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KIM CARNES『CAFE RACERS』 [音楽(洋楽)]

表題のアルバムは1983年に発表されたものであり、1981年の年間No.1シングルを獲得した『Bette Davis Eyes』を含んだ「MISTAKEN IDENTITY」に続いて発表したアルバムである。(が、前作のヒットとは裏腹に、セールスの方は実に控えめな結果になった。)元々はカントリー畑の彼女であるだけに、ポップなサウンドは一般的には受け入れやすかったが、旧来のファンにとったらば、「やっぱり違う」ということなんでしょうね。が、ハスキーな彼女のボーカルは健在であり、ボーカル・アルバムとしても悪くない一枚である。

収録されているのは以下の全10曲である。『You Make My Heart Beat Faster』『Young Love』『Met You At The Wrong Time In My Life』『Hurricane』『Universal Song』『Invisible Hands』『I Pretend』『Hangin' On By A Thread (A Sad Affair Of The Heart)』『Kick In The Heart』『I'll Be Here Where The Heart Is』。

この中からのお薦め曲としたら、『Young Love』『Hurricane』『Invisible Hands』という所をピックアップすることにしておく。確かにポップなサウンドというのは聴きやすく親しみやすいのだが、やはり何か違うという感じがしないでもない。彼女には『Bette Davis Eyes』というポップなナンバーの大ヒットがあるが、やはり彼女にはカントリー系のサウンドが、というのが筆者の思いでもある。が、'80'sポップスということでは、とても聴きやすいものであり、彼女の魅力の一つであるハスキーなボーカルがメロディに乗って、たっぷりと聴かせてくれる。'80'sポップスがお好きな方にはお薦めの一枚であるが、カントリー系のファンの方は、筆者のように避けておいた方がいいのかも知れません。(と言っても、カントリーの彼女とは違った一面を知ることになるので、「完全拒否」という訳ではありません。)前作が傑作だっただけに、ちょっと残念な結果になりましたが、「黄金の1983年」というレベルがあまりにも高い年に発表されたと言うことで、運が悪かったということになったようです...

 

Café Racers

Café Racers

  • アーティスト: Kim Carnes
  • 出版社/メーカー: One Way
  • 発売日: 2001/10/09
  • メディア: CD


KIM WILDE『ANOTHER STEP』 [音楽(洋楽)]

表題のアルバムは1986年に発表されたものであり、彼女がシンガーとして大きくブレークすることになったアルバムである。これまでの彼女は、ポップス・シンガーというよりはアイドルといった存在であったが、本アルバムによって、よりポップなサウンドへ移っていき、カヴァー曲である『You Keep Me Hangin' On』によってポップス・シンガーへと変身した。(で、後にダンサブルなポップ・ナンバーを多数ヒットさせることになる。)ということで、本アルバムは彼女にとっては新たなスタートの節目となったアルバムである。本アルバムのサウンドは、とにかくポップになり、『Kids In America』のちょっと突っ張っていた所が無くなり、丸くなりました。

収録されているのは以下の全13曲である。『You Keep Me Hangin' On』『Hit Him』『Another Step (Closer To You)』『Thrill Of It』『I've Got So Much Love』『Victim』『Schoolgirl』『Say You Really Want Me』『She Hasn't Got Time For You』『Brothers』『Missing』『How Do You Want My Love』『Don't Say Nothing's Changed』。この中からは『You Keep Me Hangin' On』が大ヒットを記録し、1987年のBillboard年間シングル・チャートで34位、レギュラー・チャートでは最高位11位まで上昇した。(まあ、この曲がヒットしたのは、原曲が良い曲だったという一面もありました。)

その他の曲では、丸くなったとは言っても、まだまだかつての雰囲気の残っている『Another Step (Closer To You)』や『Victim』も忘れられない所である。尚、本アルバムでは、曲のタイトルに「Love」という単語が入っている曲は2曲しかないが、この後彼女は「Love」という単語が曲名に入っている歌を多数歌うようにもなる。こういう所もチェックしておいたら面白いところである。

本アルバムで、ポップス・シンガーへと転身したKIMであるが、アーティストとしての力量が出てくるのは'90'sの声を聴いてからということになるのだが、少なくともその片鱗を示している。'80's終盤から'90'sのダンス系ポップスを語る上では、直接そのサウンドを支えることになったアルバムではないが、決して忘れてはならないアルバムである。

 

Another Step

Another Step

  • アーティスト: Kim Wilde
  • 出版社/メーカー: Mca
  • メディア: CD


KATE BUSH『THE DREAMING』 [音楽(洋楽)]

表題のアルバムは1982年に発表された彼女の4th.アルバムである。「小悪魔」とも「天使」とも言われる彼女であるが、サウンドの方はまさにアーティストとしての本領を発揮している。24トラックのMTRを3台使って72チャンネルというマルチ録音を行ったサウンドは実に様々な音を聴かせてくれるが、そのサウンドはまさにアーティストである。それに彼女の豊かな音域を持つボーカルが融合した世界は、ちょっと危ないという領域にまで到達しており、彼女の最高傑作と言うことが出来るアルバムである。

収録されているのは以下の全10曲である。『Sat In Your Lap』『There Goes A Tenner』『Pull Out The Pin』『Suspended In Gaffa』『Leave It Open』『The Dreaming』『Night Of The Swallow』『All The Love』『Houdini』『Get Out Of My House』。

お薦め曲は『Pull Out The Pin』『Night Of The Swallow』『All The Love』『Get Out Of My House』という所をピックアップしておくが、できることならば本アルバムは1曲目から順番に、じっくりと味わうのがいい。全10曲を続けて聴くと、精神的にちょっと参っている時だと、何となく心に一筋の光が差し込んだような気持ちにさせてくれる。(筆者は、鬱病で参っているとき、このアルバムを耳にして、少しずつ快方に向かっていくきっかけになりました。)特に、彼女の魂の叫びであるボーカルは絶品である。

本アルバムは、セールスの面や評論家の評価は芳しくなく、次のアルバムでは音の方は元に戻ることになるのだが、精神世界を表現した本アルバムは'80's前半という時代ではあまりにも先取りしすぎていたということなのだろうか。彼女も本作の反応の悪さに精神的に参ってしまったというのだが、真の芸術作品というのはいつもそういうものである。まもなく発表から四半世紀が経過しようとしているが、再評価されていいアルバムである。じっくりと聴いてください。

 

The Dreaming

The Dreaming

  • アーティスト: Kate Bush
  • 出版社/メーカー: Elektra
  • 発売日: 1990/10/25
  • メディア: CD


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