「野良猫ロック」(その5) [映画(邦画)]
懐かしの邦画ヒーローの第10弾として取り上げいる「野良猫ロック」シリーズも今回がラストとなりました。WOWOWが2夜で全5本を放送したが、これはコレクションするにはとても良いのだが、見る方は結構辛い所があるものです。(5本でトータル約7時間となります。)で、シリーズ最後の1本は1971年の「野良猫ロック 暴走集団'71」である。(撮影は1970年に行われているが、公開は'71年になり、タイトルにもその年が入っている。)シリーズ作品であるが、やはりこれまでの4作品とは独立した別の物語である。
まずは作品データをしるしておく。本作は1971年のホリプロと日活の作品ということで、両社の名前が入っている。時間は87分である。監督は藤田敏八、脚本は永原秀一と浅井達也の2人、撮影は萩原憲治、美術は千葉和彦、音楽は玉木宏樹である。そして出演は、梶芽衣子、原田芳雄、藤竜也、司美智子、夏夕介、地井武男、郷鍈治、青木伸子、高野沙里、小磯マリ、久万里由香、鈴木利哉、たちである。
物語は、新宿を寝座とする奇抜で陽気なフーテンの若者たち。彼らはピラニアをリーダー格にしてレモン、シンコ、振り子、隆明、マッポたちがメンバーである。ある日、振り子と隆明は早朝にじゃれていると、ミリタリー・ルックのブラックSSという一団が現れて絡んでくる。抵抗した隆明はブラックSSの一人を刺してしまうが、ブラックSSに連れ去られてしまう。が、ブラックSSはある地方都市の有力者の息子である隆明を連れ戻しにやって来たのだった。一方、振り子は隆明が刺した男を殺した罪を被って逮捕され、刑務所に送られる。が、妹と一緒に脱走した振り子は隆明のいる町に向かい、妹の知らせを受けてピラニアたちも振り子を守るために、隆明のいる町に向かった。振り子は隆明の父の芽以を受けた配下の男たちに拉致されて地下室に監禁されてしまう。ピラニアたちはそれを聞きつけると、町外れの空いている別荘をアジトにして振り子を救い出そうとするが、町の住民たちがピラニアたちを追放しようとする。そんな中、振り子への愛が甦った隆明は振り子を連れて脱出してピラニアたちがいる鉱山跡地へと向かう。が、そこから町の住民たちを巻き込んで、ピラニアたちとの間で壮絶な戦いが始まる...
本作では、梶芽衣子さんは振り子を演じているが、あんまり見せ場がない。(フーテンの一段にいるとはいっても、みんなのヒロインという感じで、お嬢さんと言った感じである。→こういう梶さんというのもまた別の意味で良いのですけど...)冒頭でいきなり捕まり刑務所へ。で、脱走するが、この部分は後の「女囚サソリ」シリーズに繋がることを思えばちょっと面白い。
ピラニアたちの一段は、当時の世相を反映したスタイルであり、'60's終盤から'70's初頭という時代を知る上では楽しい所である。また、地方の町に向かうのに5人乗りの自転車を使うなど、生活を楽しんでいるというスタイルもまた面白い。クライマックスの対決は、ウエスタン村が舞台になるが、これはまた日活が得意とした無国籍アクション作品の雰囲気があって、ちょっとワクワクしてくる所である。(その分、色々と突っ込んで下さい、と言っているようでもある。)
クール・ビューティの梶芽衣子さんを期待すると肩すかしを食らうことになるが、今までの4作とは違ったセクシーな所を魅せてくれていて、抑える所はしっかりと抑えていてくれてます。
それにしても、梶芽衣子さんや藤竜也といった面々は「'70's」という独特の時代には見事にマッチしているということを大きく感じさせてくれました。
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↓参考まで
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- 作者:
- 出版社/メーカー: ウルトラヴァイヴ
- 発売日: 2006/12
- メディア: 単行本
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