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「忍びの者」(その2) [映画(邦画)]

懐かしの邦画ヒーローの第14弾「忍びの者」の第2回は、石川五右衛門を主役にした作品の残り2本であり、これらはいずれも1963年に製作されたものである。ところで、シリーズ作品で、2作目が「続」、3作目が「新」というタイトルになるのはよくあることですね。(2作目は1作目の完全な続きの物語、3作目は続きであるが、設定を少し変えたりする、という所も同じです...)

シリーズ第2作続・忍びの者
作品データを記しておくと、1963年の大映作品であり、時間は93分の白黒作品である。原作は村山知義、監督は山本薩夫、脚本は高岩肇、撮影は武田千吉郎、美術は内藤昭、音楽は渡辺宙明である。そして出演は、市川雷蔵、藤村志保、城健三朗、山村聰、東野英治郎、坪内ミキ子、永井智雄、石黒達也、須賀不二男、松本錦四郎、山本圭、伊達三郎、浜田雄史、南条新太郎、原聖四郎、市川謹也、玉置一恵、荒木忍、たちである。

物語は前作の続きである。忍者狩りを続ける信長は、伊賀の砦を潰した後も手を緩めなかった。五右衛門と妻・マキは子供を失い、信長に対して復讐の鬼となっていた。とりあえず、マキの故郷である雑賀に身を隠す。そんな所に、家康の使者として服部半藏が現れ、信長を倒すには、秀吉に追い越されて焦っている明智光秀を利用すればよい、と教える。で、五右衛門たちは光秀に近づいて裏工作を始める。それが成功して光秀は失脚、怒りを爆発させて本能寺にいる信長を襲う光秀。五右衛門はそこで燃えさかる火の中で信長を虐殺して復讐を果たす。が、中国地方に遠征していた秀吉が瞬く間に光秀を討ち、天下を握る。そして秀吉は長い間の禍の元となっていた雑賀党を全滅するために兵をさしむける。圧倒的な兵力の前に雑賀党も太刀打ちできず、授軍を求めに出た五右衛門一人を残して全員が討死、妻・マキも果てた。やり場のない怒りと傷心の五右衛門の前に、再び家康の使者として服部半藏が現れ、秀吉の住む聚楽第の見取図を置いて行く。で、五右衛門は見取図を手に秀吉を暗殺しようとして聚楽第に忍び込むが、廊下の鴬張りに気付かず、秀吉暗殺は失敗、囚われの身となる。で、秀吉は見せしめのためとして、五右衛門を三条川原で釜煎りの極刑に処した。

史実にあるように釜煎りの刑にされた石川五右衛門であるが、なかなか面白い展開で史実に沿った形にしている所が面白い。本作ではあまり姿を見せない家康であるが、次作のことを考えると、しっかりと伏線を用意していたということで、次作が楽しみになる作品でもある。

シリーズ第3作新・忍びの者
作品データを記しておくと、1963年の大映作品であり、時間は87分の白黒作品である。原作は村山知義、監督は森一生、脚本は高岩肇、撮影は今井ひろし、美術は太田誠一、音楽は渡辺宙明である。そして出演は、市川雷蔵、若尾文子、東野英治郎、成田純一郎、北原義郎、中村豊、杉田康、伊達三郎、細川ちか子、三島雅夫、嵐三右衛門、水原浩一、原聖四郎、南条新太郎、杉山昌三九、たちである。

物語は前作の続きであるが、史実とはかけ離れた設定で物語は石川五右衛門を中心として展開される。豊臣秀吉暗殺に失敗し、釜煎りの刑に処された石川五右衛門であったが、徳川家康の密命を受けた忍者・服部半蔵の助けを借りて、五右衛門は刑場から脱出していた。それから京の街は姿なき怪盗によってかき乱されることになる。五右衛門が秀吉に復讐しようと動き出したのだった。そんな頃、淀君が秀頼を生み、跡継ぎに使用とする秀吉。これに秀次や北政所は嫉妬心を持つ。五右衛門は更に、淀君を襲い、秀頼を奪おうとするが、これは失敗したものの、淀君は不安に陥る。朝鮮征伐のために兵を動かす秀吉。その間に五右衛門は、秀吉、秀次、北政所らの離間工作を進める。秀吉が朝鮮征伐から戻って来ると、秀次を窮地に陥れ、失脚させようとする。これに秀次の老臣・木村常陸介が最後の手段として、五右衛門に秀吉暗殺を依頼する。満を持して五右衛門は待望の時が来たとほくそ笑み、伏見城の秀吉を狙う。が、秀吉はもはや死病の床にあり、家康を枕辺に呼ぶと秀頼の後だてになってくれるように頼んでいた。五右衛門は秀吉の寝所に入り込むが、秀吉はそれを家康と見誤り、後事を頼みむと最期を迎えた。そして天下は家康のものになる。家康は五右衛門に仕官を勧めるも、妻子の仇を取ったことに満足すると、関ヶ原の朝霧に消えていった。

