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名曲探偵アマデウス#87 チャイコフスキー「バイオリン協奏曲」 [ドラマ]

今月の新作の最後(3本目)はチャイコフスキーの「バイオリン協奏曲」でした。今回でチャイコフスキーも6曲目となって、ショパンと共に1位タイということになりました。また、今回の依頼人はあのディープ内藤ということで、通算で6度目の登場ということになりました。(当然、依頼人としては最多登場であるのは言うまでも無い。)→平均して半年に一度のペースで登場していますが、前回はファイルNo.076で、約4ヶ月ぶりの登場でした。

で、ディープ内藤が登場となると、カノンさんがライバル心を剥き出しにしたり、所長が飼い馬のようになって了うなど、いつもと違う姿が見られて楽しいのだが、今回は所長は最初から怯え続けていたが、カノンさんはそれほどではなかったですね。(いつも所長と一緒にいることから、余裕と言った所なんですかね...???)

冒頭、『探偵物語』を(カラオケで)歌っているカノンさん。気持ちよさそうに歌っているが、「違うわ」とダメ出しをされる。で「えっ???」と不満そう。ダメ出しをした声の主は「次」と言うと『私立探偵濱マイク』の主題歌が流れてきて、踊り出すカノンさん。そんな所に所長が帰ってくる。で、カノンさんの側にやってきて「何をやってるんだね」と訪ねる。カノンさんは踊りを止めて「探偵縛りのカラオケを」と答えた。これに所長は「探偵を縛る」と返した。するとカノンさんが「探偵縛り」の意味を説明し、所長はホット胸をなで下ろし「私が縛られるのかと思ったよ...」と言っていた。

すると、所長の背後から手が伸びて、「臼夫ちゃん、縛って上げようか」と言う声がした。所長の表情が一変して凍てついた。ディープ内藤がいて、「探偵縛りをカラオケしようと言ったの、私よ」と口にした。で、カノンさんのナレーションが「ディープ内藤 Season 6」ということで、これまでのいきさつが語られた。(過去の映像が出てくると、全く雰囲気の違うカノンさんも見られて良かったですね...)

改まっていつものようにソファーに座った所長とカノンさん、そしてディープ内藤。「今日は何の誤用でしょうか?」と所長が尋ねると、「私のミステリーに書けていたものが分かったの」とディープ内藤が言う。するとカノンさんは「つっか、欠陥だらけでしょう」とすかさず突っ込んだ。ディープ内藤は「お黙り」とカノンさんを制すると、「名作と呼ばれているミステリーに欠かせないもの、それは探偵」と言った。カノンさんが「シャーロック・ホームズとか、ポワロとか」(「銭形泪」でホームズとポワロの両方の扮装をしていた黒川さんです。)と言うと、ディープ内藤は「金田一耕助、コロンボ、古畑任三郎」と続けた。(この時点ではまだ冷静な)所長は「コロンボと古畑は探偵ではなくて刑事です」と返したが、それを無視したディープ内藤は「私の小説にも個性的な探偵が必要だって気づいたの」ということで「どうしたらいい?臼夫ちゃん」ということで相談に来たのだった。所長は「さあ?」と長そうとするが、ディープ内藤は「ベストセラーになったら映画化も夢じゃないし、キャラクター商品も売れるわ。報酬は印税の3割、女子大生との合コンもセッティングするわよ」と誘うと、所長は「そういうことならばこの曲が役に立つと思います」と言って曲を紹介した。

その曲がチャイコフスキーの「バイオリン協奏曲」だった。「『チャイ・コン』と呼ばれている曲ね」ということで、既に報酬のことに頭が言っている所長だった。

曲に入る前にカノンさんが「主人公はどんな探偵にするんですか?」と尋ねると「イケメン」と答えるディープ内藤。(所長が口を出せる雰囲気ではなかった。)「お好きに」と言った所長を受けて、ディープ内藤は「イケメンが爽やかに登場する…」と言うが、所長が「主役の登場には工夫が必要です」といって、この曲は主役であるソロ・バイオリンの登場が見事だ、と言って、第1楽章(序奏部)へ。

ソロ・バイオリンの登場を盛り上げる巧みな手法の解説では、序奏部をしつこく、盛り上げていくようにしていて、属音を続けることでじらし、主題を暗示するように主題の断片を入れ、そしてソロ・バイオリンの第1主題が登場する。ということで、ディープ内藤の小説も、何気ない日常の描写から事件が起こりそうな気配を感じさせつつ、ここぞという時に主役の探偵が登場する、とうことで、所長が赤い薔薇の花を手にして陶酔していた。これに「何やってんですか、所長?」と突っ込んだカノンさん。我に返った所長はバラの花をディープ内藤に渡した。が、ディープ内藤は「で、主人公が現れてどうなるの?」と尋ねた。所長は、チャイコフスキーはこう描いているということで、再び曲(第111小節)の説明へ。

