YAZOO『UPSTAIRS AT ERIC'S』 [音楽(洋楽)]
表題のアルバムは1982年に発表された彼らの1st.アルバムである。'80'sの中盤以降は「エレ・ポップ」という言葉が定着したが、そんな言葉が生まれる前に「テクノ」の括りに含められていたエレクトロニック・ダンス・サウンドで、当時のイギリスに新しい波を起こしたVINCE CLARKE(後にERASUREを立ち上げることになる。)の若かりし頃のサウンドが楽しめるアルバムである。また、往年のヒット曲であるPLATTERSの『Only You』をシンセサイザーを使った現代風のサウンドにアレンジして大ヒットを飛ばしたのは強烈であった。で、本国イギリスでは最高位2位を記録する大ヒットになった。(アメリカでは最高位92位ということで、辛うじてBillboardのTOP 100に顔を出した所であった。)
また、発表当時のオリジナル盤(当然LPである。)では、UK盤が全11曲、US盤が全10曲の収録であった。そしてCD化された際にボーナス・トラック1曲が追加され、UK盤は全12曲、US盤は全11曲の収録ということになった。
で、US盤のCDの収録曲は以下の全11曲である。『Don't Go』『Too Pieces』『Bad Connection』『Midnight』『In My Room』『Only You』『Goodbye 70's』『Winter Kills』『Bring Your Love Down (Didn't I)』『The Other Side Of Love』『Situation』。
UK盤では、『Goodbye 70's』と『Winter Kills』の間に『Tuesday』が収録された全12曲である。よって、入手するのであればUK盤の方がお得である。
この中からは、『Only You』と『Don't Go』がシングル・カットされていて、前者はイギリスで最高位2位、アメリカでは最高位67位を記録する第そっととなった。また後者もイギリスでは最高位3位を記録している。そしてややこしいことに、『Situation』はアメリカだけでシングル・カットされて最高位73位のヒットとなり、『The Other Side Of Love』はイギリスだけでシングル・カットされて最高位13位のヒットとなった。
この中からの筆者のお薦め曲は、『Only You』と『Don't Go』は外せないのは言うまでもなく、それ以外では『Bad Connection』『Goodbye 70's』『The Other Side Of Love』という所をピックアップしておく。尚、『Situation』はアメリカではシングル・ヒットを記録していて、UK盤ではアルバムに収録されているが、US盤のアルバムには収録されていないので、「本アルバムからのお薦め曲」にするのはどうかということで、ピックアップしないことにしておくが、楽しい曲であり、一度は聴いてもらいたい一曲である。
現在ではシンセ・サウンドはポピュラーなものになり、技術の進歩もあって、エレクトリック・サウンドも格段の進歩を遂げたが、本アルバムには、当時の最先端サウンドを使った実験が試みられていて、その楽しい世界は全く色褪せずに現在でも輝いている。テクノロジー的には陳腐化しているが、'70's終盤のディスコ・サウンドの流れを受け継いでいながら、ソウルフルな所をしっかりと出して、独特の明るく楽しい世界を個性豊かなものにしている。後のVINCE CLARKEのサウンドを聴くのであれば、しっかりと抑えておきたいアルバムである。
↑US盤(11曲収録)|UK盤(12曲収録) ↓
Upstairs at Erics [12 inch Analog]
- アーティスト: Yazoo
- 出版社/メーカー: Mute
- 発売日: 1983/01/01
- メディア: LP Record
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