「ROMEO AND JULIET」('1936/'1954(UK&IT/USSR)) [映画(洋画)]
表題の作品は、これまでに何度も映画化されているシェイクスピアの有名戯曲の映画化作品である「ロミオとジュリエット」であり、その中から1936年のジョージ・キューカー監督のアメリカ製作のものと、戦後初の作品である1954年のイギリスとイタリアの合作作品、ソ連製作の3作について取り上げる。(それ以外はまた別の機会に述べる。)物語の方は、あまりにも有名であるので、内容については多くを語ることはしない。同じ作品でも監督の違い、脚色の違いによって随分と雰囲気が違ってくるものであり、見比べてみるというのも面白い所である。
まずは1936年の作品から。邦題は「ロミオとジュリエット」である。作品データを記しておくと、時間は126分、アメリカ。MGMの製作である。原作はウィリアム・シェイクスピア、製作はアーヴィング・サルバーグ、監督はジョージ・キューカー、脚本はタルボット・ジェニングス、撮影はウィリアム・H・ダニエルズ、音楽はハーバート・ストサートである。そして出演は、ノーマ・シアラー、レスリー・ハワード、ジョン・バリモア、エドナ・メイ・オリヴァー、ベイジル・ラスボーン、C・オーブリー・スミス、アンディ・ディヴァイン、レジナルド・デニー、ラルフ・フォーブス、たちである。
MGMが得意とする豪華なセットと衣装を使い、豪華キャストが結集したことが特徴となっている作品である。ロミオとジュリエットを演じた二人(L.ハワード、N.シアラー)は当時40代前半と30代前半であり、そんな二人が10代のロミオとジュリエットを演じている。が、特に年齢のことが気になるような所はない。逆に、脇を固める俳優たちとともに、演技の方がしっかりしているだけに、安心してみることが出来る。
続いて、1954年のイギリスとイタリアの合作作品について。邦題は「ロミオとジュリエット」である。作品データを記しておくと、時間は140分、原作はウィリアム・シェイクスピア、監督と脚本はレナート・カステラーニ、撮影はロバート・クラスカー、音楽はロマン・ヴラドである。そして出演は、ローレンス・ハーヴェイ、スーザン・シェントール、フローラ・ロブソン、マーヴィン・ジョーンズ、ジョン・ギールグッド、セバスチャン・キャボット、ノーマン・ウーランド、ビル・トラヴァース、たちである。
本作はヴェネチア国際映画祭でグランプリ(金獅子賞)獲得している。ジュリエットを演じたスーザン・シェントールは公募で選ばれた人であり、彼女の演技が絶賛された。(が、彼女の映画出演は本作だけということもあって、伝説になっている。)イタリアのネオ・リアリズムを取り入れた演出が見所の作品である。
最後は、1954年のソ連製作の作品について。この作品の邦題は「ロメオとジュリエット物語」となっている。また、ソ連でのタイトルは「ROMEO I JULLIETTA」、英語圏でのタイトルは「ROMEO AND JULIET」である。
作品データを記しておくと、時間は80分、原作はウィリアム・シェイクスピア、監督と脚本はレフ・アルンシュタムとレオニード・ラブロフスキーの2人、撮影はA・シェレンコフとチェン・ユーランの2人、音楽はセルゲイ・プロコフィエフである。そして出演は、ガリーナ・ウラノワ、ユー・ジダーノフ、S・コーレン、A・エルモラーエフ、たちである。
本作はカンヌ映画祭で抒情詩映画賞を受賞しているが、ソ連の映画ということで、知名度は他の作品よりも低いのが残念な所である。が、本作はバレエ映画ということで、他の作品とはまた違った所が味わえる。こういう作品もまた良いものである。
↓有名すぎる原作
ロミオとジュリエット (対訳・注解 研究社シェイクスピア選集)
- 作者:
- 出版社/メーカー: 研究社
- 発売日: 2007/01/10
- メディア: 単行本
ロミオとジュリエット―Shakespeare’s Romeo and Juliet 【講談社英語文庫】
- 作者: ウィリアム・シェイクスピア, William Shakespeare, ステュウット・アットキン
- 出版社/メーカー: 講談社インターナショナル
- 発売日: 1994/02
- メディア: 文庫
- 作者: シェークスピア
- 出版社/メーカー: フロンティアニセン
- 発売日: 2005/02/01
- メディア: -
- 作者: シェイクスピア
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 2005/06/25
- メディア: 文庫
- 作者: W. シェイクスピア, William Shakespeare, 松岡 和子
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 1996/04
- メディア: 文庫
↓1954年のイギリス+イタリア版
↓1954年のソ連版
↓やっぱり、O.ハッセ版か、ディカプリオ版と言うことなんでしょうね...
