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「若さま侍捕物帖」(その2) [映画(邦画)]

今回は「若さま侍捕物帖」の最初の映画化シリーズである1950年と1951年に劇場公開された新東宝によるシリーズ(黒川弥太郎主演作)の2作についてです。第1作は1950年12月に、第2作は1951年5月に劇場公開されている。

新東宝・黒川弥太郎主演作第1作若さま侍捕物帖 謎の能面屋敷
作品データを記しておくと、1950年の新東宝の作品で、時間は86分、白黒作品である。原作は城昌幸、監督は中川信夫、脚本は井上梅次、撮影は友成達雄、美術は梶由造、音楽は鈴木静一である。そして出演は、黒川弥太郎、河津清三郎、鳥羽陽之助、大河内傳次郎、清川玉枝、香川京子、江川宇礼雄、杉山昌三九、柳家金語楼、若月輝夫、利根はる恵、榎本美佐江、川田晴久、海江田譲二、たちである。

近頃、江戸の町では能面を付けた強盗殺人犯が横行していた。若さま侍は、つものように柳橋の料亭・喜仙の離れ座敷でのんびりしていた。そんな所に、与力の佐々島と御用聞遠州屋の小吉とが、その事件の報告をする。賊を追っていくと、いつも「能面屋敷」と呼ばれる屋敷の近くで見失うというのである。また、その屋敷の当主は、顔面に醜い火傷の痕があるため、いつも能面をかぶっている能役者の間崎広光という男であること、しかし広光は持病で外出できない体ということだった。また、弟として玄馬がいるものの、彼は殆ど家に寄りつかないということだった。そして出入りしているのは用人の喜左衛門だけであって、疑わしい所はないというのだった。更に、賊の仲間と思われるお高頭巾の女については、料亭・喜仙で見失うということだった。そんな中、またまた能面の賊が現れ、それを追った御用聞の三吉が、能面屋敷の入口で、矢で射殺された。で、若さま侍・堀田左馬介は腰を上げたが、若さま侍はお高組巾の女が矢場のお銀ということを承知していた。また、喜仙の一人娘・おいとが、能面屋敷に奉公することになった。その頃、用人喜左衛門は、広光に「能面強盗は弟・玄馬の仕業だ」と告げた。これに怒った広光は、喜左衛門に玄馬を斬れと命じた。が、調べに動いていた若さま侍に玄馬は助けられた。そして翌日、大川に、顔を滅多切りにされた喜左衛門の死体が浮かび、それ以後、玄馬の姿も見えなくなる。おいとは奉公先の間崎家で、広光から言い寄られるが、能面を取った顔を見てしまったことから、それは広光ではないことが分かり、地下牢に監禁されてしまう。そして、そこに弱り果てた広光がいた。若さま侍は矢場のお銀から手がかりを得ようとするが、お銀も殺されてしまう。が、今際の言葉から謎を解くヒントを得て、間崎家に乗り込んだ。間崎家の御用人・喜左衛門というのは、実は8年前に三宅島を脱走した極悪盗賊・夜叉丸であり、喜左衛門と思われた死体は、実は彼に殺された玄馬だった。ということで、事件を解決した若さま侍は、おいとを助け、元の生活に戻った。

テンポも良く、娯楽作品のツボをしっかりと抑えた作品ということで、分かりやすく見やすい作品でした。

新東宝・黒川弥太郎主演作第2作若さま侍捕物帖 呪いの人形師
作品データを記しておくと、1950年の新東宝の作品で、時間は79分、白黒作品である。原作は城昌幸、監督は中川信夫、脚本は井上梅次、撮影は平野好美、美術は梶由造、音楽は鈴木静一てある。そして出演は、黒川弥太郎、田崎潤、鳥羽陽之助、清川玉枝、香川京子、江川宇礼雄、野上千鶴子、清川荘司、横山運平、山本礼三郎、オリエ津坂、江見渉、川田晴久、たちである。

人形師・長次が「人形の呪いだ」と口走る予言が当たり、その後、目明かしの越後屋弥助、用人・木村甚内、前南町奉行の前田丹波守たちの所に「お命頂戴、まぼろし」という通告が届いた。そして弥助が刺殺それ、狂気ののみが丹波守秘蔵の人形の手に握らされていた事件が起こった。続いて木村甚内が毒殺され、毒薬の包みが丹波守秘蔵の人形の前に落ちていた事件が起こった。で、若さま侍は腰を上げて調査を開始した。次は丹波守が狙われると思われたが、殺されたのは丹波守の身代わりを務めた原勝馬という同心だった。しかし彼の死体が消えた。若さま侍は、丹波守の秘蔵の人形は人形師・長次が彫ったもので、昔、丹波守に処刑された盗賊・新三・お浜夫婦を模ったものであることを突き止めた。また、新三・お浜の娘・お艶は湯女に身を落としたこと、丹波守の養女・楓は新三・お浜の娘であったこと、楓には兄がいて、それは原勝馬だったことを知る。そして、殺されたと思った原勝馬は実は生きていた。両親の仇を取るために丹波守を狙っていて、実は彼こそがまぼろしだった。若さま侍の活躍で、事件は丸く解決したのだった。

本作も、テンポ良く進んでいき、娯楽作品のツボはしっかりと抑えられている。時間的には中編ということになるが、十分楽しめる作品である。

後に、大川橋蔵主演のシリーズが作品数を重ねていくことで、「若さま侍」というと大川橋蔵というイメージの方が強くなるが、黒川弥太郎の若さま侍というのも悪くないですね。彼の主演による作品が2本で終わってしまったのは残念でした。

 

↓映像ソフトがないので、原作小説を拾っておきます。

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若さま侍捕物手帖一 (ランダムハウス講談社時代小説文庫)

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若さま侍捕物手帖 (徳間文庫)

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