ここでは「重音」ということで、バイオリンの魅力を引き立たせる「重音」についての説明へ。「重音」とは2本以上の弦を同時に弾くことで、それがどういうものなのかの説明を、実演を交えて行っていたが、実演があったらとても分かりやすいです。(逸美のことですが...)また、があったことでとても分かりやすかったですね。また、第111小節の重音を使わない演奏と、使った演奏との聴き比べがあって、これも全く違う曲のように感じられました。(「重音」を使わないと実になめらかで綺麗な曲になりますね。)

更に、リアルな音だけではなくて、視覚的なことも狙っている、として、バイオリニストのパフォーマンスとなると「重音」になるということでした。(確かに、ソロ・バイオリニスト動きが飛び抜けて激しく、目立ちますね。)

これにディープ内藤は、刑事コロンボのよれよれコート、古畑任三郎は現場に自転車で登場、ということで、「探偵はただのイケメンじゃダメ」と悟った。(所長がコロンボと古畑に扮してました。)そして「イケメン探偵なのにマスクをしているのはどう」と提案した。カノンさんは「それじゃあ、イケメンかどうか分からないじゃないですか」と突っ込んだが、ディープ内藤は「いいの。イケメン探偵は何処に行っても全力疾走」と言った。所長はマスクをして走っていた。立ち止まって「限界に挑戦した者だけが新しい世界にたどり着くことが出来る」と言うと、ディープ内藤は「それって私と臼夫ちゃんみたいね」と口にした。そして、「所長がウィーンから戻ったばかりの頃」と言って、所長の過去が語られた。(所長は音楽を封印して部屋に引きこもっていた。そんな所長に音楽を取り戻させたのがディープ内藤だった。ディープ内藤は引きこもっていた所長をカラオケスナックに誘い出し、限界まで歌い続けたのだった。)それを聞いて「音を取り戻したんですね?」とカノンさんが尋ねるが「いや、出入り禁止になった」と所長が答え、カノンさんは転けていた。

曲の続きは、ソロ・バイオリンのカデンツァの部分に突入し、「カデンツァ」は独奏者の技術の見せ場ということで、即興で演奏する所というと語られ、その説明へ。カデンツァは、本来は即興で演奏する部分と言うことで楽譜は書かれないのが普通だったが、チャイコフスキーは細かく楽譜を書き残し、バイオリンの特徴を際立たせるテクニックが色々とあって、その説明へ。

まずは「人工ハーモニクス」の説明へ。バイオリンの最も高い音から更に2オクターブ高い音を出るが、透明な音が出る。(弦を抑えても出せるが、キツい音になってしまう。)→当然、聴き比べての説明が行われるが、弦を抑えて出すと、キツいどころか、引っ掻き音に近い感じがして、気色悪く感じました。

2つ目は「グリッサンド」。(これも実演ありの説明なので分かりやすい。)チャイコフスキーはしかも重音でグリッサンドを使っていて、内面的な感情を表現した。3つ目は巧みな重音使いで、最初は和音をばらして鳴らすが、段々と重音を使っていくことで、緊張感を出した。

これらによって、ドラマ性を表現し、更にバイオリニストにアクロバティックな演奏をさせて際立たせた。しかも、カデンツァは技の披露のため、曲の終盤にあったが、それを曲の真ん中に持ってきたのだった。

ディープ内藤は、これではミステリー小説としては失敗だ、と言うが、所長は「ある意味この曲は失敗した」と言って、その説明へ。

チャイコフスキーはこの曲を名バイオリニストのアウアーに初演を依頼したが「演奏不可能」として拒否されてしまう。初演はそれから3年後になってようやくという状況だったが、評価は散々で「悪臭がする音楽」とまで言われた。(第3楽章はズタボロに言われた。)

その酷評されたところがこの曲の魅力として、後になって演奏家や聴衆の心を捕らえていって「名曲」と呼ばれるようになった。→これって、「登場したのが早すぎた」と言うことも出来ますね。ポピュラー音楽の世界でも、このように最初は悪評だらけだったが、後に「名曲」と言われるようになったものが幾つもあります。