石川五右衛門を主人公とした作品はここで幕となる。ラストの五右衛門の台詞「家康は俺を使って天下を取ったが、俺は家康のおかげで妻子の仇をとった」というものが、忍者は結局は為政者たちの手駒として利用されただけということを物語っていて、新盛する結びとなっていて、これが良い所である。実際、石川五右衛門は大盗賊とされていて、忍者であったという証はないが、こういう発想は面白い所である。また、石川五右衛門の子孫(末裔)という設定を使った作品として「ケータイ刑事THE MOVIE2」が生まれているが、こういう発想はワクワクしてくるものであり、娯楽作品として大いに楽しんで貰いたい所である。

 

続・忍びの者

続・忍びの者

  • 出版社/メーカー: パイオニアLDC
  • 発売日: 2003/02/21
  • メディア: DVD

新・忍びの者

新・忍びの者

  • 出版社/メーカー: パイオニアLDC
  • 発売日: 2003/02/21
  • メディア: DVD

忍びの者全集・天之巻

忍びの者全集・天之巻

  • 出版社/メーカー: パイオニアLDC
  • 発売日: 2002/07/25
  • メディア: DVD

↓まもなく再発されます。

続・忍びの者

  • 出版社/メーカー: 角川エンタテインメント
  • 発売日: 2008/01/25
  • メディア: DVD

新・忍びの者

  • 出版社/メーカー: 角川エンタテインメント
  • 発売日: 2008/01/25
  • メディア: DVD
 

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「LA ROMANA」 [映画(洋画)]

表題の作品は1954年のイタリア映画「ローマの女」である。英語タイトルは「WOMAN OF ROME」である。A.モラヴィアのベストセラー小説を本人を含む4人のチームが脚色した一人の女性の遍歴を描いたメロドラマである。

作品データを記しておくと、時間は97分、但し、アメリカ公開版は89分である。(かつて、LDでリリースされていたのはアメリカ版である。)原作はアルベルト・モラヴィア、製作はディノ・デ・ラウレンティスとカルロ・ポンティの2人、監督はルイジ・ザンパ、脚本はアルベルト・モラヴィアとG・バッサーニとE・フラヤーノ、ルイジ・ザンパの4人、撮影はエンツォ・マゼッティである。そして出演は、ジーナ・ロロブリジーダ、ダニエル・ジェラン、レイモン・ペルグラン、フランコ・ファブリッツィ、セニア・ヴァルデーリ、たちである。

舞台は1935年、ファシストの時代のローマ。貧しさのために男から男へ渡り歩く淫らな生活をしているアドリアーナ。彼女はモデルとしてアトリエに通っていた。彼女は金持のお抱え運転手・ジーノに恋をしたが、ある日曜日、モデル友達のジゼラにドライブを誘われ、内務省の大物・アスタリータに身体を許すが、彼には妻子がいると知り、それに絶望して男から男へと渡り歩くようになったのだった。そんな暮らしをしている内に、彼女はミーノう男と出会い、これまでに出会った男と全く違っていた。そんなミーノは反政府活動に加わっていて警察から追われていて、アドリアーナの田舎に逃げて氏福の日々を送る。やがてローマに帰ったアドリアーナは、ミーノが警察に捕まったと知り、アスタリータに彼の釈放を願い出る。やがて釈放されたミーノだったが、彼はすっかり人が変わっていた。アスタリータの尋問に、同志を裏切って全てを告白したのだった。アドリアーナはアスタリータに対してミーノを心から愛していて、まもなくミーノの子供が生まれることを打ち明ける。が、アスタリータは何者かに襲われて殺され、ミーノは同志を裏切った自責から死を選ぶ...

