「水戸黄門漫遊記」(その11) [映画(邦画)]
今回は東映シリーズの中から1956年に製作された4本の中から最初の2本(シリーズ第7作と第8作)の2本について記します。
シリーズ第7作「水戸黄門漫遊記 怪力類人猿」
作品データを記しておくと、1956年の東映京都の作品で、時間は43分、白黒作品である。原案は五都宮章人、監督は伊賀山正徳、脚本は尾崎十三雄、撮影は杉田正二、美術は塚本隆治、音楽は高橋半である。そして出演は、月形龍之介、月形哲之介、加賀邦男、千原しのぶ、喜多川千鶴、百々木直、加藤正男、岸田一男、片岡栄二郎、日高綾子、阿部九洲男、山口勇、青柳龍太郎、杉狂児、時田一男、富久井一郎、津村礼司、永田靖、堀正夫、藤枝久江、東宮秀樹、江原真二郎、矢奈木邦二郎、団徳麿、上代悠司、たちである。尚、黄門様は月形龍之介、助さんは月形哲之介、格さんは加賀邦男が演じている。
銚子にやって来た黄門様一行は、悲鳴と共に若い女の惨死体が出るという事件に遭遇する。殺された娘の背中の鋭い爪痕に疑問を感じた黄門様だったが、女の悲鳴を耳にして追うと、怪獣を目にした。そしてその怪獣を追ってある船に紛れ込むが、船底に閉じ込められてしまう。この船は紀州藩の御用船であり、南蛮渡来のゴリラを操っていた。で、黄門様たちを幕府の隠密と思い、ゴリラに始末させようとする。格さんの空手チョップで窮地を脱するも、一行は火薬樽に詰められ海中へ投げ捨てられてしまう。危うい所を助けられた黄門様たちはなんとか宇都宮に入る。で、紀州貞光を擁する本田上野介が将軍の日光参詣の際、ゴリラ上覧という名目で宇都宮城に将軍を閉じ込めて暗殺しようという計画を知る。ゴリラは福島正則の遺児・お浪の笛で操られていた。黄門様は将軍に会うと、参詣中止を忠告するも、幕府の威信に関わるとして、拒否される。で、黄門様は将軍を守ろうとして立ち上がった...
ゴリラが怪獣という発想は、江戸時代の物語であれば納得出来るが、今一つ怖さが無いのが辛い所である。娯楽性ということでは面白いのだが、今一つ盛り上がりのない作品でした。
シリーズ第8作「水戸黄門漫遊記 怪猫乱舞」
作品データを記しておくと、1956年の東映京都の作品で、時間は59分、白黒作品である。監督は伊賀山正徳、脚本は土屋欣三、撮影は杉田正二、美術は川村鬼世志、音楽は高橋半である。そして出演は、月形龍之介、月形哲之介、加賀邦男、千原しのぶ、月丘千秋、若水美子、丘さとみ、七条友里子、清川荘司、東宮秀樹、朝雲照代、鳳衣子、赤木春恵、青柳竜太郎、海江田譲二、団徳麿、五月蘭子、近江雄二郎、美山れい子、大邦一公、尚、黄門様は月形龍之介、助さんは月形哲之介、格さんは加賀邦男が演じている。
上州沼田にやってきた黄門様一行は、討手を相手に戦っている若い武士を救った。彼は沼田の城主・黒田河内守の家臣・山吹半四郎で、側室・お市の方の陰謀で、お市の方の側女・琴姫に養子を迎えて、黒田家を乗っ取ろうという企みを知る。で、正統な相続者の綾姫は狂気と称してある寺に監禁されていた。で、黄門様たちは立ち上がる。これを知った悪家老・島尾は危険を感じると、中老・菊波を殺した。が、その現場に菊波の愛猫・玉に似た猫が現われて、菊波の身体から流れた血を吸うと、菊波の姿になり、召使いを抱えて姿を消した。更に島尾は黄門様たちも亡き者にしようと毒を仕込み、小舟に乗せられて海に流されてしまう。お蝶だけが牢に閉じ込められるが、菊波に変化した怪猫がお蝶を救い、追いつめられた綾姫を救出する。その頃、黄門様たちは漁師に助けられていたが、それを知った島尾は黄門様を消そうと、鉄砲隊を連れて黄門様一行を取り囲み、発砲する。が、その時、行菊波の姿をした玉が黄門様を庇って立ち塞がる。で、形勢逆転、島尾のお家乗っ取り計画は潰された。
何でもあり、という物語は娯楽作品としては面白いのだが、本作は鍋島藩のあの物語をあまりにも意識しすぎていて、逆に白けてしまう。(せめて、物語の舞台を上州ではなくて九州にするべきでしょう...)怪奇性を出した作品ということで異色作であるが、物語の方も異色過ぎて... という作品でした。
今回の2本は「娯楽作品」ということでは楽しませてくれる設定を取り入れているのに、それが今一つ空回りしていて、つまらない作品になってしまった。連続TVドラマの1つの物語としたら、こういうものがあっても悪くないが、人気シリーズを矢継ぎ早に劇場公開する多作時代だと言っても、劇場公開作品ということでは、辛い作品でした。
↓今回は異色作なので、こういうものを拾っておきます。
モヒカン族の最後,水戸黄門漫遊記 (杉浦茂ワンダーランド 7)
- 作者: 杉浦 茂
- 出版社/メーカー: ペップ出版
- 発売日: 1988/04
- メディア: 単行本
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