「必殺!」(その4) [映画(邦画)]
「必殺仕掛人 春雪仕掛針」(1974)
作品データを記しておくと、1974年の松竹作品で、時間は89分である。原作は池波正太郎の「仕掛人・藤枝梅安」である。監督は貞永方久、脚本は安倍徹郎、撮影は丸山恵司、美術は梅田千代夫、音楽は鏑木創である。そして出演は、緒形拳、林与一、山村聡、岩下志麻、夏八木勲、高橋長英、竜崎勝、地井武男、高畑喜三、花澤徳衛、佐々木孝丸、たちである。
雪の降る正月の夜、ある漆器問屋の一家が殺された。これは後妻に入ったお千代の手引きによる物で、彼女は盗賊の首領だった。また、この真相を知っているのは、今は堅気になっている元盗っ人で、お千代の育ての親である小兵衛だけだった。そんな小兵衛は、お千代を立直らすために、彼女の3人の子分たちを殺さなければならないと考えて、3人を仕掛けて欲しいと音羽屋半右衛門に依頼した。で、半右衛門の命を受けた梅安が、3人の手下の定六を仕掛け、小杉が三上を仕掛けた。残る勝四郎を狙った梅安だったが、勝四郎はお千代の情夫であり、更にお千代は、昔自分が女にした女であることを知る。一方、オチよは次のターゲットとして大阪屋に目を付けた。で、大阪屋の手代・幸太郎を誘惑するが、幸太郎は勝四郎に殺されてしまった。そんな中、お千代は梅安を尋ねて勝四郎殺害を依頼した。しかしこれは、お千代と勝四郎の罠だった。捕らえられた梅安は定六たちの殺しの依頼者を尋ねられて拷問を受ける。梅安を助けに来たのは小兵衛だったが、彼は梅安を助けたものの殺されてしまう。それから暫くたった雪の夜、大阪屋の金蔵が勝四郎たちの一味が襲った。が、金蔵の中で待っていたのは半右衛門と小杉だった。で、仕掛人と盗賊の戦いが始まり、盗賊たちは一人、また一人と仕掛けられていき、盗賊は全滅した。お千代は仲間の帰りを待っていたが、彼女の前に梅安が現れた。で、お千代を仕掛けた梅安。お千代は「梅安さんのお内儀さんになりたかった」と言い残した...
TV作品ではなく劇場版らしく、じっくりと描いているだけに、迫力が違う作品である。また、盗賊の首領であるお千代も最期には命乞いをして助けて貰おうとするなど、物語の方も厚みがある。また、岩下志麻の演技も流石であって、途中までの貫禄十分な所とラストの弱さを存在感たっぷりに演じている。
後の「仕事人」シリーズの劇場版作品は娯楽作という要素が強くなっているが、「仕掛人」シリーズは重厚な人間ドラマとなっていて、これもまた面白い所である。次の「必殺」シリーズの劇場版は、本作から10年の時間が間に入ることになるが、その間もTVシリーズの方はずっと放送され続けていたというのは、また凄い所でもある。(個人的には「仕置人」の劇場版が見たいところでした。)
次回からは「仕事人」のシリーズについて述べていくことにする。
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