RISKY BUSINESS(SOUNDTRACK) [音楽(サントラ)]
表題の作品は1983年の映画「卒業白書」である。T.クルーズがブレークするきっかけになった作品でもあり、'80'sに量産された青春映画の一つである。一応、青春コメディということに分類されているが、ドタバタとしたコメディ作品ではなく、「ユーモアが利いた」程度であり、「恋する日曜日」のような雰囲気のある青春映画である。(音楽の使い方も上手くて、ここも「恋日」に通じる所がある。)
作品データを記しておくと、時間は100分である。製作はジョン・アヴネットとスティーヴ・ティッシュの2人、監督と脚本はポール・ブリックマン、撮影はレイナルド・ヴィラロボスとブルース・サーティースの2人、音楽はタンジェリン・ドリームである。そして出演は、トム・クルーズ、レベッカ・デモーネイ、カーティス・アームストロング、ブロンソン・ピンチョット、ラファエル・スバージ、ジョー・パントリアーノ、ニコラス・プライアー、ジャネット・キャロル、リチャード・メイサー、ケヴィン・アンダーソン、たちである。
シカゴの郊外のハイスクールの3年生である17歳のジョエルは、大学で経営学専攻を目ざしていて、一流大学に入り一流企業で働きたいと望んでいた。が、成績は今ひとつで、いつもモヤモヤした気分で白日夢ばかり見ていた。そんな時、両親が休暇旅行に出かけることになって、その留守を任されることになる。広い家で、父のステレオでロックを大音量で流し、酒を飲み、父親のポルシェを乗り回すジョエル。そんな所に既にハーバード大学に進学が決まっているマイルズが出前サービスの娼婦を呼び、ゲイの黒人がジョエルを訪ねてくる。有金の75ドルで引き取ってもらうが、その黒人が残していったメモにあった勧めという女性・ラナに電話してしまうジョエル。で、ラナと関係を持ったジョエルだったが、お金を要求されて...
('80'sの)当世学生の気質をユーモラスに描いているが、底抜けの明るさという所がなく、青春映画としたらちょっと異質の雰囲気がある。'80'sのヒット曲のいくつかがあるが、T.ドリームの音楽(スコア)が独特の世界観を出していて、そこが本作の特長となっている。
サントラ盤は'80'sの豪華アーティストたちが集結したものと、従来のサントラらしいサントラ盤のあいのこという感じであるが、スコアが良い味を醸し出していて、聴き所である。
そのサントラ盤の収録曲は以下の全11曲である。『Old Time Rock And Roll』『The Dream Is Always The Same』『No Future (Get Off The Babysitter)』『Guido The Killer Pimp』『Lana』『Mannish Boy (I Am A Man)』『The Pump』『D.M.S.R.』『After The Fall』『In The Air Tonight』『Love On A Real Train (Risky Business)』。
サウンドの方は、如何にも'80'sというサウンドとなっていて、'80'sという時代を大いに感じさせてくれるものである。若き日のT.クルーズの姿を見ることが出来る作品であり、その点でも'80'sを感じるが、サントラ盤によって、よりいっそう'80'sということを感じることになる。映画と共にサントラ盤の方も堪能したい作品である。
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「MTV SCREEN」+「iしたい。」と12/20の「キ・ニ・ナ・ル!」+深夜「アニメ枠」 [ケータイ刑事]
まずは、20日の夕方、何気なくTwellVの「MTV SCREEN」を見ていたら、まもなく劇場公開される映画「グミ・チョコレート・パイン」(東京は12/22からですが、名古屋が1/12から、福岡が2/16からとなっているが、それ以外は「新春」とか「近日」となっています。)が紹介されていて、そこで黒川芽以さんのインタヴューが流れていました。(時間は約8分、芽以さんと石田卓也さんの二人が色々と語っていました。)→12/23の21時から再放送があるはずなので、ご覧になりたい方はチェックされたし。
ここのところの「iしたい。」では、大詰めが近づいた「銭形海・2nd.」が結構流れている。(絢ちゃんの「(見所は)私で~す」と言っているもの)来月(=来年)からは「3rd.」に突入するので、これが流れるのは今月限り(29日まで)なので、月とするのなら今の内です。(12/30以降は「3rd.」が流れることになるが、果たして年内に見ることが出来るかは分かりません...)
今週の「キ・ニ・ナ・ル!」では、23日の夕方に放送される「Girl's Box」の予告映像(16秒)が流れていました。物語はクリスマスに関する4つの物語ということで、丹羽Pがプロデュースした作品ということなので、未見の方は要チェックです。(1年前にDVDもリリースされていますけど...)
