TwellV・神宮前名画座「MOROCCO」 [映画(洋画)]
今週の神宮前名画座は、1930年の名作「モロッコ」でした。この作品は、日本の映画史においては、初めて日本語字幕を入れた作品として名前が残っている作品でもある。今では「字幕スーパー」は当たり前になっているが、当時としては大いなる冒険でもあった。また、作品としても、「嘆きの天使」という名作を生み出したジョセフ・フォン・スタンバーグ監督がドイツからアメリカに戻り、ドイツで学んだトーキーの技術をまんべんなく発揮した作品であり、アカデミー賞は4部門にノミネートされたが、1つも受賞できなかったものの、やはり映画史に残る名作メロドラマである。
日本語吹き替えと原語の二ヶ国語放送で、字幕スーパーはないという放送フォーマットであるが、M.ディートリッヒの歌の所は吹き替えではなくて原語がそのまま流れ、その部分にだけ字幕が出たが、欲を言えば字幕版として見たい所でした。(が、メロドラマを堪能する上では支障にはならないですが...)
作品データを記しておくと、1930年のアメリカ映画であり、時間は95分、白黒作品である。原作はベノ・ヴィグニー、監督はジョセフ・フォン・スタンバーグ、脚本はジュールス・ファースマン、撮影はリー・ガームス、音楽はカール・ハヨスである。そして出演は、ゲイリー・クーパー、アドルフ・マンジュー、マレーネ・ディートリッヒ、ウルリッヒ・ハウプト、ジュリエット・コンプトン、フランシス・マクドナルド、アルバート・コンティ、イヴ・サザーン、マイケル・ヴィサロフ、ポール・ポルカシ、たちである。
モロッコに駐屯するドイツの外人部隊。トムというアメリカ兵士は部隊一のプレイボーイであった。そんなトムは酒場の女・エイミーに一目惚れする。エイミーは自分に言い寄る男たちを尻目に、トムに人一倍の好意を示し、自分のアパートでトムと逢い引きをする。そして、トムはますますエイミーの魅力に惹きつけられる。が、彼女の虜となることを恐れて去っていく。が、街で一騒動があって、トムは街を騒がせたとして、懲罰の意味もあって、トムは危険なサハラ戦線に送られることになる。出発の日、別れを告げようとしたトムだったが、一人の紳士がエイミーにプロポーズするのを目にして、一通の手紙を残して立ち去った。それから暫くして、エイミーはトムが負傷したと耳にして、現場に噛む付けたが...
G.クーパーの伊達男ぶりもさることながら、M.ディートリッヒの魅力に満ちた作品である。独特の歌声は味があり、魅せられるところである。
また本作には、その後の幾多のラブ・ストーリーにおいて引用された描写が幾つも登場するというように、映画史に残る名シーンが数多くあり、映画ファンであれば、見ておくべき作品だということを改めて感じた所であった。
来週はヴィヴィアン・リー主演の1940年の「哀愁」が放送されます。
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