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「DER SCHARLACHIROTE BUCHSTABE」('72) [映画(洋画)]

表題の作品は1972年の西ドイツとスペインの合作映画「緋文字」である。原作は有名なナサニエル・ホーソンの名作小説「緋文字」である。1926年のリリアン・ギッシュ主演が有名であるが、それをヴェンダース監督が撮ったということで、注目の作品である。また、本作は全編ドイツ語ということで、物語の舞台がアメリカなのに?ということを感じるが、それは言いっこなし、ということでお願いします。

映画データを記しておくと、原作はナサニエル・ホーソン、監督はヴィム・ヴェンダース、脚本はヴィム・ヴェンダースとベルナルド・フェルナンデスの2人、撮影はロビー・ミューラーである。そして出演は、ゼンタ・ベルガー、ルー・カステル、ハンス・クリスチャン・ブレッヒ、イエラ・ロットレンダーたちである。

物語は、17世紀、イギリスから新天地のアメリカに渡った女性・ヘスターは、夫以外の男との間に娘を生んだことから胸に赤い「緋文字」を刺繍されることになり、周囲の人々からは蔑まされていた。そんなヘスターの前に彼女の夫が石と名乗って現れる...

原作小説に従った物語であり、ストーリーとしては特に他の作品との大きな違いはないが、ヴェンダース監督の拘りが随所に見られる。また、舞台がアメリカなのに、英語ではなくドイツ語で展開される物語が独特の雰囲気を醸し出している。是非とも他の「緋文字」(「スカーレット・レター」を含む)と見比べて貰いたい作品である。尚、本作はヴィム・ヴェンダース監督の名前がまだ広く知られる前の作品ということで、どうしても埋もれがちになっている。(やはり、1975年の「さすらい」以降ということになってしまう...)が、しっかりとDVD化されている所は嬉しい所である。(日本では劇場未公開作品であるが、そういう作品もDVDで見ることが出来るのですから、言い時代になったものですね。)

 

緋文字 デジタルニューマスター版

緋文字 デジタルニューマスター版

  • 出版社/メーカー: 東北新社
  • 発売日: 2006/04/21
  • メディア: DVD

ヴィム・ヴェンダース コレクション

ヴィム・ヴェンダース コレクション

  • 出版社/メーカー: 東北新社
  • 発売日: 2005/01/21
  • メディア: DVD
↓原作小説
完訳 緋文字

完訳 緋文字

  • 作者: N. ホーソーン
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 1992/12
  • メディア: 文庫

「THE SCARLET LETTER」('26/'34) [映画(洋画)]

先に「スカーレット・レター」を取り上げたが、こちらの作品を忘れてはならないと言うことで、表題の作品をピックアップする。表題の作品は、映画「緋文字」である。1926年のサイレント映画「緋文字」はスウェーデン出身の名匠ヴィクトル・シェストレム監督作品ということと、主演がリリアン・ギッシュということで有名であるが、1934年の方は一つ知名度は高くない。

尚、1926年の「緋文字」は、劇場公開時は「緋文字」というタイトルであったが、ビデオ化された時に「真紅の文字」というタイトルに改題され、更に現在は、主演のリリアン・ギッシュの名前も追加して「リリアン・ギッシュの真紅の文字」という邦題となっている。(「緋文字」というタイトルでは、やはり1972年のヴィム・ヴェンダース監督作品という印象が強いと言うこともあるのでしょうね...)

作品データを記す(サイレント作品と古い作品ということで、資料があまり無いので簡単にします。)と、1926年の作品は、原作はナサニエル・ホーソン、監督はヴィクトル・シェストレム、出演は、リリアン・ギッシュ、ラルス・ハンソン、ヘンリー・B・ウォルソール、コリーン・ムーアたちである。

また、1934年の作品の方は、原作はナサニエル・ホーソン(「緋文字」)、監督はロバート・G・ヴィニョーラ、脚本はレナード・フィールズとデイヴ・シルヴァースタインの2人、撮影はジェームズ・S・ブラウン・Jr.である。そして出演は、コリーン・ムーア、ハーディ・オルブライト、ヘンリー・B・ウォルソール、アラン・ヘイル、コーラ・スー・コリンズ、ウィリアム・ファーナム、ヴァージニア・ハウエル、ウィリアム・ケントたちである。

原作が同じ小説であり、特にストーリーの上では大きな違いは無いが、舞台となる町が違うなど、多少の違いはある。

まずは1926年版の方から。こちらは何と言ってもリリアン・ギッシュの演技に圧倒される。やはり、20世紀初頭のビッグ・スターである貫禄ある所を見せてくれます。物語の舞台は、戒律の厳しい清教徒の町・ボストンである。自由な女性ヘスターは、協会に赴任してきた牧師のディムズデールに惹かれる。夫が留守中にディムズデール牧師と関係を持ったヘスターは身籠もるが、子供が出来たことを知らずにディムズデールは他の町に移って行ってしまった...

