「眠狂四郎」(その7) [映画(邦画)]
今回で「眠狂四郎」は最後となる。今回は、市川雷蔵の死後、松方弘樹を眠狂四郎に起用して製作されたシリーズについてです。(シリーズと言っても、2作品で幕を下ろすことになりましたが... →やはり、雷蔵のはまり役だっただけに...)これで鶴田浩二の3本、雷蔵の12本と合わせて全17本の映画は終わりである。この後、「眠狂四郎」はTVドラマ化されるなどていて、根強い人気のあるキャラクターとして時々お目にかかることもあります。
まずは、松方・狂四郎の第1作「眠狂四郎 円月殺法」
作品データを記すと、1969年の大映京都の作品で、時間は82分である。原作は柴田錬三郎、監督は森一生、脚本は高田宏治と高橋稔の2人、撮影は武田千吉郎、音楽は小杉太一郎である。そして出演は、松方弘樹、佐藤友美、梓英子、中原早苗、長谷川待子、成田三樹夫、川津祐介、たちである。
雷蔵最後の作品の公開は1969年1月であったが、本作は1969年の10月、雷蔵の死後3ヶ月であった。松方弘樹が眠狂四郎を演じ、一応は大映のシリーズ第13作という扱いになっている。
ふとしたことから、徳川家慶主従の刃に追われる娘・志津を助けた狂四郎は、将軍の世継ぎをめぐる争いに巻き込まれてしまう。陰謀の裏には世継ぎ・家慶になりすました双子の弟と、その黒幕の大目付の陰謀があった...
そして、シリーズ最終作となった「眠狂四郎 卍斬り」
作品データを記すと、1969年の大映京都の作品で、12月に公開された。また、時間は88分である。原作は柴田錬三郎、監督は池広一夫、脚本は依田義賢、撮影は武田千吉郎、音楽は渡辺岳夫である。そして出演は、松方弘樹、南美川洋子、松岡きっこ、田村正和、笠原玲子、しめぎしがこ、御影京子、たちである。(本作で混血の刺客を演じた田村正和は後のTVドラマ化された時に狂四郎を演じることになったが、こういう所は面白いところでもある。)
狂四郎は、岸和田藩家老の内藤主水から主君寵愛の女・理江を殺すよう頼まれるが、このことから狂四郎は老中の座をめぐる岸和田、薩摩両藩の争いに巻き込まれるが...
松方が演じる眠狂四郎は、前任者・市川雷蔵と比べられると、どうしても色気の面が不足して... と必ず言われてしまうが、ちょっと尻すぼみのような感じでシリーズに幕が下ろされたのはちょっと残念な所である。
が、前任者の雷蔵・眠狂四郎があまりにもはまり役だっただけに、彼の死後、僅か3ヶ月後に公開されたというのは、偉大な前任者のイメージを払拭するにはあまりにも時間がなさ過ぎた。それでなくても偉大な前任者の人気シリーズを受け継ぐとなると、嫌でも比較されてしまうだけに、これは製作サイドにもう少し考えるべきだったのではないだろうか。ということで、今回の2作品は、冷遇されている作品でもある。が、「眠狂四郎」シリーズを見るからにはしっかりとチェックとしておきたい作品である。
↓本作はDVD化されていません。
- 出版社/メーカー: 大映
- 発売日: 1991/03/08
- メディア: ビデオ
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