KINKS『STATE OF CONFUSION』 [音楽(洋楽)]
表題のアルバムは1983年に発表された彼らの20枚目のアルバムである。本アルバムは'60'sから活躍している長いキャリアのある彼らにとっても節目のアルバムであり、力が入っているが、アメリカで久しぶりのビッグ・ヒットとなったシングルも生まれ、'80'sという新しい時代にもその存在感を示すことになった。サウンドの方は、これまでの路線を受け継いだものであるが、アルバム・ジャケットのような楽しいサウンドも聴かせてくれている。本アルバムはシングル・ヒットの影響もあって、1983年のBillboard年間アルバム・チャートでは85位、レギュラー・チャートでは最高位12位を記録している。
収録曲は、1983年のオリジナル発表時は全10曲であったが、現在はボーナス・トラックが追加されて以下の全14曲が収録されている。(ボーナス・トラックは後ろの4曲である。)『State Of Confusion』『Definite Maybe』『Labour Of Love』『Come Dancing』『Property』『Don't Forget To Dance』『Young Conservatives』『Heart Of Gold』『Clichs Of The World (B Movie)』『Bernadette』『Don't Forget To Dance [Original Extended Edit]』『Once A Thief』『Long Distance』『Noise』。
この中からは、やはり『Come Dancing』である。テンポの良いポップ寄りのサウンドであり、聴いていても楽しくなる'80'sサウンドらしい一曲である。この曲はシングル・カットされて大ヒットを記録し、レベルの高い1983年のBillboard年間シングル・チャートでは63位、レギュラー・チャートでは最高位6位を記録している。また、そこまでのビッグ・ヒットにはならなかったが、『Don't Forget To Dance』とアルバム・タイトル・ナンバーである『State Of Confusion』の2曲もシングル・カットされてヒットを記録している。
本アルバムからの筆者のお薦め曲は、やっぱり明るく楽しい『Come Dancing』は外せない。この一曲だけを聴くと、ダンス系のサウンドと感じるかも知れないが、ブリティッシュ・ロック魂は決して忘れておらず、小気味の良いメロディ・ラインの中にも英国ロック・サウンドが根底にある。これ以外では、アルバム・タイトル・ナンバーでもある『State Of Confusion』、『Labour Of Love』、『Heart Of Gold』、『Clichs Of The World (B Movie)』という所をピックアップしておく。
本アルバムのサウンドは、明るく楽しい'80'sサウンドが前面に出ていてとても聴きやすいものであり、新たな彼らの一面をたっぷりと堪能できるアルバムである。が、それでいてイギリスのバンドらしく、ブリティッシュ・テイストを完全に捨ててはおらず、従来の彼らのファンに対する配慮も忘れていない。とにかく、本アルバムが発表された1983年は、それでなくても内容の高いアルバムが数多く発表された「黄金の一年」であり、ちょっとやそっとのものは埋没してしまうのだが、そんな中でもしっかりと自分たちのスタイルを貫きながらも、時代にマッチしたサウンドを放つところはベテランのなせる技でもある。たっぷりと堪能して楽しみましょう!
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