DAN FOGELBERG『HOME FREE』 [音楽(洋楽)]
表題のアルバムは1972年に発表された彼のデビュー・アルバムである。彼はフォーク系のシンガー・ソングライターとして知られているが、本アルバムは(後の彼とは)別人ではないかと思えるようなアルバムとなっている。曲調は大きく違うというものではないが、マルチ録音を多用した音作りで、色々と加工したサウンドというものになっている。また、彼のボーカルの声質も違っている。後に彼がブレイクしてから本アルバムのセールスが伸びることになったが、発表当時は受け入れて貰えない結果で終わってしまったアルバムである。
収録曲は以下の全10曲である。『To The Morning』『Stars』『More Than Ever』『Be On Your Way』『Hickory Grove』『Long Way Home (Live In The Country)』『Looking For A Lady』『Anyway I Love You』『Wysteria』『The River』。
この中からシングル・カットされたのは『To The Morning』であるが、ヒットすることもなく、Billboardにチャートインはしていない。
本アルバムは出来が悪いということではなく、当時の時代の流れに反している内容だったことが大きい。全体的に暗い曲が続き、その雰囲気に耐えられなくなってしまう。曲自体は悪くないのだが、その仕上げ方を間違えたようなものになっているのが残念な所である。
が、現在では'70's初期の多重録音の技術レベルを知る気チウ菜アルバムということで、全く違った意味での注目ポイントが出来ている。('60'sの時代にもマルチ録音を多用した名作と呼ばれるアルバムがいくつかあるが、それらのアルバムと共に、音楽の技術的な歴史を語る上では外すことの出来ない資料である。)
尚、お薦め曲としては、6分を超える大作の『To The Morning』、7分を超える大作の『The River』、彼自身は自信作と言っている『Hickory Grove』をピックアップしておく。
本作の次に発表するアルバムまで2年の時間がある。その2年の間に彼は完全に変わって、別人のDAN FOGELBERGとなって新たなアルバム「SOUVENIRS」を届けてくれることになるだけに、彼のサウンドがお好きな方にはちょっと複雑なアルバムになっているが、音楽内容ではなくて音楽関連技術を知ることが出来るだけに、聴いておいても良いアルバムである。(但し、技術に興味はなく、音楽だけを楽しみたいという方は近づかない方が無難かも...)
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