太陽の黙示録(前編・海峡) [アニメ]
WOWOWの開局15周年記念番組ということで、「太陽の黙示録」がアニメ化され、それがON AIRとなった。原作マンガの方は現在12巻まで発売になっているが、アニメ化されたのは4巻までの物語である。それが前後編に分けての放送となり、「前編」が放送されたので、一応記すことにした。(が、細かいストーリーまではここでは追わない。)
物語は、東京を襲った京浜大地震によって首都東京は壊滅状態に陥る。さらに、この地震がきっかけとなり、東海、東南海、南海地震が発生し、富士山は噴火、本州は琵琶湖を境として東西に割れてしまう。大阪は水没し、日本政府は、臨時政府を札幌に置くが、被害が甚大であり、どうしようもなくて自力での復興を諦め、アメリカと中国の支援によって復興の道を選択した。という衝撃の物語である。そして、北日本は中国、西日本はアメリカの支援を受けて復興の道を歩み始める。で、日本が米中によって分割統治されることになった。
地震というものはいつ発生するのか分からない。しかも、その規模まで予想することは現代の科学力では不可能である。いつ、この物語が現実になってもおかしくない出だしのストーリーである。(脚色された部分、被害は最悪のケースを辿った場合としているが、侮ってはならない。)
この原作は2003年から連載が始まったマンガであり、1995年の阪神大震災の後に描かれたものであるが、地震が原因となって日本が外国によって分割統治されるという物語は他にもある。例えば、これもマンガであるが「希望の伝説」というのがある。これは阪神大震災前に描かれた作品であり、外国も現在とは少し違った力関係で日本を分割統治することになっているが、「太陽の黙示録」のアイデアに繋がっているところがある。
「希望の伝説」は、東京を大地震が襲い、その影響で富士山が噴火するという所は同じである。また、本州分断も起こるが、こちらは糸魚川-駿河湾にかけて走るフォッサマグナで本州が分断すると言うことになっている。また、伊豆半島も本州からちぎれて独立した島になってしまう。
'80'sに描かれた作品と言うことで、日本を分断統治する外国の国というのは、米英仏ソということになっているが、当時の世界情勢を考えたら、このようになるのは十分理解できる。ということで、「太陽の黙示録」の最初に起こる基本的な設定は全て「希望の伝説」には登場する。しかし、そこからの世界情勢の変化(東西冷戦の終結、ソ連の崩壊、中国の台頭など)を考慮し、更には阪神大震災で得たことを含めてリニューアルしたという感じがする。(作者は別の人であって関係ないですが...)
「希望の伝説」と「太陽の黙示録」のストーリー展開は当然別のものである。物語の主題も別のものである。スタートとなる地震、列島分断、日本の分割統治という共通点はあるが、作者も違うのだから、これは当然と言えば当然である。が、改めて「希望の伝説」があまりにも世の中に登場したのが早すぎたという気になってしまう。(秋田書店から「希望の伝説」は発売されているので、これを機に、一度は読んでもらいたい作品である。)
で、「太陽の黙示録」の物語を続ける。
実質的に日本は米中による分割統治ということになり、海外に避難した人々も数多く出る。で、主人公の少年は台湾に避難していた。地震から15年が経過し、日本は既に米中の支配下に入っていた。で、物語の舞台は台湾へ。現地の避難キャンプにいる日本人と、現地の台湾人との間で、色々と衝突が起こる。で、「日本人とは」というアイデンティティを描いたヒューマン物語へとなる。(既に「希望の伝説」しは全く違う物語になっている。)
「大地震」という全てを変えてしまう天変地異によって発生する出来事は、一つのシミュレーションであるが、人はどう生きるのか、アイデンティティは、と問う物語である。尚、地震発生からその後の二次、三次災害、避難所生活、…などはしっかりと勉強しておきたいことである。
で、「後編」の物語は人間ドラマとして描かれるが、それはまた別の機会に...
大地震死んではいけない!―間違いだらけの「常識」にだまされるな!
