「EL NORTE」 [映画(洋画)]
表題の作品は1983年のアメリカ映画「エル・ノルテ 約束の地」である。日本での劇場公開は1988年11月であった。夢を求めて「北(エル・ノルテ)」へと流離う兄妹の希望と苦悩の日々を描いた人間ドラマである。
作品データを記しておくと、時間は139分、監督はグレゴリー・ナヴァ、脚本はグレゴリー・ナヴァとアンナ・トーマスの2人、撮影しジェームズ・グレノン、音楽はザ・フォルクロリスタスとメルシオ・マルティネスの2人である。そして出演は、ザイーデ・シルヴィア・グティエレス、デヴィッド・ヴィラルパンド、アーネスト・ゴメス・クルス、アリシア・デル・ラーゴ、ルーペ・オンティヴェロス、トニー・プラナ、ダイアン・キャリー、たちである。
中米・グァテマラ。その北部に住んでいるインディオの小作人たちは、地主の圧制に苦しみながら、いつかは自由な暮らしを夢見て過ごしていた。エンリケとロサという兄妹も誰もと同じで、豊かな北・アメリカ(=エル・ノルテ)への思いを募らせていた。ある夜、兄妹の父は、村外れにある廃墟で行われる密会に出席したが、そこに政府軍が乱入して惨殺された。更に母も軍隊に連行されていき、行方不明となってしまう。兄妹は身の危険を感じ、村を捨てて北へと行くことを決意した。難とかメキシコのティファナに到着した2人は国境を越えようとするが、国境案内人に騙されて密入国に失敗してしまう。メキシコに戻った2人は、村人ラモンの紹介で、ライモンドという案内人を頼り、地下水道を潜り抜けて、難とかアメリカに入国をした。そして、ロスに行き、新生活を初めて2人は、次第にその生活に馴染んでいく。エンリケはウェイターに、ロサは家政婦の仕事に就き、次第に豊かさを感じるようになっていた。そんな中、エンリケはシカゴでの仕事を依頼された。しかし、この仕事は妹の同行が許されないため、断った。すると、エンリケの出世をねたむ同僚が移民局に密告し、エンリケは職を失ってしまう。で、シカゴ行きを改めて考えるエンリケだったが、ロサがチフスで重体になったという知らせが入る。ロサの病床に向かったエンリケは、仕事か妹かを悩むエンリケだったが、彼の姿を見たロサは静かに息を引き取った...
中米とアメリカでは、貧困からくる移民問題は現在では大きな社会問題となっているが、その問題に比較的早く着目して描かれた社会派ドラマであり、兄妹愛を絡めてじっくりと描かれた作品である。
日本では、この問題に関しては今一つ認識されないこともあって、ソフトには恵まれない状況になっているが、こういう問題こそじっくりと考えておくべきであるだけに、問題を知るためにも見ておくべきかと...(但し、本作はドキュメントではなく、フィクションであるだけに、あくまでも参考資料の一つにしかなりませんが...)
↓リージョンコードが「2」ではないので注意が必要です。
↓ビデオです。
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