「必殺!」(その7) [映画(邦画)]
今回は、中村主水が主役になった「仕事人」シリーズの第4作で、千葉真一、真田広之というJAC(ジャパン・アクション・クラブ。現在はJAE)の派手なアクションを前面に出した作品である「必殺4 恨みはらします」についてです。
シリーズ第4作「必殺4 恨みはらします」(1987年)
作品データを記しておくと、1987年の松竹と朝日放送による作品であり、時間は131分である。監督は深作欣二、脚本は野上龍雄、深作欣二、中原朗の3人、撮影は石原興、美術は太田誠一、音楽は平尾昌晃である。そして出演は、藤田まこと、真田広之、千葉真一、倍賞美津子、村上弘明、三田村邦彦、ひかる一平、かとうかずこ、相楽ハル子、室田日出男、堤大二郎、岸田今日子、成田三樹夫、蟹江敬三、白木万理、菅井きん、たちである。
この作品はTVシリーズ15周年記念ということで制作された作品であり、TVシリーズの第1作「必殺仕掛人」の第1話の監督を務めた深作欣二監督が14年ぶりに「必殺」に戻って来て監督を務めた作品でもある。また、本作公開時のTV放送作品は「必殺仕掛人Ⅴ 風雲竜虎編」でした。登場する仕事人はTVシリーズで放送中の作品がベースとなるのだが、今回はそうなっておらず、前作「必殺仕掛人Ⅴ 旋風編」のメンバーがベースになっている。
南町奉行所に、女と見間違うような美男の若い奉行・奥田右京亮が着任してきた。主水は不手際を責められて減俸処分を受けていてふてくされていた。そんな中、派手な格好をした旗本愚連隊が市中で暴れていて、ある事件が起こった。主水はそれに疑問を持ち、調べていくと馬の後脚に十字手裏剣が刺さっていた。そんな中、旗本愚連隊の首領格3人の仕事を受けることになった主水たち。が、奉行・右京亮にはとんでもない秘密があり、老中、将軍をも巻き込んでの大事件へと発展していく...
娯楽作品ということから考えると、派手なアクションから本格的な殺陣というように、楽しむには十二分の内容になっている。が、その分、「必殺」らしいと言ってしまえばそれまでだが、荒唐無稽さの方もパワーアップしていて、闇の稼業に生きる仕事人の暗い側面の描き方が不足している。これは「必殺シリーズ」の歴史を振り返ってみたら、第15作の「必殺仕事人」の途中から雰囲気が急に変わったが、それと同じような印象がある。(劇場版3作目までが前期必殺シリーズで、本作以降が後期必殺シリーズという雰囲気になっている。)エンターテイメント作品ということから言えば申し分ないのだが、「必殺」シリーズが持つ暗さや深いドロドロとした人間ドラマを求める者にとっては戸惑いが生じてしまう。(→評価が大きく分かれる作品である。)
そんなこともあったのか、本作が劇場公開になった3ヶ月後に、TV「必殺シリーズ」が「必殺剣劇人」を持って(一旦)終了することになってしまった。ある意味では「必殺シリーズ」が打ち上げた最後のど派手な一発だったようでした。(更に「昭和」も終焉の時が近づいていましたし...)
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