「てなもんや」(その2) [映画(邦画)]
今回は、TVシリーズで人気が出たということで、映画が製作された1963年の2作品(シリーズ第1作と第2作)についてです。この2本はTVシリーズの延長線上にあるような作風と展開である。
シリーズ第1作「てなもんや三度笠」(1963年)
作品データを記しておくと、1963年の東映京都の製作で、時間は81分、白黒作品である。原作は香川登志緒、監督は内出好吉、脚本は野上竜雄、撮影は羽田辰治、音楽は古川益雄である。そして出演は、藤田まこと、白木みのる、平参平、大村崑、芦屋雁之助、大泉滉、秋田Aスケ、秋田Bスケ、夢路いとし、喜味こいし、たちである。
喧嘩は弱いが、ハッタリを利かすのは上手い大阪生まれの浪花っ子であるヤクザのあんかけの時次郎。ひょんなことから小坊主・珍念と知り合い、二人は旅に出る。当時は清水次郎長を斬って日本一になることを誰もが目指していたことから、時次郎と珍念も清水に向かった。道中でハッタリを利かせて殺し屋のリーダーになった時次郎だったが、次第に怖くなり、お金を持って逃げようとする。が、それが見つかってしまう。が、上手く難を逃れた時次郎は自信を持った。清水に到着すると、時次郎は次郎長一家に草鞋を脱ぐ。そんな時、次郎長一家に黒手一角という浪人から果し状が届いた。その時、次郎長一家は食あたりで苦しんでいて、果たし合いに行くことが出来なかった。しかたなく時次郎が立ち会うことになったが...
時次郎と珍念の出会いから描かれていると言うことで、最初に見ておきたい1本である。TVシリーズと同様にギャグが満載で、楽しくなってくる作品である。
シリーズ第2作「続てなもんや三度笠」(1963年)
作品データを記しておくと、1963年の東映京都の製作で、時間は76分、白黒作品である。原作は香川登志緒、監督: 内出好吉、脚本は沢田隆治と鈴木則文の2人、撮影は羽田辰治、音楽は小沢秀夫である。そして出演は、藤田まこと、白木みのる、香山武彦、大村崑、大宮敏光、吉田義夫、大宮敏充、西崎みち子、富久井一朗、清川虹子、坂口祐三郎、E・H・エリック、たちである。
日米通商条約の調印のためにごった返している下田の町にやってきた時次郎と珍念。下田の町は東屋一家と西屋一家が町を二分して対立していた。また、対立する東屋のボス・伝兵衛の一人娘・お雪と、西屋の女ボス・お兼の一人息子・新太郎は恋仲同志という事情があった。時次郎は、まず東家一家に草鞋を脱いだが、ボス・伝兵衛はカルメラ焼きに凝っていて、時次郎たちをこき使うだけだった。で、嫌気が差した時次郎は西家に向かって脱走する。が、西家でも時次郎たちはこき使われるだけだった...
ベースにあるのが「ロミオとジュリエット」であり、時次郎と珍念もその恋の物語に絡んでいくことになる。が、その前に二人は、世の中易々と上手くいくはずがないということを身を以て体験することになるが、それが面白おかしく描かれている。エネルギッシュな笑いがたっぷりと笑わせてくれる楽しい作品である。
両作品とも製作から45年という歳月が流れたが、現代劇ではないということで、時代の進歩による違和感を感じることが全くなく、笑いの世界に引きずり込んでくれる。大阪の笑いをたっぷりと堪能できる作品である。それにしても、是非ともDVD化して貰いたい所である。
↓ビデオです。
↓TVシリーズの傑作選を
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