「007/THE MAN WITH THE GOLDEN GUN」 [映画(洋画)]
007シリーズ最新作であるシリーズ第21作の「CASINO ROYALE」が12/1に公開になるが、それに向けて、これまでのシリーズ全20作を7月からDVDで順番に改めて見ている。(シリーズ40周年記念のDVD-BOX+「ダイ・アナザー・デイ」。一応、特典映像の方も改めて見ているので、1本を見るのに3時間半から4時間という時間が必要となる。尚、今度は全20作のアルティメット・コレクションのBOX(スーツケースに収納)が発売されるのですね。全作吹き替え版もあるということで、一応は「アルティメット」と感じます。(が、40周年のBOXを持っているので、流石に購入の方は...)で、今回は3代目ボンド・ロジャー・ムーアの2本目であるシリーズ第9作の「黄金銃を持つ男」です。
尚、007シリーズに関してはHPの方に資料として作っていますので、そちらもご覧頂ければ幸いである。(ここをクリックしてください。)尚、各作品については「作品解説」と「脱線メモ」という2本立てで記していますが、前者は筆者が書いたもの、後者は年間に映画を600本以上見るという友人のG氏が書いたものです。
「THE MAN WITH THE GOLDEN GUN」は1965年にI.フレミングが発表した小説であるが、「007」の長編小説としては最後の作品である。原作小説からは登場人物を持ってきているが、ストーリーの方はオリジナルになっている。また、シリーズ第1作の「ドクター・ノオ」からずっとコンビを組んでいたプロデューサーの一人であるハリー・サルツマンが関わった最後の作品であり、次作からはアルバート・R・ブロッコリが一人となる。ということで、シリーズとしては節目となった作品でもある。また、前作「死ぬのは奴らだ」に登場したペッパー保安官が再登場しているなど、楽しいところもある。また、ロジャー・ボンドではお馴染みの派手なスタントは、川を車で飛び越えるところで一回転するという曲芸ジャンプがあり、これは見所である。メカの方も、空飛ぶ自動車が登場するなど、今後の派手なメカに発展する基礎を確立している。
本作の監督は、前作に引き続き、シリーズ4度目の監督を務めるガイ・ハミルトン。脚本はリチャード・メイバウム、トム・マンキーウィッツの二人が担当している。で、主題歌を歌うのはルルで、東洋の神秘さを感じさせるパワフルなボーカルと曲調が魅力的な同名主題歌を歌っている。キャストは、ボンドには2作目となる3代目のロジャー・ムーアに、ボンドガール(ミス・グッナイト)には金髪が魅力的なブリット・エクランド。彼女はスウェーデンのB.B.(=ブリジット・バルドー)と呼ばれた金髪の美しい美人女優である。また、スカラマンガの愛人・アンドレアには、シリーズ第13作「オクトパシー」でメインのボンドガールを演じることになるモード・アダムス。(シリーズの2作品においてボンドガールを演じるのは彼女だけである。)そして、ボンドの敵・黄金の銃を持つ殺し屋・スカラマンガには、ドラキュラ俳優として有名なクリストファー・リーである。(万年筆、ライター、シガレットケース、カフスなどを組み合わせて出来る黄金銃はとてもユニークです。)そして、前作ではQが登場しなかったが、本作ではM、Q、マネーペニーのトリオもちゃんと出演している。(バーナード・リー、デズモンド・リュウェリン、ロイス・マックスウェルというお馴染みの顔ぶれです。)
尚、これは実現しなかったのだが、本作の舞台が東洋(実際は香港、シンガポール、タイとなりました。)となったことから、当初はジャイアント馬場と青木秀子が出演するという話が進められていた。(特にG.馬場は、どういう役でのオファーだったのか、ちょっと知りたいところでもあります。)
物語は、Mの元に「007」という刻印のある黄金の弾丸と共に「ボンドの命をもらう」と書かれた手紙が届いた。で、ボンドは差出人である殺し屋スカラマンガを追うために香港に飛ぶ。が、スカラマンガはボンドではなく別の男をターゲットにしていた。事件の背後にソレックス・アジテイタという太陽熱をエネルギーに換える装置が関係していることを知ったボンドはスカラマンガの拠点に向かった。しかしそこには空手を使う殺人集団が手ぐすね引いて待っていた。辛くも脱出したボンドだったが、スカラマンガには逃げられてしまい、タイ・プーケットのあるスカラマンガの本拠に乗り込み、死のゲームが始まる...
