「ビルマの竪琴」('1956) [映画(邦画)]
市川崑監督が亡くなったということで、急遽本作をピックアップします。(ご冥福をお祈りいたします。)
この作品は1985年にリメイクされているが、取り上げるのは1956年に二部構成として製作されたオリジナル版(旧作)の方である。第一部と第二部に分けられて、第一部の劇場公開から3週間後に第二部が劇場公開された。尚、ビデオソフト化された時には、「ビルマの竪琴(総集編)」として1本の作品に編集されてリリースされた。また、本作は受賞こそ逃したが、アカデミー賞の外国語映画賞部門にノミネートされている。また、ヴェネチア映画祭ではサン・ジョルジョ賞を獲得している。
作品データを記しておくと、1956年の日活作品で、白黒作品である。スタッフとキャストは第一部と第二部で同じである。(当然です。)時間は、第一部が63分、第二部が81分である。(ちなみに、ソフトの「総集編」は116分である。)原作は竹山道雄の同名小説であり、監督は市川崑、脚本は和田夏十、撮影は横山実、美術は松山崇、編集は辻井正則、音楽は伊福部昭である。そして出演は、三国連太郎、安井昌二、浜村純、内藤武敏、西村晃、春日俊二、中原啓七、伊藤寿章、土方弘、青木富夫、花村信輝、峰三平、千代京二、小柴隆、宮原徳平、加藤義朗、深江章喜、成瀬昌彦、天野創治郎、小笠原章二郎、森塚敏、長浜陽二、北林谷栄、沢村国太郎、中村栄二、佐野浅夫、三橋達也、伊藤雄之助、たちである。
1945年夏、ビルマからタイへと逃れようとしていた日本軍の井上小隊。その中には竪琴が得意な水島上等兵がいた。そんな彼らは、国境の近くで終戦を知り、武器を捨てた。そして南のムドンの収容所に送られることになる。しかし水島だけは三角山を固守して抵抗を続ける日本軍に降伏の説得をするために向ったまま消息を絶った。ムドンに着いた井上小隊は、収容所に出入りする物売りに水島を探すことを頼むが、水島の生死は判らなかった。そんな中、作業に出た小隊は青いオウムを肩にのせた水島に瓜二つのビルマ僧の姿を見掛けた。で、声を掛けたが、僧侶は走り去ったしまった。が、僧侶は水島であり、三角山の戦闘の後、ムドンへ向かう道で数多くの日本兵の白骨化した死骸を見て、今は亡き同胞の霊を慰めるためにこの地に留まることを決意したのだった...
有名な小説の映画化作品であるので、ストーリーの方は誰もが知っているでしょう。が、小説では頭に思い浮かべるしかなかった音楽(「埴生の宿」や「仰げば尊し」)を聴くことが出来るが、これがウルウルさせてくれる所でもある。音楽が持っているものというのは、やっぱり凄いものだということを改めて感じさせてくれる所でもある。
また、本作は白黒作品ということで、水島との連絡に使われる青いオウムも白黒であるが、色があるように感じるだけ、しっかりと描かれてている。白黒ならではの光と影が豊かな描写力と相まっているということであるが、こういう所にも「名作」と言われるだけの貫禄がある。
終戦から60年以上が流れた現在、遠い過去の出来事として忘れ去られようとしているが、構成に語り継いでいかなければならないものが本作にはしっかりとある。それを知るには良い機会であろうから、一度は見てもらいたい作品である。(リメイク版よりもオリジナル版の方が絶対にお薦めです。)
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