今週は、「東京少年」と「東京少女」、そして「侍ショートフィルム」に関しては一言も出てこなかったが、それに関する先行情報を改めて記しておきます。(12/18に「1月の注目番組・「ケー刑事」BS-i関係」として記した中からの抜粋です。)
「東京少年・ナビ」が1/13深夜24:00からと1/27の14:00から、「東京少女・ナビ」は1/27の14:30から放送されます。(それぞれ30分。2月にも再度放送されるはず。)
「侍ショートフィルム」は、1/6の放送で、宮崎あおいさん主演の「寄生木」、1/20の放送で真希ちゃん主演の「原っぱ」が放送されます。尚、早織ちゃんの「臭いものには蓋の日」の放送日は分からないが、おそらく放送されるでしょう。
深夜のアニメ枠は、今週も1時間半で「逮捕しちゃうぞ フルスロットル」「CLANNAD」「ああっ女神さまっ 闘う翼」の3本でした。→来週12/27はいつもの2本の放送で、1/3は映画を放送すると言うことでお休みです。
「逮捕FS」の始まる直前に「銭形海」の15秒バージョンの次回予告が流れていました。それ以外はいつものレギュラーのDVDの宣伝とBS-i放送作品の宣伝でした。尚、ここでは「0093女王陛下の草刈正雄」のDVDが2/6に発売になるが、そのスポットが流れました。
「CLANNAD」に入ると、いつものDVDの宣伝とBS-i放送番組の宣伝でした。が、ここでの目玉は、30秒バージョンの「東京少女」の予告編が流れたことでした。また、次回予告が終わった後に、30秒バージョン(正確には27秒)の「銭形海」の次回予告と、再放送の「銭形雷」の次回予告がありました。(なかなか流れないと思ったら、こんな所にまとめられて(但し、続けて流れたのではない。)いました。尚、「怪談新耳袋 百物語」のDVDの宣伝もここにあった。)
「ああっ女神さまっ 闘う翼」でも同じパターンで、いくつかのDVDの宣伝とBS-i放送作品の番宣でした。(「銭形雷/海」の次回予告はなし。)また「0093女王陛下の草刈正雄」のDVD宣伝と「銭形雷」の次回予告はここにもありました。
3本のアニメ枠(「沖ドル」終了後を含む)をマークしておけば、「銭形海」の次回予告の15秒版と30秒版、そして「銭形雷」の30秒版というON AIRされている全てがゲット出来るというのは、やっぱりありがたい所です。
来週のアニメ枠は「逮捕FS」と「CLANNAD」の2本に戻るが、CMの方に大きな変化は無いでしょう。新年の2週目から再開されると、CMとして流れるものは結構入れ替わるのではないかと思われます。
↓「グミ・チョコレート・パイン」関係
「ケータイ刑事」と「007」の驚くべき類似点(その30) [ケータイ刑事]
この連載も30回の大台に乗りました。今回のボンドガールと「ケー刑事」ゲスト・キャラのテーマは「芸の世界の達人」をテーマとする。尚、ここで言う「芸」というのは、「修練によって得た技能」という意味であって、遊びや趣味で会得したものではない。別の見方をすれば、職業として「芸」の道を極めたキャラクターということである。で、「ケータイ刑事」からは「愛・22話」に登場した人形師の寿冥宝(ことぶき・めいほう)と、「泪・1st.1話」に登場した新日本カルタ協会会長の音無ウメ(おとなし・うめ)とカルタクイーンの荻野姫子(おぎの・ひめこ)を、「007」からは「ゴールドフィンガー」のボンドガール・プッシー・ガロアに登場いただきます。
「ケータイ刑事」:寿冥宝(ことぶき・めいほう)。「愛・22話」に登場したキャラクターである。彼女は人形作家であり、絵の具では決して出すことが出来ない謎のカラー・冥宝カラーを生み出し、それを人形に使っている。(実は、それは自分の血を使っていて、人形の唇を描いていた。)「絵の具では出せない色」と言われるのは、その道に長いこと携わっていて、長年の努力によってようやく達したということになる。よって、これぞ芸術という領域に達していて、その道の達人である。(将来、文化勲章を受章してもおかしくない存在と言えるでしょう、)が、彼女には不幸が襲いかかった。結局、弟子の小向優子に殺されたることになってしまった。弟子の小向優子は、遺産相続を巡って弟(実は、冥宝の弟子でもあった)と争っていて、邪魔になった弟を殺し、殺人の容疑を薄めるために呪われた雛人形の噂を思いつき、一人一人人形の呪いで死んだように見せかけて次々と殺害した。(弟を含めて14人を殺害した。)そして、最後(15人目)に冥宝をその犯人に仕立てて、自殺に見せかけて殺した。冥宝は誰も殺していないのに殺人犯と疑われ、その真犯人の手で無惨にも殺されてしまうことになった。
