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「SEE NO EVIL, HEAR NO EVIL」 [映画(洋画)]

表題の作品は1989年の映画「見ざる聞かざる目撃者」である。1976年の映画「大陸横断超特急」でもコンビを組んだG.ワイルダーとR.プライヤーが再びコンビを組んだドタバタ・コメディ作品である。(監督も同じである。)物語としたら実に面白おかしいコメディ作品であるのだが、登場人物の設定を考えると、封印されることになってしまうかも知れない。というのは、本作におけるG.ワイルダーとR.プライヤーのコンビは耳の聞こえない男と目の見えない男となっていて、その2人が殺人事件の容疑者として連行され、真犯人からは狙われることになるという内容である。アイデアは面白いのだが、こういう内容だと身障者の方たちからクレームがくるのは間違いないところである。(アメリカだったら、コメディに対する理解が日本よりもあるが、強硬派は徹底していますし、日本でも、「モラルが...」と言ってコメディに理解を示さない堅物の先生がやり玉に挙げるでしょうからね...)

しかし、映画で題材になるということは、広く世の中に現状を知ってもらうチャンスにもなる。単に映画を笑って見るだけでなく、現実問題もしっかりと提起すればよいのである。映画会社にしたら、そんなのは面倒くさいことであり、それだったら「封印してしまえ」という短絡的な発想をするだろうが、それだったら何も進展はしないことになる。正しい認識で正しい情報を一緒に出すべきであり、それをたゃんと行ったら、高く評価されることになると思うんですけどね...

作品データを記しておくと、時間は102分、原案はアール・バレット、アルネ・スルタン、マーヴィン・ワースの3人、監督はアーサー・ヒラー、脚本はアール・バレット、アルネ・スルタン、エリオット・ウォルド、アンドリュー・カーツマン、ジーン・ワイルダーの5人、撮影はヴィクター・J・ケンパー、音楽はスチュワート・コープランドである。そして出演は、リチャード・プライアー、ジーン・ワイルダー、ジョーン・セヴェランス、ケヴィン・スペイシー、アラン・ノース、アンソニー・ザーブ、キルステン・チャイルズ、たちである。

耳の不自由なデイヴは、自分の経営するドラッグ・ストアに目の不自由なウォーリーを雇う。そんな中、そのドラッグ・ストアで殺人事件が発生し、その場に居合わせたデイヴとウォーリーは容疑者として警察に連行される。無罪を主張する2人だが、話がかみ合わない。そんな二人の元に、ボランティアと称するイヴとキルゴがやってきて、2人の釈放を使用とする。が、この2人が殺人事件の真犯人であり、被害者が持っていたメダルが消えていたことから、そのメダルの行方をデイヴとウォーリーが知っていると思い、それを聞き出そうと企んでいた。警察から脱出したデイヴとウォーリーだったが、イヴとラルゴに捕まり、事件の真相を知り、命を狙われることになる...

物語の方は、G.ワイルダーとR.プライヤーのドタバタぶりを楽しむためだけというものであり、ストーリー展開も予想する通りに進んで行く。よって、(英語で繰り広げられる)ギャグが分からないと途中で居眠りをしてしまうことになる。ということで、日本では著しく評価が低く、十分に本作の意図を理解していない早とちりたちは「差別だ」と言って本作を徹底的に批難することになる。という実に不幸な作品になってしまった。そのためなのか、現在ではDVD化はおろか、ビデオとしても目にすることがない。最初に述べたように、しっかりした考えがあって、正しい情報の提供と説明が必要であるが、そういうことを行って、正しく評価して欲しい作品である。

 

↓一応、以前リリースされていたビデオです。

見ざる聞かざる目撃者(字幕スーパー版)

  • 出版社/メーカー: RCAコロンビア・ピクチャーズ・ビデオ
  • 発売日: 1990/09/21
  • メディア: ビデオ
See No Evil Hear No Evil

See No Evil Hear No Evil

  • 出版社/メーカー: Columbia/Tristar Studios
  • 発売日: 1998/07/28
  • メディア: ビデオ

↓US版のDVD(リージョンコード:1)

