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「人生劇場」(その8) [映画(邦画)]

今回は、戦前に「人生劇場」を初めて映画化した内田吐夢監督による東映作品を取り上げます。本作の原作は第三部となる「残侠篇」であって、自伝的な原作の中で唯一の完全創作な物語である。で、やくざ映画で成功を収めていた東映の戦略に乗せて、やくざ映画という一面を前面に出した作品である。また、劇場公開は1968年10月であった。

人生劇場 飛車角と吉良常」(1968年)
作品データを記しておくと、1968年の東映東京の作品で、時間は109分、原作は尾崎士郎、監督は内田吐夢、脚本は棚田吾郎、撮影は仲沢半次郎、美術は藤田博、音楽は佐藤勝である。そして出演は、鶴田浩二、辰巳柳太郎、松方弘樹、若山富三郎、藤純子、中村竹弥、大木実、信欣三、天津敏、山本麟一、村井国夫、山城新伍、遠藤辰雄、名和宏、亀石征一郎、八名信夫、北川恵一、伊達弘、佐藤晟也、関山耕司、岡野耕作、小林稔侍、左幸子、高倉健、島田正吾、高須準之助、久地明、水原丈二、野口泉、桐島好夫、亀山達也、安城由貴子、田川恒夫、原信夫、土山登志幸、山本緑、名達ますみ、たちである。

大正末期、8年ぶりに上海から故郷に帰った吉良常は、亡き主人・青成瓢太郎の子である瓢吉を訪ねるために上京した。瓢吉は勉学に励んでいて、中学時代の恩師・黒馬と同居していて、吉良常も瓢吉の家に腰をおろすことになる。そんな頃、砂村の小金一家と貸元・大横田の間にいざこざが起こり、大橫田の元からおとよという女を足抜きさせた飛車角が小金一家に匿い、兄弟分の奈良平が裏切ったことで、奈良平を斬った飛車角が警察に追われ、瓢吉の家に逃げ込んできた。吉良常は事態を悟と飛車角に自首を勧め、それに従って飛車角はおとよに会い、小金と大横田が手打ちになったのを知り、自首をした。が、おとよはそれから行方をくらました。4年後、宮川は玉ノ井の女に惚れるが、それはおとよだった。宮川はそのことを知らず、それを知った仲間から忠告される。が、宮川はおとよと共に逃げる準備を進める。一方、吉良常は、おとよに対して、飛車角に面会に行くよう勧めるが、既に飛車角のことは忘れていたおとよは苦悩して、お袖と共に姿をくらます。そんな頃、特赦で飛車角が出所してくる。また、懸賞小説に当選した瓢吉は大陸に渡ることになる。吉良常は、「瓢吉が男として名を上げるまで墓は建てるな」という遺言を残して自殺した瓢太郎のために、今こそ墓を建てる時と思い、飛車角と共に吉良港に戻る。そして吉良港に戻っていたおとよと飛車角は再会したが、離れていた時間は2人を元に戻すことはなかった。故郷に戻った吉良常は、長年の疲れから病に倒れ、やがて死んでしまう。飛車角には刺客・デカ虎が追ってきて、その刺客を狙う宮川も吉良港にやって来る。宮川はデカ虎が草鞋を脱いだ杉源一家に一人で殴り込みをかけるが、返り討ちに遭う。宮川が殺されたことを知った飛車角は杉源一家に殴りこみをして、一家とデカ虎を倒して宮川の仇を取り、宮川の死体をおとよに託し、一人で吉良港を去って行った。

飛車角を主人公とした作品は1963年から3作が製作されていて(その3作は別途記します。)、その流れを受けての作品である。また、内田監督にしても、戦前の「青春篇」に続く「人生劇場」ということで、この点でも要チェックである。ただ、完全に主役は飛車角になっていて、瓢吉は「人生劇場」という作品であることを繋ぐための脇役になっているので、完全に別作品と捕らえても良い作品である。

 

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