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「日本一の男」(その6) [映画(邦画)]

懐かしの邦画ヒーローシリーズの第18弾として記している植木等主演の「日本一の男」シリーズについて述べてきたが、今回がその最後ということになる。今回は残っているシリーズ第9作と第10作の2本です。(しかし、この2作はDVD化されていない。製作当時はともかく、劇中に風俗関係が出てきていて、当時の言葉が使われていることあたりが原因でしょうか?→時代を感じる作品と言うことにもなります。)

シリーズ第9作日本一のワルノリ男」(1970年)
作品データを記しておくと、1970年の東宝と渡辺プロの作品で、時間は87分である。監督は坪島孝、脚本は田波靖男、撮影は鷲尾馨、美術は阿久根巌、音楽は山本直純である。そして出演は、植木等、加藤茶、浜美枝、内藤洋子、辺見マリ、小山ルミ、山口火奈子、人見明、北あけみ、田武謙三、高品格、佐々木孝丸、石田茂樹、二瓶正也、大前亘、木村豊幸、矢野間啓二、水上竜子、小磯まり、塩沢とき、谷啓、たちである。尚、主人公の名前は日本兵介である。

東北のある高校の教師・日本兵介。教え子の白坂八郎が就職先の世界陶器という会社での愚行を詫びるために上京する。で、持ち前のワルノリぐせを発揮して、八郎をつれ戻すまでの間、世界陶器に勤めることになる。白坂を捜す兵介はトルコ風呂(現在はソープと言いますが、製作された年を考えて、あえて「トルコ」と記します。)に行き、そこでトルコ嬢・ミチに見初められる。で、昼は会社、夜はポン引ということになる。そんな中、工場の欠員は任せろと女専務に見得を切り、ミチを口説いて、その仲間も誘い、トルコ嬢立が世界陶器に押しかけることになった、で、この功績を認められて兵介は宣伝係長に抜擢されることになった。更に、宣伝で撮影した看板が大評判をとなり、兵介は営業課長に昇進する。続いて新しいホテルへの売り込みも成功、総務部長へと昇進する。そんな中、常務の斉田が社長の座を狙って暗躍。専務の友紀子は自分のポストを兵介に譲る。が、そこに姿を現した白坂に兵介はその座を譲り、田舎へ帰って行った...

ノリは今までの作品と同じであり、調子よく出世していく物語である。が、今までの作品と違って、主人公が無責任男ではなくて、責任を強く感じる男という逆転の発想となっていて、これが今ひとつ乗れない所でもある。ある意味では、植木等が演じる兵介ではなくて加藤茶が演じる白坂の方が、これまでの主人公らしいキャラでもある。

シリーズ第10作日本一のショック男」(1971年)
作品データを記しておくと、1970年の渡辺プロ作品で、時間は93分である。監督は坪島孝、脚本は田波靖男、撮影は鷲尾馨、美術は阿久根巌、音楽は萩原哲晶である。そして出演は、植木等、酒井和歌子、谷啓、加藤茶、梅田智子、田中邦衛、人見明、小島三児、塩沢とき、高品格、草川直也、田武謙三、堺左千夫、安田伸、太地喜和子、北竜二、小柳ルミ子、柳谷寛、犬塚弘、二瓶正也、たちである。尚、主人公の名前は日本一作である。

東北の片田舎の霜焼村。そこの駐在である日本一作。過疎の波が押し寄せて、村人たちは次々と村から去っていく。一作は懸命に過疎を防ごうとするが、その努力も報われない。そんな中、パトロール中に東京からやってきた山上春子という娘が失恋して自殺を仕様としているのに出くわし、それを止めさせた一作。で、彼はその恋を成就させてやろうとして、春子を連れて上京した。で、村の出世頭である佐藤茶助が働くキャバレーに行くが、茶助はいなくなっていて、彼の飲代のつけを請求される。で、お金をもっていないということで一作はそこで働くことになる。まずは客の飲み残したビールを詰め直して、春子の兄だとも知らずにラーメン屋の圭太にそのビールを卸し始める。また、店の客にもそのビールを出し、売り上げが倍増した。ということで店の支配人に昇格する一作。そんな中、一作は金丸化学の八木沢社長をひょんな事から助け、社長秘書になる。で、金丸グループが提供しているテレビ番組を、自分の故郷を舞台にした一作自身の初恋物語にすり替えた。そしてこの番組が当たって、金丸グループのイメージはアップし、製品も売れに売れた。で、会社の重役になる一作。また、その間に春子も恋人と結ばれることになった。で、一段落したところで故郷に帰る一作。廃村になった村のはずが、人気テレビ番組の舞台ということで観光客で賑わっていた...

前作と同様に、別の職業を持っている主人公がひょんな事から上京して、調子よく出世していくという展開は良いのだが、最初の頃のシリーズのパワーが感じられなくなっているのが残念な所である。まあ、映画というフィクションの世界だから許される方法で出世するというのは、ちょっとやり過ぎとも感じる。(現在、こういうことをしたら、即座に手が後ろに回るかも... でも、客にしても新しいビールではないと気づくと思うのだが...)

時代も'70'sに突入し、本シリーズが誕生した当時からの変化もあって、フィクションとしては面白いのだが、時代から浮いてしまった形になってしまい、パワーの方も確実にダウンしてしまったと感じる作品であったシリーズ終盤の2本は、主人公のキャラ設定に変化があって、新しい試みと言うことになるが、今までのシリーズとのギャップが、これまでの作品のように純粋に楽しめなくなってしまったところが辛かったですね。とは言っても、フィクションとして楽しむ分にはそうも悪いものでもない。まあ、シリーズが長くなり、時代の変化によって役割を終えたという所ですかね。やはり本シリーズは'60'sのノリであって、'70'sという時代には今ひとつ合っていないと感じました。

 

↓今回の2作はDVD/ビデオがリリースされていないので、最初の4作のBOXをピックアップしておきます。

クレージーキャッツ 日本一ボックス

クレージーキャッツ 日本一ボックス

  • 出版社/メーカー: 東宝
  • 発売日: 2006/05/26
  • メディア: DVD


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