「DON'T BOTHER TO KNOCK」 [映画(洋画)]
表題の作品は1952年のアメリカ映画「ノックは無用」である。日本での劇場公開は1954年4月であった。M・モンローが精神異常者を演じたことで知られるサスペンス作品である。また、本作はA・バンクロフトの映画デビュー作でもある。更に、本作は1991年にテレビ・ムービーとして「ザ・シッター」(原題は「THE SITTER」)でリメイクされている。
作品データを記しておくと、時間は77分、白黒作品である。原作はシャーロット・アームストロング、監督はロイ・ウォード・ベイカー、脚本はダニエル・タラダッシュ、撮影はルシアン・バラード、音楽はライオネル・ニューマンである。そして出演は、リチャード・ウィドマーク、ジーン・キャグニー、エリシャ・クック・Jr.、マリリン・モンロー、アン・バンクロフト、ドナ・コーコラン、グロリア・ブロンデル、ジム・バッカス、ルリーン・タトル、ヴェルナ・フェルトン、ウィリス・バウチイ、ドン・ベードー、たちである。
パイロットの婚約者を飛行機事故で失ったネルは、その一件以来、精神的異常を見せるようになった。そんなネルが、マンハッタンのあるホテルのエレペータ・ボーイである叔父のエディの所にやってきた。エディはネルに、ホテルで行われる記者会見に出席するジョーンズ夫妻の娘・バニーの子守の仕事を世話したのだった。一方、そのホテルに宿泊している若いパイロットのジェッドは、ホテルの酒場歌手・リンと恋仲だったが、最近は別れ話が持ちあがっていた。ネルはバニーを寝かしつけると、ジョーンズ夫人のドレスと宝石を身につけ、一人で踊り始める。そこにエディがやってきて、ネルを厳しく叱ると出ていった。が、ネルのその様子を窓越しに見ていたジェッドがエディと入れ替わるようにやってきた。ジェッドがパイロットと知ったネルは、死んだ婚約者がやってきたと思い込み、熱いキスをする。が、ジェッドが再びやってきた。ネルはジェッドをバスルームに隠したが、エディは寝るの様子から男がいると感づいた。するとネルは灰皿でエディを殴って気絶させた。また、バニーがむずがり始めたことで、ネルはバニーに猿轡を填めて手足を縛った。意識を取り戻したジェッドはリンの所に戻り、事情を全て正直に話し、昔のような恋中に戻る。が、ネルはジェッドがいないことに気づくと、ヒステリーを起こして暴れる。そんな所にジョーンズ夫人が戻って来てバニーの姿を見て驚いた。再び戻って来たジェッドがその仲裁をし、エディはネルが精神異常者であることを説明した。ネルはその場で自殺しようとしたが、ジェッドがそれを阻止し、警官に連れられていった...
作品としては低予算作品であるのだが、限られた場所のみ(=ホテルの一室)に絞ったストーリー展開の工夫と、時間的には中編の範囲に留めてまとめられたことで、十分と楽しめる作品に仕上がっている。
また、本作の出演陣を見ると、現在では凄い顔ぶれが集まっているが、M・モンローもブレイクする前であり、人気が出始めた頃だし、A・バンクロフトも初の映画出演作品である。
モンローは、ブレイクするとセックス・シンボルとして語られることが多くなったが、本作ではしっかりとした演技力を見せていて、容姿だけで人気が出たのではないことが分かるところである。
演技派女優としてのM・モンローを確かめるためにも、チェックしておいた方がよい、低予算作品ながらクオリティの高い作品である。
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