ただ、チャイコフスキーは、批判されても「それを高めていった」という説明があったが、単に「早すぎた登場」というだけでは無かったということでもあるのですね。

この経緯を聴いたディープ内藤は「何か引っかかる」と口にしたが「何でですか?」とカノンさんが問う。これに「就職試験に全部落ちて、散々ダメ女と言われても、アンタ、自分に自信が持てる?」と問い返した。カノンさんは不味そうな顔をして「ダメですね...とことん落ちちゃいます」と返した。するとディープ内藤は「かつての臼夫ちゃんもそうだった」と言った。で、カノンさんは「チャイコフスキーは一人じゃなかった」ということに気づいた。処置用は「チャイコフスキーはこの曲を1人で作ったのではありません」と語り、今度はチャイコフスキーの話へ。

1877年、チャイコフスキーは結婚したが結婚生活が上手く行かず、精神を病み、療養生活をスイス・モントルーで送っていた。そこに見舞いにやってきた教え子のコーテクに特別な感情を持った。(同性愛ということで、禁断の恋でもあった。)そしてコーテクのバイオリンに魅せられて作曲した。

ということで、ディープ内藤は、臼夫ちゃんが自分にとってのコーテクと言った。が、自分たちには愛が足りなかったと言い、「湖の畔の別荘に行って、愛情を育み、歴史に残る愛の名作ミステリーを書く」と宣言し、所長を無理矢理連れて行こうとする。処置用は「自信無いんですけど...」と漏らし、慌てたカノンさんも「お客さんだって来ちゃいますしね」と止めようとする。が、ディープ内藤は「お金もないのに、そんなに泊まってられない。三泊四日」と言うと、所長を引っ張っていった。所長は抵抗できず「響くん。後はよろしく」と言って連れて行かれた。カノンさんは「大人の事情...」と漏らしていた。

今回は、ドラマ部分は約35分弱、曲が約8分、ラストのオチが1分強という構成で、曲の部分がやや長めでした。とは言っても、時間的に全曲は無理であって、解説のあった部分を中心にしたダイジェスト的なものでした。

ラストのオチは、カノンさんが帰宅しようとしていたら、所長が帰ってきた。が、冴えない表情をしていた。カノンさんは「内藤さんと旅行に行ったんじゃなかったんですか~?」と余裕たっぷりに訪ねる。所長は疲れ切った顔をして「喰う小出はぐれた~」と漏らした。て、カノンさんが側にやってくると携帯(一応スマートフォンになっていましたね。)をポケットから取り出してカノンさんに見せる。そこには「臼夫ちゃん、私、出会っちゃった...」というディープ内藤からのメールがあった。空港でディープ内藤は15歳年下のイケメンで、国際的な活躍する探偵と出会い、お互い一目惚れだった。で、彼と一緒に探偵小説を書く、ということだった。(最後に、「響ちゃんにもよろしくね」と結ばれていた。)で、カノンさんは所長に「悲しいんでしょう」と言うが、所長は変な顔をするだけだった。で「変顔したって無駄ですよ。悲しさを変顔で隠してるんでしょう」と言って所長に迫ると、「どういう関係なんですか~?」とディープ内藤との関係を問い詰めていた。が、所長はボーッとなっていて何も答えなかった...

今までのディープ内藤の登場した時は「また来るな」とラストに所長が言っていたが、今回はそれが無く、所長は抜け殻のようになっていたところを見ると、所長はやっぱりディープ内藤のことが気になっているのですね。

また、いつものディープ内藤だと、進行までも仕切っていたが、これについてはいつもよりもおとなしめだったが、所長を拉致するかのように引っ張っていったということで、やっぱりディープ内藤はディープ内藤ですね。

また、いつもとは完全に別人となっていて、蛇に睨まれたカエルのような所長ということで、ディープに対して完全に怯えているというのも面白い所でした。その一方で、カノンさんも「大人の事情」と言う言葉を口にしていたが、金銭的なことのためならば仕方がないと察知したようで、「所長・命」と言うところが抑えられていて、ディープ内藤に対しての対抗心をコントロールできるようになったというのも面白い所でした。

また、お楽しみとしては、カノンさんがカラオケを歌っていたり、所長のコスプレが途中に出てきたりということで、こちらもそれなりにあって、楽しさも十分にありました。

今回は最後に所長が「ディープ内藤、また来るな」と言わなかったが、4年目突入となったら、ディープ内藤はまたまたやってくるのでしょうね...

来週28日はファイルNo.004のチャイコフスキー『交響曲第6番「悲愴」』の再放送です。初期の作品(=1年目の作品)の再放送となると久しぶりということになります。(最初の放送は2008/4/25でした。)OPも現在のもの(3代目である。)とは少し異なっているが、久しぶりにとなると、それも良いですね。3月に入ると、3/7はファイルNo.088のドビュッシー「交響詩『海』」が控えています。

 

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