「陸軍中野学校」(その5) [映画(邦画)]
懐かしの邦画ヒーローシリーズ・第22弾として記してきた「陸軍中野学校」シリーズも今回が最終回となりました。今回は残っているシリーズ最終作、1968年の1本について記します。主人公・推名がこれまでと違ってリーダー格として行動するというように、これまでの作品とはまた違った展開となっている作品である。
シリーズ第5作「陸軍中野学校 開戦前夜」(1968年)
作品データを記しておくと、1968年の大映京都の作品で、89分の白黒作品である。監督は井上昭、脚本は長谷川公之、撮影は武田千吉郎、美術は上里忠男、音楽は池野成である。そして出演は、市川雷蔵、小山明子、浜田ゆう子、船越英二、細川俊之、加東大介、内藤武敏、清水将夫、久米明、内田稔、塩崎純男、木村玄、橘公子、たちである。
1941年11月、太平洋戦争勃発直前。ワシントンでの日米交渉が決裂という状況下、推名は極東英米軍から秘密情報を盗み取る任務で香港にいた。で、無事に任務を果たしたかに見えたが、敵の情報機関であるP機関に拘束されてしまう。何とか救出された推名だったが、彼が帰国すると、大本営は宗前となった。それは、御前会議の秘密事項が敵の情報機関であるP機関に全て漏れていたことが分かったためだった。で、推名たちは御前会議の出席者たちを洗い始めてP機関の正体を突き止めようとする...
真珠湾攻撃を直前にして、情報が敵に漏れていたことから、陸軍中野学校が総力を挙げて敵の正体を暴こうとしてチームとして行動する所が今までの作品と違う所である。これはこれで面白いのだが、これまでのシリーズ作品で推名の活躍が描かれているため、本作には物足りなさを感じてしまう。第2~4作が無ければ、こういう展開の作品も良いんですけどね...
本シリーズは全5作の全てが白黒作品である。第1作はそれが良い方向に出ていて、人間ドラマの表現に貢献しているが、第2作以降の娯楽路線では、ちょっと物足りなさを感じてしまう。とは言っても、見始めて少しすると、白黒と言うことが気にならなくなって、無意識の内に色の補間を行ってしまってますけど... ただ、物語の時代設定が太平洋戦争に突入する直前という時代であるため、「スパイ」が活動するには良い時代を選んでいて、設定などは悪くない。いくつか出てくる秘密兵器も面白い。(現代だったら、逆に使えないと思える秘密兵器もあるが、それはご愛敬というとこで...)シリーズ全体としては、娯楽作品として十分に楽しめる作品群である。それだけに、「白黒作品」ということだけが残念なところでした。
↓単品もあります。
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