- 作者: レスキューナウ, 目黒 公郎
- 出版社/メーカー: アスコム
- 発売日: 2006/03
- メディア: 単行本
LITTLE RIVER BAND『SLEEPER CATCHER』 [音楽(洋楽)]
表題のアルバムは1978年に発表された6枚目のアルバムである。当時の彼らは、'75年のデヴューからハイペースでアルバムを発表していたということもあってのことだが、これはこれで凄いことである。(と言って、駄曲ばかりを発表していたのではない。)彼らはオーストラリア出身のバンドであり、'80's初頭に大きな旋風を巻き起こした「ダウンアンダー勢力」の世界進出のパイオニアとなるグループの一つであり、爽やかで聴きやすいロックを聴かせてくれるバンドである。そしてデヴューから着実なヒットを飛ばしてきた。本アルバムが発表された当時は、世界的なディスコ・サウンドの一大ブームの真っ直中であったが、ディスコ・サウンドに流れることなく彼らの持ち味を出したアルバムとなって纏まっている。で、本アルバムも1979年のBillboard年間アルバム・チャートの66位(レギュラー・チャートでは最高位16位)を記録するというように、堅実にヒットしている。
収録されているのは以下の全11曲である。『Shut Down Turn Off』『Reminiscing』『Red-Headed Wild Flower』『Light Of Day』『Fall From Paradise』『Lady』『Sanity's Side』『So Many Paths』『One For The Road』『Take Me Home』『Changed and Different』。
この中からは、シングル・カットされてヒットした『Lady』(1979年のBillboard年間シングル・チャートでは42位、レギュラー・チャートでは最高位10位を記録)が代表的な曲と言うことになる。聴きやすい一曲であり、全米TOP 10入りするヒットになったのも当然という気がする一曲である。その他にも『Reminiscing』『Light Of Day』『Fall From Paradise』といった曲をお薦め曲としてピックアップしておく。
この後に起こる「ダウンアンダー勢力」の台頭は、INXSやMEN AT WORKなどがサックスを取り入れたサウンドを特徴として大ブレークしたが、彼らのサウンドはそういうサウンドではない。同じオーストラリア出身のバンドであるが、その辺りが違うと言うことはしっかりと頭に入れておいてもらいたいところである。で、AC/DC、AIR SUPPLYと共に、オーストラリア出身のバンドが世界的な活躍をする先駆者の一つである彼らのサウンドを聴いてみましょう!
LED ZEPPELIN『LED ZEPPELIN』 [音楽(洋楽)]
表題のアルバムは1969年1月に発表された彼らの1st.アルバムであり、ここからロック史に残る伝説が始まった。当時はまだ「ハードロック」という概念が無く、そのサウンドは衝撃を与えることになった。そして、同じ年の10月に発表された2nd.アルバム「LED ZEPPELIN Ⅱ」によって、来るべき新たな時代である'70'sが「ロックの時代」と言われることになる基礎を築き上げた。ということで、説明不要の音楽史に残る歴史的名盤であり、本アルバムを聴いていなければ、ハードロックに関しての発言権はない、と言うことの出来るアルバムである。(ロックがお好きな方であれば、聴いていて当然のアルバムである。)で、本アルバムはロング・ヒットなったアルバムであり、このことはチャートが示している。本アルバムはBillboardのレギュラー・チャートでは最高位10位を記録した、1969年の年間アルバム・チャートでは堂々の5位にランクインしている。最高位よりも年間チャートの順位が上というアルバムは珍しいことであり、これはロング・ヒットを記録しなければ達成できないことであり、本アルバムが与えた衝撃が如何に大きかったかがお分かり頂けるであろう。
収録されている曲は以下の全9曲である。『Good Times Bad Times』『Babe I'm Gonna Leave You』『You Shook Me』『Dazed And Confused』『Your Time Is Gonna Come』『Black Mountain Side』『Communication Breakdown』『I Can't Quit You Baby』『How Many More Times』。
この中では、どの曲がお薦めということは控えることにする。(何せ、それを言い出そうとしたら、結局は全部の曲がお薦めということになってしまうのは明かであり、それでは意味がないですから...)とにかく、ブルース色の強い産ウドが届いたかと思えば、アコースティック・ギターを巧みに使ったことで、アルバム全体にメリハリが出て、トラッド色が強く出た曲から、エネルギッシュでパワフルな曲、ボーカルがあまりにも輝いた曲、と言うように、内容の方はまさに充実したものである。(下手なバンドのベスト盤なんか、本アルバムの足下にも及ばない充実ぶりである。)そのサウンドは発表から35年以上が流れた現在でも色褪せるものではなく、十分に通用するサウンドである。
とにかく、ロック・ファンを自認する方であれば、聴いていて当然のアルバムであるが、もしも聴いていないという方がいらっしゃったら、これからでも遅くないのでしっかりと聴きましょう。また、これからロックを聴こうというような方も、彼らの名前は聴いておかなければならないものなので、しっかりとチェックすることにしましょう。本アルバムと「LED ZEPPELIN」の名前は、音楽史上に残る人類の残した文化遺産ですから...