See No Evil, Hear No Evil

  • 出版社/メーカー:
  • メディア: DVD


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「多羅尾伴内」(その6) [映画(邦画)]

今回は、片岡千恵蔵主演シリーズで残っている2本についてです。第9作までは1年に1本のペースで製作されていたが、第10作と第11作は2年に1本というペースになりました。

シリーズ第10作多羅尾伴内 十三の魔王」(1958年)
作品データを記しておくと、1958年の東映東京の作品で、時間は93分、白黒作品である。監督は松田定次、脚本は比佐芳武、撮影は川崎新太郎、美術は進藤誠吾、音楽は深井史郎である。そして出演は、片岡千恵蔵、進藤英太郎、高峰三枝子、高倉健、志村喬、神田隆、明石潮、三島雅夫、星美智子、三浦光子、成瀬昌彦、菅沼正、花沢徳衛、宇佐美諄、沢彰謙、岡部正純、中村雅子、波島進、故里やよい、たちである。

競馬場で一人の娘が飛び降りた。その場に居合わせた伊豆博士は自殺と断定するが、それを見ていた伴内は疑問を持った。で、調査に乗り出すと、死んだ娘は騎手・市田の恋人であり、やがて市田も殺された。伴内は背後に何者かが暗躍していると察知し、更に調査を進める。で、麻薬王となった伊豆博士の兄の陰謀があることが分かった...

テンポも良く、色々と仕掛けがあって、大いに楽しむことが出来る娯楽作品である。(伴内の変装については突っ込まないのがお約束です。)また、デヴューしてそんなに経過していない高倉健の出演しているなど、お楽しみもたっぷりとあります。

シリーズ第11作多羅尾伴内 七つの顔の男だぜ」(1960年)
作品データを記しておくと、1960年の東映東京の作品で、時間は87分、本作はシリーズ全11作の中で唯一のカラー作品。原作は比佐芳武、監督は小沢茂弘、脚本は比佐芳武、撮影は西川庄衛、美術は藤田博、音楽は山田栄一である。そして出演は、片岡千恵蔵、中原ひとみ、喜多川千鶴、中山昭二、山形勲、江原真二郎、佐久間良子、久保菜穂子、星美智子、東野英治郎、進藤英太郎、河野秋武、安部徹、宇佐美淳也、堀雄二、山本麟一、加藤嘉、佐原広二、須藤健、岩上瑛、石島房太郎、稲葉義男、潮健児、御橋公、清村耕次、花沢徳衛、関山耕司、阿部九州男、岡部正純、たちである。

富豪令嬢・馬場きみ子が誘拐され、その事件を追っていた2人の刑事が射殺された。伴内は大沢警部とともに捜査に乗り出す。が、事件の手掛かりになると思われた人物も消されていく。調査を進める伴内は、やがて使い込みを隠す陰謀に突き当たるが...

本作はカラー作品ということで、これだけでも今までの作品群と比べて物語に入って行くことが出来る。(お馴染みの変装や決め台詞もカラーになると、一段と栄えるものである。)二転三転とするストーリーはテンポも良く、よく寝られたストーリーになっている。片岡千恵蔵シリーズの最終作となったが、もっと続けて欲しかったと思わせる充実した作品である。

第1作は戦後間もない1946年で、そこから14年の間に11本というペースで製作された本シリーズは、時代劇スター・片岡千恵蔵の現代劇の人気シリーズである。社会インフラや科学の進歩によって陳腐化している部分があるのも否定できないが、定番のお約束がしっかりとあり、色々とツッコミ所もあるなど、娯楽作品としたら一級のものに仕上がっている。特に最後の1本は、シリーズの集大成と言っても良く、完成度も高い。楽しみながら見てもらいたいシリーズである。

 

多羅尾伴内 十三の魔王

  • 出版社/メーカー: 東映ビデオ
  • 発売日: 1999/11/21
  • メディア: ビデオ

多羅尾伴内 七つの顔の男だぜ

  • 出版社/メーカー: 東映ビデオ
  • 発売日: 1999/06/21
  • メディア: ビデオ

多羅尾伴内 [少年向け:コミックセット]

