「THE LAST DINOSAUR/最後の恐竜 ~極底探検船ポーラーボーラ」 [映画(邦画)]
表題の作品は1976年の日米合作映画で、日本側からは円谷プロが参加している。当初は「極底探検船ポーラーボーラ」というタイトルだったと記憶しているが、ビデオとなった時点でタイトルは「最後の恐竜 ~極底探検船ポーラーボーラ」となっている。時はSFブームとなっていた頃の作品であり、ロスト・ワールドものという本作であるが、当時、円谷プロはTV作品として1976年には「恐竜シリーズ」としてアニメと実写を組み合わせた「恐竜探検隊ボーンフリー」を、翌1977年には「恐竜大戦争アイゼンボーグ」を、そして1978年には実写の「恐竜戦隊コセイドン」(「恐竜戦隊ジュウレンジャー」ではありません。)というシリーズを製作している。
作品データを記しておくと、製作はアーサー・ランキン・Jr.と円谷昇、総指揮が円谷皐、監督はアレックス・グラスホフと小谷承靖、脚本はウィリアム・オーヴァーガード、撮影は上田正治、特撮は佐川和夫、音楽はモーリー・ローズと広瀬健次郎である。そして出演は、リチャード・ブーン、ジョーン・ヴァン・アーク、中村哲、関谷ますみ、スティーヴン・キーツ、ルーサー・ラックリー、たちである。
大石油会社の社長であり、世界的にも狩猟家として知られているマステンは、彼の会社が開発した石油探査の為のポーラボーラ号が北極圏で恐竜たちが生息する謎の秘境を発見したと知らされた。ハンターとしての血が燃えたマステンは、直ぐに恐竜狩りに乗り出すことにしたが...
劇場用作品として制作されたが、結局アメリカではTVムービーとして放送されて劇場公開はされなかったが、日本では劇場公開された。というのは、北極圏の秘境はどう見ても日本だし、劇中に出てくる原始人も日本人にしか見えない、という日本の特撮番組のノリだったということが影響しているのでしょうね。登場する恐竜も着ぐるみということで、日本では市民権を得ていた特撮技術も、アメリカではどうも毛嫌いされてしまったようである。
'90'sになって「ジュラシック・パーク」という作品が登場したことで、映像表現ではリアルな恐竜を描くことが出来るようになったが、そのため、現在では陳腐な印象を受けてしまうが、本作にはロー・テクだが手作りの温もりを感じることが出来る。これはTVヒーロー作品できぐるみ怪獣が登場する作品を作り続けてきた円谷プロの魂がある。(が、アメリカには通用しなかったということになる。)
TVの着ぐるみ怪獣を見慣れた方であれば、'70'sのテイストを感じながらも十分に受け入れられる作品であろう。また、現在ならばツッコミ所満載の作品として受けそうな気もするのですけど...(是非、見てもらいたいと思うのだが、ビデオ化はされているものの、DVD化されていないし...)
↓ビデオです。
↓円谷の「恐竜シリーズ」で唯一リリースされている作品はこちら
↓CDならばこちらもあります
〈ANIMEX 1200シリーズ〉 (59) マーチ組曲 恐竜戦隊コセイドン (限定盤)
- アーティスト: TVサントラ, コロムビア・パーカッション・オーケストラ
- 出版社/メーカー: コロムビアミュージックエンタテインメント
- 発売日: 2004/03/27
- メディア: CD
↓これと見比べないようにしましょう...
JEUX INTERDITS(SOUNDTRACK) [音楽(サントラ)]
表題の作品は1951年のフランス映画「禁じられた遊び」である。(この作品が既に半世紀以上も前の作品になっていようとは、ちょっと驚いた筆者でした。)ナルシソ・イエペスの演奏するギターのメロディを耳にするだけで自然と涙が浮かんでくるこの作品であるが、とにかくこの曲は名曲中の名曲です。また、ブリジット・フォッセーが何とも言えない可愛さがあります。モノクロ映像に反戦の願いを込めたしっかりとした物語で、誰もが涙した作品である。
映画データを記しておくと、製作年は1951年であるが、日本公開は1953年であり、その後何度かリバイバル公開されている。(それだけ人気の高い作品です。)原作はフランソワ・ボワイエ、製作はポール・ジョリ、監督はルネ・クレマン、脚本はジャン・オーランシュとピエール・ボストの2人、撮影はロベール・ジュイヤール、音楽はナルシソ・イエペスである。そして出演は、ブリジット・フォッセー、ジョルジュ・プージュリー、シュザンヌ・クールタル、ジャック・マラン、たちである。
物語は、1940年の第二次大戦中のフランスの南部のある田舎町。機銃掃射で両親を失い、死んだ子犬を抱いたまま彷徨っていた5歳の少女ポーレットは、牛を追っていた少年ミシェルと出会い、彼の家に連れていってもらう。ポーレットのために死んだ子犬の墓を作るミシェル。そこからポーレットは死んだものを葬ることを教わり、お墓を作る遊びが気に入り、ミシェルと一緒に次々とお墓造りをするようになるが...
あまりにも有名な主題曲であるだけに、映画音楽全集にも、ギター音楽全集にもその主題歌は必ずと言っていいように収録されているが、意外とサントラ盤の方は知られていないものである。(現在は他の作品と2 in 1になっていたなんて、知りませんでした。)
で、そのサントラ盤に収録されているのは以下の全14曲である。『Romance』『Testament De l'Amelia [Chanson Catalane]』『Sarabande Et Bourre』『Trio』『Jeux Interdits [Soundtrack Excerpts]』『Jeux Interdits [Studio Medley]』『Atalante (Main Title)』『Arriv Au Port』『Mariage』『Bibelots, Charmants』『Bal Musette』『Fuite A Paris』『Loin, Du Foyer』『Bonheur A l'Atalante-Ending』。
有名な主題歌であるが、これからはサントラ盤の方でも聴きたいと思います。(これまでは「全集」の中の一曲として聴いていた筆者でした。)
Jeux Interdits & l'Atalante/O.S.T.
