「CATCH ME A SPY」 [映画(洋画)]
表題の作品は1971年のフランスとイギリスの合作映画「雨のパスポート」である。日本での劇場公開1972年1月であった。新婚初夜に夫がスパイ容疑で連れ去れらた新妻が、夫を救うために立ち向かって行くコメディ仕立てのサスペンス作品である。また、フランス映画のお洒落な感覚もある所が本作のポイントである。
作品データを記しておくと、時間は92分、監督と脚本はリチャード・クレメント、撮影はクリストファー・チャリス、音楽はクロード・ボランである。そして出演は、カーク・ダグラス、マルレーヌ・ジョベール、トレヴァー・ハワード、トム・コートネイ、ベルナデット・ラフォン、ベルナール・ブリエ、たちである。
ロンドンの教会で結婚式を挙げたファビアンヌと貿易商人のジョン・フェントン。2人はルーマニアにハネムーンで旅立った。そして、首都・ブカレストのホテルでの初夜、ソ連の秘密警察が乗り込んできて、夫をスパイ容疑で連れて行ってしまった。新妻のファビアンヌはイギリス大使館に駆け込み、助けを求めた。で、モスクワに飛ぶ手続きを行った。が、空港で彼女に声を掛けた黒眼鏡の男はホテルのボーイであり、誘われるままにウィスキーを飲むと、ファビアンヌは意識が薄れていった。それは麻酔薬であって、彼女はロンドン行きの飛行機の中にいた。そして、夫・ジョンの誘拐は、ソ連の大物スパイ交換のための策謀だったと分かる。で、ファビアンヌは新しいスパイの替玉を見つけようと決心して、行動を開始した。彼女は、自分をつけてくる男を怪しいと睨み、上手く誘い込んでバスロームに閉じ込めて逃れたが、その男はイギリス情報部が彼女のボディガードとして派遣された男だった。彼はバクスターといい、ファビアンヌに本気で惚れこんでしまったことから、彼女のためなら何でもやると誓った。そんなファビアンヌを、あのボーイに化けていた男が迫ってきた。ファビアンヌはこの男を罠にはめ、交換用の替玉スパイにでっちあげようとした。が、そんな2人は東側のスパイに連れ去られてしまう。2人は何とか協力して脱出し、スコットランドを彷徨った。そこで男は正体を明かした。彼はアンドレイという名前で、ソ連で発禁の政治家の回想録などをマイクロフィルムに撮影して持ち出す運び屋だった。そして、秘密警察に追われていたブカレストのホテルで、ファビアンヌの鞄と感違いしてジョンの鞄にマイクロフィルムを隠してしまったというのだった。身を隠して転々とする間にアンドレイとファビアンヌの間には恋心が芽生えるようになっていた。その頃、ソ連は、アンドレイが持ち去ったマイクロフィムを取り戻すために、アンドレイをソ連のスパイだと名指して、ジョンとの交換を申してきた。そして、アンドレイとジョンが交換されることになる。それぞれが小型モーターボートに乗り、接近してくる2人。ファビアンヌの心は2人の間で揺れていた。2人が交換されようとした時、アンドレイがマイクロフィルムの在処を叫んだ。そして、ジョンは東から金を貰っていた二重スパイだったことが分かった。ファビアンヌは迷わずにアンドレイモーターボートに飛び乗り、ジョンのボートを体当たりで沈め、そのまま漂流していった...
部分的には「雨の訪問者」(M・ジョベールが出演している作品である。)のような雰囲気があって、それが独特の雰囲気を醸し出している。また、東西冷戦下でのスパイ合戦という展開も定番とはいうものの、色々と見せてくれている。また、コメディ的に要素というものも、笑いを取ることを狙ったのではなく、スパイスとして機能していることで、サスペンスという物語を邪魔することが無い。
ということで、フランス流のお洒落な部分と、イギリス流の上品さとが上手く纏まっていて、たっぷりと楽しめる作品となっている。じっくりと堪能しましょう。
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