「ケータイ刑事」音無ウメ(おとなし・うめ)。「泪・1st.1話」に登場したキャラクターで、かつて、新日本カルタクイーン選手権で9年連続優勝した元クイーンである。10年連続優勝したら「永世クイーン」の称号を得られたが、惜しくも10連覇はならなかった。(が、9年連続優勝というのは快挙であり、その道の達人と呼ぶに相応しい偉業である。)尚、カルタ・クイーンの荻野姫子を殺害した真犯人であった。
「ケータイ刑事」:荻野姫子(おぎの・ひめこ)。「泪・1st.1話」に登場したキャラクターで、新日本カルタクイーン選手権で9年連続優勝した現在のカルタ・クイーンである。10年連続優勝して「永世クイーン」の称号を目指したが、その決勝戦の最中に毒殺されて殺された。尚、現在では「クイーン」の存在はすっかり定着した「ケータイ刑事」であるが、荻野姫子がシリーズに最初に登場したクイーンである。(ということで、「銭形愛」は「ケータイ刑事」の元祖であり基礎を築き上げた名作・傑作作品であるが、「銭形泪」は現在まで定着した新たなコンセプト(クイーン、相棒の交代)を導入して「ケータイ刑事」を新たな次元に引き上げた名作・傑作作品であり、この2作は共に歴史に残る名作である。)
「007」:プッシー・ガロア。シリーズ第3作の「ゴールドフィンガー」のボンドガール。彼女は「プッシー・ガロアの空中サーカス」という飛行機で曲芸飛行をするチームを率いている。(メンバーは美女ばかり。→シリーズに初めて登場した「美女軍団」ということになる。)彼女自身も飛行機の操縦の腕は超一流であり、アクロバット飛行はお手の物である。また、小型ジェット機の操縦もこなす。金塊に取り憑かれた富豪・ゴールドフィンガーの雇われパイロットだった彼女は、ゴールドフィンガーの計画する「グランド・スラム作戦」(アメリカのフォートノックスにある金塊保管所で原爆を爆破させて放射能汚染させ、自分の持っている大量の金の価値を上げさせようという計画。)では殺人ガスを飛行機で噴霧する役割を担っていた。が、ボンドと接している内に改心し、自ら殺人ガスを噴霧すると言うことを通報してきた。で、無害のものとすり替えて、それを噴霧し、ゴールドフィンガーを欺き、ボンドやCIAの活躍によってゴールドフィンガーの野望(グランド・スラム作戦)は阻止された。
今回取り上げた4人は、いずれもが「芸」の道を極めた達人である。全員が表舞台では華やかに見えるが、人形/カルタ/曲芸飛行と道は異なっているが、それを極めるには、相当な努力を積み重ねて今日の地位を築いたということは自明の理である。(ここまでは設定上のことである。)
そんな彼女たちであるが、冥宝とプッシーは、悪人の野望に利用されることになり、冥宝は殺され、プッシーはボンドと出会ったことから悪の道に染まらずに自ら脱却するという別々の道を辿っていくことになった。また、ウメは独りよがりな事から妬みによって姫子を殺害、姫子はその犠牲者になってしまい、冥宝と同じ運命を辿ることになった。同じように「芸の達人」と言うことが出来るキャラクターであり、全員が華やいだ所がある(これが共通点)ものの、それぞれ違う運命に進んでいったという所は実に面白い所でもある。(冥宝と姫子は同じことになったが、冥宝はその道で大きな功績を残したが、姫子はまだこれからという所だったので、同じ運命だったと言うものの、辿ってきた道における最期を迎えた時の位置は大きく違っているので、一応、異なる終焉だったと言うことが出来る。)
特に、ボンドガールのプッシーは改心してボンドに協力するというのは、これも白馬の王子(=ボンド)に出会った姫が王子に助けられたということになり、初期ボンドガールらしいところであるが、真犯人に利用されて殺された冥宝、妬みによって殺された姫子は、華やいだ所があり、その上で悪玉のボスに利用されて殺されるというセカンド・ポジションにいるボンドガールと同じ運命を背負ったキャラだと言うことが出来る。また、ウメは悪の道を突き進んでいくボンドガールに通じる所があり、「ケータイ刑事」の3人のキャラクターが「007」のボンドガールのバリュエーションに倣っているという所が「類似点」として挙げられる。
次回の「ゲストキャラにおける類似点」の17回目も、やはり「007」からはボンドガールを、「ケータイ刑事」からはゲスト・キャラということで、このテーマでの連載はまだまだ続きます。(誰が登場するかはお楽しみに。)
PS.本日12/21は「回文の日」です。「ケー刑事・ファン」だったら、覚えておきましょう!