KIM CARNES『VOYEUR』 [音楽(洋楽)]
表題のアルバムは1982年に発表された彼女の7枚目のアルバムである。前年に発表した「MISTAKEN IDENTITY」から『Bette Davis Eyes』が超大ヒットとなり、カントリーからロック・ポップスという世界に幅を広げたが、それを踏まえてのボーカル・アルバムとして仕上がっている。本アルバムはBillboardのアルバム・チャートで最高位49位を記録している。(前作が全米No.1を獲得していることを考えると、セールスは伸びなかったが、これまでの彼女のアルバムとしたら、なかなかのセールスである。)
収録曲は以下の全10曲である。『Voyeur』『Looker』『Say You Don't Know Me』『Does It Make You Remember』『Breakin' Away From Sanity』『Undertow』『Merc Man』『Arrangement』『Thrill Of The Grill』『Take It On The Chin』。
この中からシングル・カットされたのは2曲で、アルバム・タイトル・ナンバーでもある『Voyeur』がBillboardのシングル・チャートで最高位29位を、そして『Does It Make You Remember』が同チャートで最高位36位を記録するヒットとなった。
本アルバムからのお薦め曲は、アルバム・タイトル・ナンバーでもある『Voyeur』、『Say You Don't Know Me』『Undertow』、そしてシングル・ヒットを記録している『Does It Make You Remember』をピックアップしておく。
独特のハスキー・ボイスのボーカルが魅力の彼女であるが、本アルバムでもそのボーカルを活かしてじっくりと聴かせてくれている。また、サウンドの方もキャッチーなものであり、とても聴きやすいものになっている。しかし、『Bette Davis Eyes』の延長線上にあるものを期待すると、完全に裏切られることになる。
KIM CARNESというと『Bette Davis Eyes』という印象が強く、中にはこの曲の一発屋というように扱われることがあるが、これは完全な誤りである。そもそもカントリー畑のシンガーである彼女は、カントリーの世界ではある程度のヒット曲を放っている。『Bette Davis Eyes』の方が彼女のキャリアの中では異色の曲なのである。(1981年のBillboard年間シングル・チャートの1位になったことが、逆に彼女に対する認識を誤らせる結果になっている。)
女性ボーカル・アルバムという認識で、彼女のボーカルを堪能するのが本筋であるアルバムである。(ハスキー・ボイスについては好みの分かれるところでしょうが...でも、'80's初頭というと、彼女以外にもハスキー・ボイスを売りにしたシンガー(男女それぞれ)が何人かいましたね...)
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