続いて、1934年版。こちらの物語の舞台となるのはニュー・イングランドのある村ということになっている。(清教徒が多いという設定は受け継がれている。)ヘスターの夫は数年前に彼女の元を去っていき、既に死んでいると思われていた。ヘスターは人々から尊敬されている牧師・ディムズデールと知り合いになり、やがて恋仲へ発展し、牧師の子を身籠もるヘスター。そして子供が生まれ、ヘスターは姦婦の印を付けられることになった。そんな所に死んだと思われていた夫が姿を現した...

どちらの作品も、大筋は原作小説に従った内容であるが、多少のアレンジがあるのはよくあることであって、これも悪くはない。が、やはり、1926年版のリリアン・ギッシュである。1995年の「スカーレット・レター」のデミ・ムーアも頑張っているものの、やはりリリアン・ギッシュである。ということで、改めて彼女が伝説のスターだ、ということを感じさせてくれました。(以前はLaserDiscではリリースされていたのですが、是非ともDVD化して貰いたいところです。)

ところで、1972年の西ドイツ(当時)とスペインの合作の「緋文字」(ヴィム・ヴェンダース監督作品)については別の記事と言うことにします。

 

この2本は現時点でDVD化されていないので、とりあえず原作小説を...

完訳 緋文字

完訳 緋文字

  • 作者: N. ホーソーン
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 1992/12
  • メディア: 文庫

ホーソーンの『緋文字』の研究 (1983年)

  • 作者: 名越 覚次郎
  • 出版社/メーカー: 名越修一
  • 発売日: 1983/02
  • メディア: -
↓'72年のヴェンダース監督作品はこちら
緋文字

緋文字

  • 出版社/メーカー: ハピネット
  • 発売日: 1998/09/25
  • メディア: DVD
↓'95年の「スカーレット・レター」
スカーレット・レター

スカーレット・レター

  • 出版社/メーカー: ハピネット・ピクチャーズ
  • 発売日: 2003/07/24
  • メディア: DVD

THE SCARLET LETTER('95)(SOUNDTRACK) [音楽(サントラ)]

1995年の映画「スカーレット・レター」である。この作品は1926年、1934年、1972年に映画化されたことがある作品で、ナサニエル・ホーソンの名作小説「緋文字」の映画化作品である。1972年は西ドイツとスペインの合作ということでアメリカでは無いので原題がドイツ語になっているものの、1926年と1934年、そして今回のいずれも映画のタイトルは、原題では「THE SCARLET LETTER」と同じであるが、邦題は今回がそのままカタカナ表記の「スカーレット・レター」となったが、過去の3回はいずれも「緋文字」であった。せっかく良い邦題があるのに、時代のせいなのだろうが、こういう安易なカタカナ表記というのは良くないことである。(もっと配給会社は考えるべきである。)

映画データを記しておくと、原作はナサニエル・ホーソンの名作小説「緋文字」である。監督はローランド・ジョフィ、脚本はダグラス・デイ・スチュワート、撮影はアレックス・トムソン、衣装デザインをガブリエラ・ペスクッチが担当し、音楽はジョン・バリーである。そして出演は、デミ・ムーア、ゲイリー・オールドマン、ロバート・デュヴァル、リサ・ジョリフ・アンドー、エドワード・ハードウィック、ロバート・プロスキー、ロイ・ドートリス、ジョーン・プロウライト、エリック・シュウェイグたちである。

舞台は17世紀のアメリカ・ニューイングランド地方。古い因習に立ち向かい、真実の愛を貫く女性の姿を描いた感動の物語である。自由奔放なヘスターは夫・ロジャーよりも一足早く入植地にやってきたが、厳格な町では受け入れてもらえずにいた。そんなヘスターは町の牧師アーサー・ディムズデールと出会い、互いに惹かれあう。そんなとき、夫・ロジャーの乗った船が難破してロジャーが死んだと聞かされたヘスターは、アーサーとの愛が燃え上がり、彼の子供を身籠もり出産したヘスター。が、ヘスターは父の名を決して口にすることなく、姦通を意味する緋色の「A」の文字を生涯胸に縫い付けるよう命じられる。そんな中、死んだと思われていたロジャーが生きていて、姿を現した...

