MIKE OLDFIELD『THE KILLING FIELDS』(SOUNDTRACK) [音楽(サントラ)]
表題の作品は1984年のイギリス映画「キリング・フィールド」である。この作品は、ピューリッツァ賞を受賞したシドニー・シャンバーグのノンフィクションが原作で、1970年代のカンボジアで起こった赤いクメール内乱を舞台に、アメリカ人記者と現地カンボジア人ガイドとの友情を描いたものである。また、サントラ盤は長いキャリアを持つMIKE OLDFIELDが初めてサントラ盤に挑んでいて、彼名義のアルバムとして扱われている。(770'sであれば珍しいことではなかったが、'80'sになるとこういう形のものは珍しくなった。)
映画データを記しておくと、製作はデヴィッド・パットナム、原作はシドニー・シャンバーグ、監督はローランド・ジョフィ、脚本はブルース・ロビンソン、撮影はクリス・メンゲス、音楽はマイク・オールドフィールドである。そして出演は、サム・ウォーターストン、ハイン・S・ニョール、ジョン・マルコヴィッチ、ジュリアン・サンズ、クレイグ・T・ネルソン、ビル・パターソン、スポルディング・グレイ、グレアム・ケネディ、パトリック・マラハイド、ネル・キャンベル、たちである。尚、撮影のクリス・メンゲスはアカデミー撮影賞を、そしてハイン・S・ニョールはアカデミー助演男優賞を獲得している。
混乱するカンボジア、切迫した生死の描写がフィクションではないかとまで言われた狂気に満ちた世界を描いていて、映画の方は実に内容があるが、音楽の方もそれに負けないだけの充実したものになっている。サントラ盤はMIKE OLDFIELDのアルバムでもあるのだが、キャリアのあるベテランがその力量を十二分に発揮している。(で、彼はこの後もサントラ盤にも関わっていくようにもなりました。)
サントラ盤の収録曲は以下の全17曲である。『Pran's Theme』『Requiem For A City』『Evacuation』『Pran's Theme 2』『Capture』『Executive』『Bad News』『Pran's Departure』『Worksite』『Year Zero』『Blood Sucking』『Year Zero 2』『Pran's Escape/The Killing Fields』『Trek』『Boy's Burial/Pan Sees The Red Cross』『Good News』『Etude』。
サントラ盤と言うことで映画の雰囲気を損なわないような音作りがされているが、これがなかなか良い味を出していて、ジャングルの雰囲気が良く出ているサウンドがここにある。20年もの時が流れれば、テクノロジーの進歩によって、当時の最新技術を使ったものであっても陳腐化してしまった印象を受けるのだが、本アルバムにはそういう所は一切無く、現在でも新鮮みを感じることが出来る。
サントラ盤としても秀逸であるが、MIKEのアルバムとしても完成度が高いアルバムであり、オールド・ファンも新たなファンも、しっかりと聴いてもらいたいアルバムである。尚、'80's中期のサントラ盤としたら、セールスの点では本アルバムの上を行くものは多数あるが、クオリティは間違いなくトップクラスである。
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