「野良猫ロック」(その3) [映画(邦画)]
WOWOWが2夜に分けて本シリーズ全5作を一挙放送したが、今回取り上げるシリーズ第3作からは2日目の放送でした。ということで、今回は1970年のシリーズ第3作「野良猫ロック セックス・ハンター」です。シリーズ作品であるが、前作までとは完全に独立した別の物語である。
まずは作品データを記しておく。1970年の日活の作品で、時間は85分である。監督は長谷部安春、脚本は大和屋竺と藤井鷹史の2人、撮影は上田宗男、美術は佐谷晃能、音楽は鏑木創である。そして出演は、梶芽衣子、安岡力也、藤竜也、岡崎二朗、英美枝、小磯まり、青木伸子、有川由紀、美波節子、秋とも子、たちである。
梶芽衣子さんがカッコイイのは言うまでもないが、本当にクール・ビューティでしびれます。また本作では、いよいよあの名台詞「バッキャロー!!」が出てきます。(WOWOWの放送でも「バッキャロー・ナイト」ということになっていました。)尚、前作までの2本では梶さん演じる役は劇中ラストで死んでしまったが、本作では死んではいない。
本作の注目点は、安岡力也(現在の力也)である。現在の凄味のある貫禄は全くなく、細身であって実にスマートである。この後、主に悪役を演じるようになったが、(当時の言い方をすると)なかなかハンサム(現代風に言えば「イケメン」)である。→これだけでもチェックしておく価値はあるでしょう。
物語は、米軍が引き上げた基地の町・立川を舞台に、対立するいくつかのグループの間で起こるいざこざを描いたものである。梶さん演じるマコが率いる不良少女グループ、バロンをリーダーとする不良少年グループ・イーグルス、混血児たちのグループが絡み、妹を捜している流れ者の数馬が絡む。数馬は妹の手掛かりを掴み、彼女に会うが、彼女は堕落した姿を兄に知られたくないと思い、妹ということは口にしなかった。一方、バロンは、姉を黒人兵に犯された過去があり、そのために町から混血児や黒人たちを嫌っていて、町から追い出そうと画策する。そして同時に邪魔な存在の不良少女グループを一掃するために白人に売り飛ばす計画も進めるが...
物語の展開は、これまでの2作と同様に、暴走して自滅する若者の姿を描いているのだが、本作では暴力が次第にエスカレートしていくというのは理解できるが、それがまたとんでもない領域まで達する。白人に売られそうになった仲間を助けるために火炎瓶を使うマコ、混血児の数馬を挑発するために妹・メグを犯すバロン、妹が手籠めにされた怒りからカービン銃を手にして乱射する数馬、というように、物語の中盤からは完全にバイオレンス映画のようになっている。(ツッコミ所も満載ですけど...)日活が得意とした無国籍アクション・シリーズのような雰囲気があるのもまた面白い所である。
尚、劇中では何曲かの歌が登場するが、その部分がサイケデリック調な演出がされていて、時代を考えたら少しだけ時代遅れという感じがするのもまた興味ある所である。そんな中、梶芽衣子や安岡力也たちも劇中歌を歌っているが、この部分は要チェックである。
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