で、こういう作品では、ジョン・バリーの音楽が冴え渡る。サントラ盤ではその音楽をチップ理と堪能することが出来る。

サントラ盤の収録曲は以下の全23曲である。『Main Title/The Arrival/Search For Home』『Hester Rides To Town』『Bird/The Swimmer』『Very Exhilarating Read』『I'm Not The Man I Seem』『Agnus Dei』『I Can See What Others Cannot』『Love Scene』『Are You With Child』『Small Act Of Contrition』『Birth』『I Baptize This Child - Pearl』『She Will Not Speak』『Dr. Rodger Prynne』『Hester Walks Through Town』『Poor Fatherless Child』『Attempt At Rape』『Savages Have Killed Him』『Round-Up』『I Am The Father Of Her Child』『Indians Attack』『Letter Has Served A Purpose』『End Title』。

物語が良い作品には必ず優れた音楽があるが、本作はそういう作品であり、サントラ盤も一緒に聴いてもらいたいところである。(勿論、原作小説も読んだ上で本作に接するというのは常識です。)

 

The Scarlet Letter (1995 Film)

The Scarlet Letter (1995 Film)

  • アーティスト: John Berry
  • 出版社/メーカー: Sony
  • 発売日: 1995/10/31
  • メディア: CD

↓映画DVDはこちら

スカーレット・レター

スカーレット・レター

  • 出版社/メーカー: ハピネット・ピクチャーズ
  • 発売日: 2003/07/24
  • メディア: DVD

↓原作小説はこちら

完訳 緋文字

完訳 緋文字

  • 作者: N. ホーソーン
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 1992/12
  • メディア: 文庫


IRON BUTTERFLY『IN-A-GADDA-DA-VIDA』 [音楽(洋楽)]

表題のアルバムは1968年に発表された2nd.アルバムであり、彼らの放ったモンスター・アルバムで代表作である。時は'60'sも終わりに近づいた1968年、当時「ニュー・ロック」「アート・ロック」等と呼ばれた新しいサウンドの代表格として、そのサウンドを分かりやすく具現化したということで大ヒットを、しかもロング・ヒット記録した。本アルバムはBillboardのアルバム・チャートで最高位4位を獲得したが、1968年の年間アルバム・チャートでは85位であったが、翌1969年の年間アルバム・チャートでは1位を獲得、更に1970年の年間アルバム・チャートでも16位にランクインしている。(3年近く、140週間にわたってチャートインしたら、3年連続年間TOP 100に入っても不思議ではない。)また、レギュラー・チャートで1位を獲得していないアルバムが年間1位に輝いたのは、1968年のJIMI HENDRIX EXPERIENCEの「ARE YOU EXPERIENCED?」に続いて2年連続のことであるが、この2年のみの快挙である。(シングルの方でも、1965年、2000年、2001年の3度しかない。)ということで、本アルバムは名実共に'60's終盤を代表するアルバムである。

収録曲は以下の全8曲である。(後ろの2曲はボーナス・トラックです。)『Most Anything You Want』『Flowers And Beads』『My Mirage』『Termination』『Are You Happy』『In-A-Gadda-Da-Vida』『In-A-Gadda-Da-Vida [Live]』『In-A-Gadda-Da-Vida [Single Version]』。

オリジナル盤は当然ながらLPの時代にリリースされたものであるが、そのB面を占領していた『In-A-Gadda-Da-Vida』のライブ・バージョンとシングル・バージョンがボーナス・トラックとして追加収録され、オリジナル版に続いて形の上では3曲続くということになったのは実に嬉しい所である。これでたっぷりとこの曲を堪能することが出来ます。

で、本アルバムからのお薦め曲は、当然ながらその『In-A-Gadda-Da-Vida』である。しかも、ボーナス・トラックの2バージョンも同時にお薦めである。オリジナル版は17分を越える超大作であるが、これにライブ・バージョンとシングル・バージョンが続くことで、39分弱という時間になるが、この時間というのは当時のアルバム1枚数の収録時間としても平均に達する時間である。それだけの時間を'60's終盤のあの独特の退廃的な世界に浸ることが出来るのだから、これは本当に凄いことであり、正に「ボーナス・トラック万歳!」である。

'60'sの雰囲気に浸りたいという方はじっくりと聴きましょう!

 

In-A-Gadda-Da-Vida

In-A-Gadda-Da-Vida

  • アーティスト: Iron Butterfly
  • 出版社/メーカー: Rhino
  • 発売日: 1995/10/31
  • メディア: CD

↓名盤はしっかりとGOLD DISCでもリリースされています。

In-A-Gadda-Da-Vida

In-A-Gadda-Da-Vida

  • アーティスト: Iron Butterfly
  • 出版社/メーカー: Mobile Fidelity
  • 発売日: 1996/07/16
  • メディア: CD


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