本作では、ラストの敵の本拠地の大爆破はあるが、火炎が上がるという派手なアクションは少ない作品である。それをカバーするために、スカラマンガが有する空飛ぶ自動車を登場させ、キャラの方では前作に登場したギャグ・メーカーのペッパー保安官が旅行でタイに来ているということで登場したり、本作の目玉となる車による川のジャンプ・スタントがあったりというように、今までの作品とは少し趣向を変えた作品となっている。が、これらは空回りした所もあって、興行的にも興収1億ドルを割り込み、当時は失敗作とも言われる内容でした。(どうも東洋が舞台となると、今ひとつ弱くなってしまうということがあるようです。)
本作では、いよいよ「脱・スペクター」という路線が固まった作品でもあり、スマートでいてユーモアがあるロジャー・ボンドには派手なメカを登場させるという路線が完全に確立した作品でもある。(この辺りがコネリー・ボンドに対して批判されることが多いが、娯楽作品であり、しかも主演が変わっているのだから、何もコネリー・ボンドを追う必要はないので、これはこれで良いことです。)
James Bond 007 - Legacy Collection 12 Inch Figure: Roger Moore as James Bond
- 出版社/メーカー: サイドショウ
- メディア: おもちゃ&ホビー
LAUREN WOOD『LAUREN WOOD』('97) [音楽(洋楽)]
表題のアルバムは1997年に発表された彼女の3rd.アルバムであるが、実に16年ぶりに発表したアルバムである。尚、この記事の表題に「('97)」と記しているのは、1979年の彼女の1st.ソロ・アルバムも、このアルバムと同じタイトルで、名前をそのままにしたものであるためである。(あくまでも、ここに記しているのは、1997年に発表した3rd.アルバムについてである。)ちょっと男性っぽい声質の彼女のボーカルは、一聴しただけだと男性ではないか?と思える(声変わり前の少年)ものでもあるが、歴とした女性ボーカルアルバムである。
収録されているのは以下の全13曲である。(尚、ラストの曲は「Secret Track」と言うことになっているが、この曲は1981年発表の2nd.アルバムに収録されているボーカル・ナンバーでもある。が、1990年の映画「プリティー・ウーマン」に使われたことで再び注目された曲である。)『Electric Eyes (I Will Wait for You)』『All I Need』『Do It Yourself』『Evidently』『Soul Searching』『Twisted Reality』『Still Not over You』『But You Are』『I'm Usually Obsessed』『Back in Time』『Big House』『5 Years, 26 Days and 8 Hours』『Fallen』。
この中では『Fallen』が知名度が高い曲であるが、この曲は1981年に発表した彼女の2nd.アルバム「CAT TRICK」に収録されているボーカル・ナンバーである。'80's前半当時の彼女は、ウエスト・コーストの雄であるマイケル・マクドナルドに通じるところがあり、女・マイケル・マクドナルドと言われたこともあった。で、当時隆盛を極めていたA.O.R.というサウンドでもある。この他の曲では、『Electric Eyes (I Will Wait for You)』『All I Need』『Big House』といった所をお薦め曲としてピックアップしておく。尚、本アルバムは16年ぶりのアルバムであるが、ブランクというものは全く感じさせないでいる。
本アルバムは、A.O.R.がお好きな方と、(女性)ボーカルがお好きな方であれば、何の抵抗もなく入っていくことが出来るアルバムでもある。ちょっとお洒落な都会のセンスが光るボーカル・アルバムである。じっくりと聴き込みたくなるアルバムです。
LEO SAYER『THE VERY BEST OF LEO SAYER』 [音楽(洋楽)]
表題のアルバムは2000年にリリースされたベスト盤である。選曲は1974年から1982年に発表された曲であり、'70'sサウンドが中心になっている。当然の如く、彼が放った全米o.1ソングも収録されている彼の軌跡をまとめたベスト盤である。サウンドの方は、基本的にはポップス路線であるが、'70'sの流行りのサウンドから、じっくりと聴かせてくれるボーカル・ナンバーまであり、こういう所は「集大成」という「ベスト盤」の役割をしっかりと果たしている。