- アーティスト: Original Soundtrack
- 出版社/メーカー: Sound Track Factory
- 発売日: 2002/06/17
- メディア: CD
↓映画DVDはこちら
↓映画音楽全集をいくつか
- アーティスト: オムニバス, ナルシソ・イエペス, フランシス・ゴヤ, ロメロ・ファミリー, パコ・デ・ルシア, エドゥアンド・ファルー
- 出版社/メーカー: ユニバーサルインターナショナル
- 発売日: 2002/03/27
- メディア: CD
- アーティスト: オムニバス, フランシス・ゴヤ, ロメオ・ファミリー, パコ・デ・ルシア, エドゥアンド・ファルー
- 出版社/メーカー: ユニバーサルインターナショナル
- 発売日: 2000/07/26
- メディア: CD
スクリーンミュージック・ベスト・セレクション~ヨーロッパ映画〈禁じられた遊び〉
- アーティスト: BGM集, インストゥルメンタル
- 出版社/メーカー: コロムビアミュージックエンタテインメント
- 発売日: 1995/11/01
- メディア: CD
「LE LIVRE DE MARIE JE VOUS SALUE MARIE」 [映画(洋画)]
表題の作品は1984年のスイスとフランスの合作映画の「ゴダールのマリア」である。尚、この作品には、冒頭に短編の「マリアの本」という作品が付いている。現代の「処女懐胎」を真摯に描いている作品である。が、本作はそれ以上に、ローマ教会が色々と口を出したことによって有名になった。(宗教的な立場でクレームを付けたが、それによって世界中に派手に宣伝になったという皮肉な所が何とも言えません。)
映画データを記しておくと、「マリアの本」の監督と脚本はアンヌ・マリー・ミエヴィル、本作の本編(「こんにちは、マリア」)の監督と脚本はジャン・リュック・ゴダールである。撮影はジャン・ベルナール・ムヌー、カロリーヌ・シャンプティエ、ジャック・フィルマン、イヴァン・ニクラスたちで、音楽はフランソワ・ミュジーである。そして出演は、「マリアの本」にはブルーノ・クレメル、オーロール・クレマン、レベッカ・ハンプトン、本編である「こんにちは、マリア」にはミリアム・ルーセル、ティエリ・ロード、フィリップ・ラスコット、ジュリエット・ビノシュ、たちが出演している。
タクシー運転手のジョセフはジュネーブに住んでいる。彼はジュリエットという女性に恋されていたが、彼の頭にあるのはジュリエットの同級生のマリーの方だったが、マリーは素っ気なかった。そんな中。天使ガブリエルが現れて、マリーに近く身籠もることを告げた。(誰の子までは伝えない。)で、懐妊したマリアだったが、彼女は処女だった。これにジョゼフは...
この作品にはバッハの音楽が全編を通して使われているのだが、それがまた何とも言えない味を出している。そんなサントラ盤が欲しいところなのだが、それが無いのが残念な所である。といっても、ゴダール作品ということなので、映画の方だけでもしっかりと見ましょう。(でも、こういう題材って、日本人には根本的に向いていないか...)
TOTO『FAHRENHEIT』 [音楽(洋楽)]
表題のアルバムは1986年に発表された彼らの6th.アルバムである。本アルバムからは3代目ボーカリストとして、映画音楽家で有名なJOHN WILLIAMSの息子であるJOSEPH WILLIAMSが加わり、心機一転ということで新たなスタートを切ったアルバムである。また、本アルバムには元EAGLESのドン・ヘンリーやジャズ界の大御所・マイルス・デイヴィスをゲストに迎えていることも注目される所である。サウンド的には彼らの特徴であるAOR系のパワー・バラードを中心としたものになっていて、円熟味が増したサウンドを聴かせてくれる。ということで、本作は大ヒットしてもおかしくないだけの要素があったものの、セールス的には苦戦して、Billboardのアルバム・チャートで最高位40位を記録したものの、年間アルバム・チャートのTOP 100にはランクインしていない。
収録曲は以下の全10曲である。『Till The End』『We Can Make It Tonight』『Without Your Love』『Can't Stand It Any Longer』『I'll Be Over You』『Fahrenheit』『Somewhere Tonight』『Could This Be Love』『Lea』『Don't Stop Me Now [Instrumental]』。
この中からは、3曲がシングル・カットされているが、その中でも『I'll Be Over You』はBillboardのシングル・チャートで最高位11位を記録し、1986年の年間シングル・チャートでも99位にランクインするヒットとなっている。(99位という所がTOTOらしいと思ってしまいます...)また、『Without Your Love』は最高位38位を記録しているが、『Till The End』はチャートにランクインするようなヒットにはならなかった。
本アルバムからの筆者のお薦め曲は、やっぱりシングル・ヒットを記録した『I'll Be Over You』は外せない。それ以外では、『Till The End』『Can't Stand It Any Longer』『Could This Be Love』に、インスト・ナンバーである名曲『Don't Stop Me Now』という所である。
セールス的には苦戦したが、これは'80'sの音楽シーンは1983年という頂点の年を境に、'85年ごろで一気に新旧交代となり、'70'sから活動しているアーティストたちから'80'sになって登場した新たなアーティストたちに主導権が移ることになり、その波に呑み込まれてしまったためであるが、音楽のクオリティが劣っている訳ではない。(逆に、プレイには円熟味が増している。)ということで、安心して聴くことの出来るアルバムである。