男を次々と変えていく中で心に傷を重ねていき、ようやく理想の男と巡り会うが、その男が反政府活動家だったことから苦渋の道を進んで行く姿は、時代が時代ということもあるが、メロドラマとしたらツボを心得たものである。「人間の罪悪と美徳は共に自然に生じ、環境に支配される」というテーマを原作と同様に上手く描いた一編である。それにしても、こういう作品がDVD化されないのは仕方ないのでしょうかねぇ???

 

↓ビデオです。

ローマの女

  • 出版社/メーカー: 東映ビデオ
  • 発売日: 1989/03/17
  • メディア: ビデオ
↓原作

ローマの女〈上巻〉 (1951年)

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 文芸春秋新社
  • 発売日: 1951
  • メディア: -

ローマの女〈下巻〉 (1951年)

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 文芸春秋新社
  • 発売日: 1951
  • メディア: -

ローマの女 (1966年)

  • 作者: アルベルト・モラヴィア
  • 出版社/メーカー: 弘文堂
  • 発売日: 1966
  • メディア: -


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RANDY NEWMAN『LITTLE CRIMINALS』 [音楽(洋楽)]

表題のアルバムは1977年に発表された彼の6枚目のスタジオ・アルバムである。邦題はそのままの訳である「小さな犯罪者」である。'80'sになると映画音楽の方に主戦場を移す彼であるが、この当時はEAGLESと強い関係を持っていて、お互いのアルバムに参加しあっている。(で、EAGLESのメンバーが本アルバムに参加している。)彼の毒舌ぶりはおとなしくなっていて、AOR系のサウンドをたっぷりと聴かせてくれるアルバムである。尚、本アルバムはBillboardのアルバム・チャートでは、最高位9位を記録していて、1978年の年間アルバム・チャートでは53位にランクインしている。

収録曲は以下の全12曲である。『Short People』『You Can't Fool The Fat Man』『Little Criminals』『Texas Girl At The Funeral Of Her Father』『Jolly Coppers On Parade』『In Germany Before The War』『Sigmund Freud's Impersonation Of Albert Einstein In American』『Baltimore』『I'll Be Home』『Rider In The Rain』『Kathleen (Catholicism Made Easier)』『Old Man On The Farm』。

この中からは『Short People』がシングル・カットされて、全米2位を獲得する大ヒットになった。また、1978年のBillboard年間シングル・チャートでも41位にランクインしている。

本アルバムからの筆者のお薦め曲は、シングル・ヒットを記録した『Short People』、そしてアルバム・タイトル・ナンバーである『Little Criminals』、それに続く『Texas Girl At The Funeral Of Her Father』と『Jolly Coppers On Parade』そして『In Germany Before The War』、アルバムをとても良い雰囲気を終わらせてくれる『Old Man On The Farm』というところをピックアップしておく。

本アルバムはDVD-AUDIOでもリリースされているが、これはそれだけ本アルバムが評価されているということでもある。少なくとも、以前のようなシニカルさに磨きを掛けた毒舌ぶりの影が薄くなり、聴きやすいサウンドになっているということもあるだろう。(この点では、ちょっと物足りなさを感じることにもなるが、人として丸くなってきたということでもある。)EAGLESのファンの方をはじめ、'70'sのウエストコースト・ロックがお好きな方には聴いてもらいたい大人のアルバムである。

 

Little Criminals

Little Criminals

  • アーティスト: Randy Newman
  • 出版社/メーカー: Reprise
  • 発売日: 1990/10/25
  • メディア: CD

Little Criminals [12 inch Analog]

  • アーティスト: Newman Randy
  • 出版社/メーカー: Unknown Label
  • 発売日: 1997/06/11
  • メディア: LP Record

↓DVD-AUDIOはこちらです。

Little Criminals

Little Criminals

  • アーティスト: Randy Newman
  • 出版社/メーカー: Rhino
  • 発売日: 2002/03/26
  • メディア: DVD Audio


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