたが、母の存在が日々の暮らしを支えていた。そんな彼に、娘の流産、息子が不良の仲間になるということが起こり、心を苦しめられることになる。更には彼が運転していた列車に一人の青年が飛び込み、急ブレーキを掛けたが間に合わずに轢いてしまった...
音楽の方も哀愁溢れるハートフルなメロディのものであり、こちらも秀逸である。派手な仕掛けのある大作も悪くはないが、本作のような優しさに満ちた人間ドラマもいいものである。製作から50年という歳月が流れたと言うことで、本編中に登場する日常生活に関するグッズは確かに時代遅れの陳腐な印象があるが、人間ドラマの方は決して古くなるものではない。こういう作品をじっくりと見てもらいたい所である。
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