「ケータイ刑事」と「007」の驚くべき類似点(その2) [ケータイ刑事]
前回にシリーズの簡単なおさらいをしたが、今回はもう少し中に入って作品世界の分析を行い、「シリーズ」全体としての「類似点」について触れていくことにする。(各作品についても記し始めているが、「シリーズ」についてが長くなったということで、そちらの方は、次回以降に引っ張ります。→当初の予定では2回か3回にする予定でしたが、この調子だと何回になることか...)
どこが似ているのかというと、それは初代から6代目までのそれぞれの果たした役割、そして作品に対する評価である。役割については制作サイドで意識すれば、ある程度は近づけることが出来るが、あまりにも近づけすぎると、それは「亜流作品」と言うことになってしまう危険があり、これは下手をすれば「亜流作品」のレッテルを貼られておしまいとなる。(「007」と「ケータイ刑事」ではジャンルが違いすぎますけど...)しかし、「ケータイ刑事」が世界的な超人気シリーズの「007」を意識して制作しても、世界が違いすぎて全く意味が無いことである。ただ、「007」がイギリス・イオン・プロの看板作品であり、「ケータイ刑事」がBS-iの看板番組ということで、(組織を)しょって立つ作品であるという共通点こそありますが、市場が全世界と日本という違いもあります。が、ヒット作にはある種の共通点が(不思議と)存在するのもまた事実である。(偶然とは恐ろしいものなのである。)
一方、「評価」については、これは制作サイドが意識しても得られるものではない。その作品を見た人たちが感じることであって、制作サイドが下手な細工をしようものならば、総スカンを食らう可能性もある。(こうなったらどうしようもなく、消えるしか道は残されていない。)
が、「ケータイ刑事」には「007」を意識しているような姿勢は全くなく、ポップで明るく楽しい独自の世界を突き進んでいる。強いて言えば、「銭形泪」の時に、1度だけ(2nd.10話)「007」を意識した物語があり、第3クールのOP映像で「007」を意識していた所があるが、これだけである。が、その物語も、「ケータイ刑事」では数多くの映画のパロディ(最近の大作映画から、かなり昔の作品、マニアックな作品、日本国内では評価が低いが外国では高く評価されている邦画まで、実に幅広い。)の一つという位置づけに収まっている。
で、視聴者が面白いと感じる作品、高く評価される作品は、視聴者それぞれの主観によって下されるものであるので、多くの人が「面白い」と感じる作品には、無意識の内に共通点が存在するのであろう。(だからこそ「面白い」という(同じ)評価が成される。)ということで、「傑作」の評価はどこかで似る、ということになるのである。が、シリーズを通してもその評価が似ているというのも、また面白い所であり、凄い驚くべきところなのである。
これは「評価」ではないが、自然発生的に言われることになったものであるが、「ボンド」も「ケータイ刑事」も、演じることになったら「起用」という言葉ではなく、「襲名」と言う言葉が使われる。これはその名前が偉大な先人の後を受け継ぐ場合に使われる言葉であり、「師匠の名前を襲名する」と言うように、とても名誉なことである。また、その名前が偉大なものであり、伝統あるものであるという証でもある。(まだ誕生して5年に満たない「ケータイ刑事」において、この言葉が使われることが凄いことである。)
物語の方は、「シリーズ特有のお約束」があり、それがしっかりと受け継がれているという所が両者の類似点の一つである。とは言っても、最近は「007」のお約束は随分と様変わりしてきていて、ボンドガールの扱いが大きく変わった。が、ボンドがボンドガールと良い関係になるという部分は変わっていない。「ケータイ刑事」でも、身分証明の際に、警察手帳と学生証を間違える、というものは初代からしっかりと5代目まで受け継がれていて、6代目も第1話でしっかりとやってくれることでしょう。
そして、そのお約束に付随する形で、お馴染みの台詞も存在している。「BOND, JAMES BOND」「お見知りおきをお仕置きに変えてやる」「人呼んでケータイ刑事銭形○」はこれを耳にするだけでワクワクしてくる台詞でもある。
「007」の華の一つにQの開発する秘密兵器の存在がある。その秘密兵器をボンドに支給する際、Qが説明してくれるが、その時点では「そんなもの、本当に必要なの?」と思ってしまうが、それがその任務において、必ずしっかりと役に立つことになるのだが、このシチュエーションも「ケータイ刑事」にもある。冒頭で銭形とたわいもない話題をしている相棒だが、その時点では単なる日常会話としか感じられないのだが、事件が発生して捜査を開始すると、たわいもないはずの会話が事件を解く鍵になる、というものである。物語の上では「無駄のない展開」という言葉が片付けられるが、これは装備を準備するQにしても、話題を切り出す相棒にしても、ひょっとしたら予知能力があるのではないか、と思ってしまうぐらいである。ということで、実に(ストーリー展開に)無駄がないという「類似点」が存在する。(これは限られた時間の中でストーリーを展開させるとなると、無意識の内に行われることであり、他の作品でも大なり小なり、こういう部分はありますけど、この両者の超能力者的な所は凄いとしかいいようがない...)
どちらの作品も、ある事件が起こり、その快傑の為に主人公が動く、という共通点があるため、それぞれの物語(「007」では映画ごと、「ケータイ刑事」は1話ごと)に共通するキャラクター(これを「レギュラー」と言う:ボンド、マネーペニー、M、Q/銭形、相棒、鑑識)と、その物語だけに登場するキャラクター(これを「ゲスト」という:敵のボス、手下の殺し屋、ボンドガール/犯人、被害者)がいる。この辺りは似ていて当然であるが、レギュラーのキャラクターが物語でどれだけ見せてくれるかで、物語の盛り上がり方に大きく影響する。(脇が出過ぎると主役が霞んでしまうし、出ないと主役だけが目立つことになってしまうので、そのバランスが難しい。)そんな中で、Qと鑑識・柴田のキャラクターが似ているというのがまた面白いところである。(どちらもその分野においては超一流のプロで)あるが、共に多趣味で知識の幅が広い。レギュラーの数はほんの一握りの限られた数になるため、何でも出来るという、所謂「スーパー・サブ」というキャラクターが用意されているのは興味深い所である。
ということなので、「007」と「ケータイ刑事」は骨格部分に関しては、共通している所が結構あるのである。が、全く違う世界観を構築しているというのは、例えば、建築物の基本構造である柱や梁の構造は同じでも、内装や外装の違いで全く雰囲気の違う建物になるということと同じである。(良いものには共通したものがあるということでもある。)
とりあえず、シリーズとしての共通点はこれぐらいにしておくが、「シリーズ全体」についての類似点は、後ほど第2弾も用意しています。
次回は「初代」のショーン・コネリーと銭形愛に関してから述べていくことにします。(これがまた色々と共通点がありまして...)
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