「網走番外地」(その8) [映画(邦画)]
「網走番外地」シリーズの8回目となる今回(新シリーズについて述べだしての第2回)は、1969年に製作された新シリーズの第2作と第3作(通算では第12作と第13作ということになる)の2本です。
第12作「新網走番外地 流人岬の血斗」
作品データを記しておくと、1969年の東映東京の作品で、時間は109分である。(シリーズ全18作の中で最も時間の長い作品である。)原案は伊藤一、監督は降旗康男、脚本は村尾昭、撮影は林七郎、美術は中村修一郎、音楽は八木正生である。そして出演は、高倉健、土田早苗、岩崎加根子、志村喬、大木実、菅原謙次、山城新伍、由利徹、吉田昌史、安部徹、福山象三、長谷川弘、たちである。
物語は、懲役房入り17回という記録保持者である末広勝治の処遇に困った網走刑務所に、四国・松川刑務所からある依頼書が舞い込んだ。で、模範囚に仕立てられた末広は、同僚の宮田と共に松川刑務所にやって来た。が、そこで末広たちを待っていたのは、造船所を乗っ取ろうとした暴力団・矢頭組と手を組んだ所長の陰謀があった...
泥臭さに満ちあふれた東映作品らしい展開であるが、基本的なパターンは「網走番外地」シリーズの時と変わっていない。ちょっと小さく纏まってしまったという印象のある1本である。
第13作「新網走番外地 さいはての流れ者」(1969)
作品データを記しておくと、1969年の東映東京の作品で、時間は93分である。原案は伊藤一、監督は佐伯清、脚本は村尾昭、撮影は飯村雅彦、美術は藤田博、音楽は八木正生である。そして出演は、高倉健、星由里子、谷隼人、南利明、由利徹、水島道太郎、山本麟一、下沢広之、須賀不二男、今井健二、土山登士幸、たちである。
物語は、久しぶりに北海道に帰って来た末広勝治と子供のふれあいを描いたものである。末広は幼い正一をつれてオホーツク海に面した小さな漁港にやって来た。その港では、漁業権を独占しようとした田丸組が幅をきかせていて、その悪徳ぶりに末広が立ち上がる、というものである。少年のために金を稼ごうとする末広というのは、本シリーズでは似合わない設定であって、別の作品としてもらいたい所である。ストーリー展開はいつものものであるため、最初に感じた(主人公の)違和感が最後まで浮かんでしまったのが辛い所である。
この年の2本は、物語の展開は今までの作品と変わらないものの、「網走番外地」ということではどうも違和感を抱いたしまうものであった。(まあ、「新網走番外地」シリーズだと言ってしまえばそれまでですけど...)ということで、やっぱり石井輝男監督の「網走番外地」が恋しくなりました。
↓DVD化されていないので、ビデオです。
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