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「黒い雨」 [映画(邦画)]

訃報は突然届き、驚くことになるのだが、昨夜届いた訃報にはビックリしました。それは元キャンディーズの田中好子さんの訃報であるのだが、あのスーちゃんの訃報というのだから、驚いたという訃報でした。何せ、約2週間前の4/8に55歳の誕生日を迎えたばかりですし、病気(乳癌)のことも全く知りませんでしたし...

キャンディーズとして歌手デビューしたのは1973年で、解散したのが1978年。一端は引退したが、ソロ・シンガー、更に女優に転向して完全復帰して活躍を続けていただけに、本当に「まさか...」という訃報でした。

ということで、彼女の代表作と言える表題の作品を取り上げることにします。(やはり、日本アカデミー賞最優秀主演女優賞を受賞したあの作品です。)

表題の作品は1989年5月に東映系で公開された作品の「黒い雨」である。井伏鱒二の同名小説の映画化作品である。また、日本アカデミー賞では作品賞、主演女優賞(田中好子)、助演女優賞(市原悦子)、監督賞(今村昌平)、脚本賞(今村昌平、石堂淑朗)、撮影賞の6部門を受賞し、カンヌ映画祭でもフランス映画高等技術委員会賞を受賞している。(パルム・ドールにはノミネートされ、本命視されたが、受賞とはならなかった。)

作品データを記しておくと、時間は123分、白黒作品である。今村プロ、林原グループの作品で、配給は東映、原作は井伏鱒二、監督は今村昌平、脚本は今村昌平と石堂淑朗の2人、撮影は川又昂、美術は稲垣尚夫、音楽は武満徹である。そして出演は、: 田中好子、北村和夫、市原悦子、原ひさ子、沢たまき、三木のり平、小沢昭一、小林昭二、河原さぶ、石丸謙二郎、大滝秀治、白川和子、深水三章、殿山泰司、常田富士男、三谷昇、立石麻由美、山田昌、石田圭祐、楠トシエ、七尾伶子、飯沼慧、たちである。

昭和20年8月6日、広島に原爆が投下された。20歳の高丸矢須子は郊外の疎開先にいたが、叔父・閑間重松の元へ行くために瀬戸内海を渡っていて、その途中で強烈な閃光を目撃し、その後で天候が急変して黒い雨を浴びてしまった。5年後、矢須子は福山の重松とシゲ子夫妻の家に引き取られて、重松の母・キンと4人で暮らしていた。戦争の後遺症を誰もが引きずる中、原爆後遺症は確実に矢須子にも襲っていた。25歳になって美しい矢須子には、縁談話が次々と持ち上がるが、いつも「ピカに遭った娘」という噂が立つと、全て破談になっていた。重松は、矢須子が直接ピカに遭っていないことを証明しようとして色々と手を打つが、黒い雨は矢須子の体を確実に蝕んでいた。そして矢須子の髪の毛が抜け始めるのだった...

原爆問題を真正面から受け止めた作品で、高い評価を得た作品である。また、映像をカラーではなくて白黒とした所がポイントであり、これが原爆の恐怖を一段と恐ろしいものにしている。また、白黒作品であるが、色彩感を感じることも出来る作品でもあって、高く評価されたというのも納得出来る。

また、女優に専念してある程度の歳月が流れていたスーちゃんであるが、何かあると「元キャンディーズ」のアイドルということが語られていたが、本作で真の女優として脱皮することにもなった。(本作での演技が高く評価されたのは多くの賞を受賞したことが証明している。)

それにしても、まだ若いのに、本当に残念な訃報である。尚、こういう言い方は不謹慎であるが、それを承知で記すと、現実問題では、原発事故によってこの作品に描かれている放射能の恐怖が現実問題となって迫っているが、「直ちに影響はない」と言っている専門家がいる。確かに原爆と比べると放出された放射線量は微量であるが、原爆は一瞬の放射、原発事故は微量ながらも長時間の放射という違いがある。それだけに、何年も過ぎてから出てくる症状については不明な所が多い。この時期に本作を改めて接することになったのは、(特に「有識者」と呼ばれている人たちに)世間に対して放射能の恐ろしさを問うているスーちゃんからの最期のメッセージのように感じられるところである。

スーちゃん、長い間お疲れ様でした。謹んでご冥福をお祈り致します。

 

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