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西岡たかし『満員の木』 [音楽(特撮/邦楽)]

表題のアルバムは1973年に発表された彼の1st.ソロ・アルバムである。'60's後半に、五つの赤い風船のリーダーとして活躍していた彼であるが、その五つの赤い風船を解散した直後に、多重録音を駆使して一人で完成させたのが本アルバムである。(1曲だけ他人がギターを弾いている曲があるが、それ以外は全て彼1人の演奏である。)

収録曲は以下の全10曲である。『大阪弁』『満員の木』『一人の女』『終りの季節』『みれん』『ぷろふぇしょなるじぃじぃ』『君とボク、ボクと君』『同棲』『妻になる女に』『みんないい人』。

お薦め曲は、アルバム・タイトル・ナンバーでもある『満員の木』、多重録音の妙を堪能出来る『みんないい人』、8分を超える大作の『終りの季節』、7分に達する大作の『君とボク、ボクと君』、冒頭を飾る『大阪弁』という所をピックアップしておく。

現在では「多重録音」も簡単に行えるようになっているが、本アルバム製作時は多重録音というと色々と技術的にも難しい所があった時代である。そんな時代にアルバム1枚を一人で仕上げるというのはとても難しいことであったの言うまでも無い。そういう時代に完成された本アルバムは、技術的な進歩によって、現在では本アルバム以上のことが実現できるようになっているものの、まさに手作りの集大成という多重録音マニアの執念の固まりでもある。それだけに、音楽的な評価以上に本作を製作することの努力だけでも評価したくなる作品である。

ある意味では、アナログ的な積み重ねによるマニアックな技術の蓄積が生み出した到達点であり、職人技が通用したよき時代の作品ということになる。技術の進歩によって、本作でおこなっていることが、それ以上のことがより簡単に誰でも行えるようになったが、それと引き換えに現在では失ってしまったものがあるのもまたじじつである。技術的には陳腐なところがあるものの、本作を作り上げるという気迫と執念は現在にはない鬼気迫るものがある。それだけに、当時の技術水準を知る資料としての役割もあるアルバムとして、聴いておきたいアルバムである。

 

満員の木

満員の木

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: avex io
  • 発売日: 2002/10/09
  • メディア: CD


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