収録されている曲は以下の全16曲であり、たっぷりと彼のボーカルを堪能することが出来る。『Show Must Go On』『Giving It All Away』『One Man Band』『Long Tall Glasses』『Moonlighting』『You Make Me Feel Like Dancing』『When I Need You』『How Much Love』『Endless Flight』『Thunder In My Heart』『Easy To Love』『Raining In My Heart』『I Can't Stop Loving You (Though I Try)』『Living In A Fantasy』『More Than I Can Say』『Have You Ever Been In Love?』。
全米No.1ソングは『You Make Me Feel Like Dancing』と『When I Need You』であるが、コレラは共に1977年のことで、前者が1977年のBillboard年間シングル・チャートの13位、後者が同年の年間シングル・チャートの24位にランクインしている。尚、2曲ともレギュラー・チャートで1位の座を獲得したのは1週間である。(1977年はのべで30曲(内2曲はNo.1に返り咲きを果たしている)ものNo.1ソングが生まれていて、実にめまぐるしくチャートが動いた年である。)前者は、当時流行の兆しがあったディスコ調のサウンドの一曲で、この後に映画「サタデー・ナイト・フィーバー」の大ヒットと共に世界的なディスコ・サウンドのブームが起こることになる。(半歩時代をリードしていたと言うことになります。)
この他にも数多くのヒット曲があり、'70'sの後半では、米英で大人気を集めていた曲が続く。筆者のお薦め曲は、No,1ヒットの2曲以外の曲では、『Show Must Go On』『More Than I Can Say』『Moonlighting』『I Can't Stop Loving You (Though I Try)』『Have You Ever Been In Love?』という所をピックアップしておくが、ベスト盤ということで、全ての曲が素晴らしい曲である。
本ベスト盤には、'80'sになってからの曲も収録されているが、彼の全盛期は'70's後半であり、新しい時代である'80'sのサウンドには今ひとつ付いていくことが出来なかった彼であるが、'70's(後半)では大いなる光を放っていた存在である。'70'sポップスがお好きな方はもとより、'80'sポップスがお好きな方、更にはボーカルがお好きな方にお薦めしたいベスト盤である。尚、彼について知りたいという方には実に美味しいベスト盤であることは言うまでもない。
LAKESIDE『FANTASTIC VOYAGE』 [音楽(洋楽)]
表題のアルバムは1980年に発表されたものであり、'80'sという新しい時代の幕開けにふさわしい魅力のサウンドを聴かせてくれるアルバムである。'70'sの時代でもファンキーなサウンドはあったが、新時代のことを考えて、洗練されたファンキーな味わいが何とも言えない魅力を放っている。また、本アルバムは、1981年のBillboard年間アルバム・チャートで50位、レギュラー・チャートでは最高位16位を記録するスマッシュ・ヒットとなっている。
収録されている曲は以下の全7曲である。『Fantastic Voyage』『Your Love Is On The One』『I Need You』『Strung Out』『Say Yes』『Eveready Man』『I Love Everything You Do/Say Yes [Reprise]』。
この中からは、アルバム・タイトル・ナンバーである『Fantastic Voyage』がそのファンキーな魅力に満ちた代表的な一曲として知られているが、本当に楽しくなる一曲である。また、これ以外の曲では『Say Yes』がお薦めである。(邦楽の世界で、某デュオがこれと同じタイトルの曲を放ち、大ヒットを記録しているが、もちろん同名異曲である。そもそも、こちらの曲の方が時間軸では先に発表されている。)
本アルバムのサウンドは、世界的なディスコ・ブームによって、ダンス系ミュージックが幅を利かせていた'70'sの終盤に、来るべき'80'sという新時代に対する新しいサウンドを生み出そうとする流れが生まれたが、それが本当に'80'sという時代に入って放たれたファンキーなものであり、当時の流行りが分かるアルバムでもある。特に「流行」はその時代を映す鏡でもあり、時代を反映したアルバムというのは、これはこれで、文化を語る上でも貴重な資料となる。本アルバムは、そういった性格を持ったアルバムであり、'80'sという時代を語る上では実に貴重な資料でもある。'80'sサウンドがお好きな方は一聴されたし。