「TELL THEM WILLIE BOY IS HERE」 [映画(洋画)]
表題の作品は1969年のアメリカ映画「夕陽に向って走れ」である。実話を元にした作品である。公開当時「ニュー・ウエスタン」として話題を呼んだ作品でもある。尚、A.ポロンスキー監督は、ハリウッドの赤狩りの犠牲となった一人であり、1967年の「刑事マディガン」で19年ぶりに復帰したが、それに続く復帰第2作でもある。
作品データを記しておくと、時間は96分、原作はハリー・ロートン、監督と脚本はエイブラハム・ポロンスキー、撮影はコンラッド・L・ホール、音楽はデイヴ・グルーシンである。そして出演は、ロバート・レッドフォード、キャサリン・ロス、ロバート・ブレイク、スーザン・クラーク、バリー・サリヴァン、ジョン・ヴァーノン、チャールズ・マッグロー、たちである。
祭の時にインディアン保護区に戻ってきたウイリー・ボーイ。彼は最愛のローラとの結婚を承諾して貰うためにローラの父に会にやってくるが、銃で追い払われる。で、ウイリーはローラと駆け落ちすることを決意する。が、それを止めようとする父をウイリーは誤って射殺してしまった。で、ウイリーとローラの逃避行が始まった。事件を知った保護区監督官は保安官補・クーパーにウイリーの逮捕を依頼し、クーパーは遊説中の大統領護衛に行く所であったが、追跡隊を組織してウイリーを追った。が、ウイリーの巧妙な逃亡法により追いつけず、大統領護衛の任に向かうクーパー。しかし、他の追跡隊の者たちは追い続ける。ローラと共に岩山の砦に立て籠もったウイリーは追跡隊に追いつかれ、ウイリーの撃った弾が追跡隊の一人に命中し、事実が歪曲して広がっていくことになる。それを聴いたクーパーは再び追跡隊に加わり、ウイリーを追う。そうしていると、ローラの死体が発見された。自殺なのか、ウイリーによって殺されたのか、結論は出なかった。そんな中、クーパーがウイリーを追いつめた。銃を手に向かい合う二人。次の瞬間、ウイリーが倒された。が、ウイリーの銃には最初から弾が込められていなかった...
当時、アメリカン・ニューシネマと言われる作品が次々と生まれてきたが、本作を「ニュー・ウエスタン」と呼んだのは、ニューシネマのスタイルが本作にもしっかりとあるためである。但し、ニューシネマでは、反体制的な人物が体制に敢然と闘いを挑んでいくか、刹那的な出来事に情熱を注ぐものが多いが、本作はこれにはぴったりと当てはまらない。が、若者が主人公であって、最後は体制側に圧殺される、という所は「ニューシネマ」の要素を備えている。ということで、「ニューシネマ」には含まれず「ニュー・ウエスタン」と言われたが、この言葉は特に定着することはなかった。が、ニューシネマと言われる作品に共通する切なさを感じる作品であり、もっと評価されても良い作品だと思うのですが... 一度は見てもらいたい作品である。
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レッドパージ・ハリウッド―赤狩り体制に挑んだブラックリスト映画人列伝
- 作者: 上島 春彦
- 出版社/メーカー: 作品社
- 発売日: 2006/06
- メディア: 単行本
American film 1967-72―「アメリカン・ニューシネマ」の神話 (Neko cinema book―Academic series)
- 作者:
- 出版社/メーカー: ネコ・パブリッシング
- 発売日: 1998/03
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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