「ROUGH CUT」 [映画(洋画)]
表題の作品は1980年のアメリカ映画「ラフ・カット」である。宝石泥棒、それを追う刑事、美人女泥棒とが絡んだ追いつ追われつのクライム・アクション・コメディ作品である。展開は昔からあるパターンであるだけに、ある意味では安心してみていられる娯楽作品である。
作品データを記しておくと、時間は111分、原作はデレク・ランバート、監督はドン・シーゲル、脚本はフランク・バーンズ、撮影はフレディ・A・ヤング、音楽はネルソン・リドルである。そして出演は、バート・レイノルズ、レスリー・アン・ダウン、デヴィッド・ニーヴン、ティモシー・ウェスト、パトリック・マギー、アル・マシューズ、イザベル・ディーン、ジョス・アックランド、スーザン・リトラー、たちである。
舞台はロンドン。ある大富豪の結婚記念パーティで注目を集めていた男・ジャック・ローズ。彼は中華料理店を経営する実業家として知られていたが、実は宝石泥棒という裏の顔を持っていた。いつも完璧な手口で宝石を盗み出し、それを金に変えるのも手際が良く、足が付くことはなかった。そんな彼が神秘的な美しさを持つ女性に目を付けた。そして彼女を追いかけて、それは女泥棒のジリアンと言うことが分かった。
そんな中、ロンドン警視庁にジリアンがウィリス主任警部を訪ねていく姿があった。実は、ジリアンは、盗みをした所をウィリスに逮捕され、政治家である父のスキャンダルになるということで、ウィリスがそれをネタとして、定年前にジャックを逮捕する悲願を実現するために囮として利用していたのだった。で、ジャックが罠に掛かったことを報告していた。
ジリアンはジャックと落ち合ってデートをするようになる。ウィリスからの指示は、ジャックと親しくなり、それからダイヤと原石の輸送があり、それを強奪するように仕向け、その時にジャックを逮捕しようという計画であった。
計画を進めていくジリアンだったが、次第にジャックのことを愛するようになっていて、警察の目とジャックへの愛との板挟みに苦しむことになる。が、着々と準備を整えるジャック、そして警察。そして結構前日、変装したジャックとジリアンはアントワープに入り、警察を振りきり、決行に備えた。そしてロンドンから輸送される飛行機と同じ型の飛行機を用意したジャックは、無線を利用して、本物のダイヤを積んだ飛行機をオランダに向かわせ、用意したニセの飛行機を警察の待つ所に向かわせた。
で、ジャックの立てた計画は成功し、ジャックはダイヤの強奪に成功した。一方、罠を仕掛けた警察はまんまとダイヤを盗まれてしまったことから、新聞では笑いものになっていた。
計画が成功したことをジリアンと共に喜ぶジャックは船にいたが、そこにウィリスが尋ねてきた。実は、全てはウィリスの立てた周到な計画であって、ジャックが奪ったダイヤもニセモノであって、本物のダイヤは最初からウィリスの手にあった。そして失態を演じてダイヤを奪われたことにして、裏で本物のダイヤを金に変えるということを計画していたウィリス。が、ダイヤの換金にはジャックの力が必要だったのだ。結果的に、3人が協力する形でダイヤを奪う計画はまんまと成功したのだった。
サスペンスと言うことでは、物語の途中にコミカルな所が散りばめられているため、緊張感が無く、ユルユルした感じで物語が進んで行く。アクションもコメディ調ということを考えると、こんなものということになる。そしてラストのどんでん返しで見事にやってくれることになる。ただ、サスペンス調がユルユルなので、こういうどんでん返しも何となく予想されてしまうだけに、もう少しサスペンス色を強くした方が良かったと思われる。が、痛快さということではやってくれる物語である。
ただ、本作はいくらコメディ・タッチで描かれているとはいうものの、犯罪が結果的に成功してしまうというストーリー展開は、現在では何かと五月蠅く、クレームが付くことになってしまうのでしょうね。それを考えたら、古き良き時代のテイストを辛うじて'80's色で描いたギリギリの作品という所ですね。
↓DVD化されていないのでビデオです。
↓輸入版
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