堀江美都子『ウィークエンド』 [音楽(特撮/邦楽)]
表題のアルバムは1983年に発表されたミッチの5枚目のオリジナル・アルバムである。(この当時はほぼ半年に1枚というペースでオリジナル・アルバムを発表していて、6枚目のオリジナル・アルバムが本アルバムの半年後にリリースされている。前作「Lady Madonna」が傑作アルバムであっただけに、本アルバムは地味な印象がしてしまうのだが、ポップな要素だけでなく、ジラードを程よく取り入れて、芸術性のあるアルバムとしてまとめられている。また、大貫妙子、つのだひろ、松任谷由実の曲を取りあげていて、前作とは方向性の異なるアルバムでもある。
収録曲は以下の全10曲である。『恋人達の明日』『黄昏ドライブイン』『美しい秘密』『アフェア・オブ・ザ・ハート』『泣きたいほどの海』『白昼夢・DAY DREAM』『チャンス』『愛はロンリー・ウィークエンド』『弱虫ママ』『Coffee』。
尚、この中からは『アフェア・オブ・ザ・ハート』が『あふれる想い』というタイトルになってシングル・カットされている。また、後ろの2曲(『弱虫ママ』『Coffee』)は本アルバムよりも三ヶ月半ほど早くシングルとしてリリースされているが、TBSの某番組で使われた曲である。
お薦め曲は、ポップなナンバーからは『恋人達の明日』『黄昏ドライブイン』を、バラード・ナンバーからは『美しい秘密』を、ドラマチックでスケールの大きい『泣きたいほどの海』と『愛はロンリー・ウィークエンド』、そしてアニソン的な要素のある『弱虫ママ』をピックアップしておく。
前作は完全な「ロック・アルバム」になっていたが、本作は「ポップ」なアルバムになっている。そのため、派手な所が少なく、目立つ曲がないのだが、逆にトータル的には実にバランスの良いアルバムになっていて、シンガーとしてではなく、アルバム・アーティストとしてまとめ上げた作品と言うことが出来るアルバムになっている。(ただ、そう考えると、後ろの2曲が毛色が違っているだけに、ここに一工夫欲しかったところでもある。)
ミッチはアニソンの世界では実に様々なジャンルの歌を歌いこなしている。シリアス系からギャグ系、テンポのよい曲からスローな曲、勇ましく元気が出る曲からおとなしく気分が落ち込んでしまいそうな曲まで、本当に何でもこいである。歌っている曲の数も膨大な数になっている。しかし、意外と少ないのがごく普通のポップな曲である。それを思うと本アルバムは、その少ない部分を埋める作品と言うこともできる。が、普通のポップスということで、派手な所が無くて目立たなくなっているのが残念な所である。
本アルバムは、確かに派手な所が無く、目立つことがないアルバムになっている。(ジャケットの方も本当に地味である。)が、見た目ではなく、作品としての内容はかなりのハイレベルになっている。(但し、もう少し練り上げていれば、もっと高い次元に達していただけに、完成度という部分はまだでしたけど...)つまり、内容的には過小評価されているアルバムと言うことになる。発表から四半世紀が過ぎていて、今更ということにもなるが、リマスターして、更に内容的に詰めを行えば、とんでもないアルバムに化ける可能性のアルバムである、と言っておく。
↓ジャケット
↓これに復刻版として含まれています。
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