  • 作者: 石森章太郎・小池一夫
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • メディア: 新書
多羅尾伴内―七つの顔の男

多羅尾伴内―七つの顔の男

  • 作者: 関 貞三
  • 出版社/メーカー: ワイズ出版
  • 発売日: 2005/03
  • メディア: 単行本

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侍ショートフィルム#6「幻想」 [ドラマ]

BS-iとBS-FUJIの製作「68FILMS」のBS-iでの「侍ショートフィルム」としての6回目の放送は「幻想」というサブタイトルでまとめられた3作品の放送でした。放送された3本は、「東京少年/東京少女」からの「原っぱ」と「美少年Hi」からの「宇宙の法則」と「ソワレの心臓」でした。(「侍ショート」の5本は前回までに全て放送されました。)また、CM率は7%(2分10秒)ということで、地上波だったら35分枠になるのは確実という詰め込んでの放送でした。(CMが少ないのは、市庁舎としたら歓迎ですけど...)

今回も個性的な作品ばかりで、時間の短い作品であるが、色々と実験を行っていて、こういう所は越猪に評価できる所でもある。それでは今回の作品について順番に。

原っぱ
主演は銭形舞真希ちゃんです。「東京少年」では男女の二役を演じているが、本作ではを演じている。(この時期では映画「東京少女」のことはまだ考えていなかったであろうが、本当に色々と仕掛けてくれる丹羽Pですね。)

外見は女のような晶でが、彼は歴とした男である。彼は男になろうとしてヤンキーになろうと決意する。そして学ランにリーゼントということで、ヤンキーになったつもりでいた。が、友達の和義は「無理することはない。やめろよ」と忠告するのだった。そんな所に凶悪なヤンキー・蛇沢が現れ、晶に絡んできて、喧嘩になるが...

この時期の真希ちゃんは、演技や台詞回しについてはまだまだ未熟であるが、頑張っていることは伝わってくる。2007年のドラマ「花ざかりの君たちへ」のことを考えたら、本作では男装をする女ではなくて男を演じているということで、チェックしておきたい1本ですね。

宇宙の法則
この作品は白黒作品ということで、ちょっと違った雰囲気がある作品である。それにしても、タイトルがちょっとオーバーな気もするのですけどねぇ...

ある公園でフリフリダンスを踊っているミナとヨシコの2人。その様子を2人に気づかれないように見ている悟。また、向いのベンチには何処の誰か知らないおじさん・若林がいて、悟は目があってしまう。若林は二人の女の子の所に行って、何かを話し始め、突然、悟に向かって「タツヒコ、ジュースを買ってきなさい」と命じた。悟は何のことか分からないまま、ジュースを買いに行き、戻って来たが...(自分の分は買わずに3本だけ買ってくる。)

白黒の映像が独特の世界を描き出していて、日常なのか非日常なのか、よく分からない所が独自の世界観を生み出していて、面白い所でした。尚、本作で悟を演じたのは「仮面ライダー剣」で上城睦月(レンゲル)を演じた北条隆博で、踊っている2人の女の子の1人は「ジャスティライザー」で天堂澪を演じた江口ヒロミである。

ソワレの心臓
この物語は山田広野さんの活弁による物語である。「恋日・2nd.26話」や「銭形雷・1st.12&13話」の活弁は、こんな所で既に丹羽Pの目に留まっていたということになります。

ある男子校に転校してきた美少年・ソワレ。その学校は亡き父の恩師チャーリー先生が校長という学校だった。チャーリー校長に連れられてクラスメートの前で自己紹介するも、チャーリー校長が得意の大道芸を披露して、その場を掠っていた。で、出鼻をくじかれたソワレはいじめられることになってしまう...

それにしても、実に濃いキャラばかりが出てきます。(高校生には見えない連中ばかりですけど...)方向はちょっとアッチの方に行くが、たっぷりと笑える作品である。「恋日」や「銭形雷」の時の様に、同じ映像で複数の物語にするということは行っていないが、これをやってくれたら更におもしろくなったでしょうね。

次回のサブタイトルは「心の歌」となっています。「東京少年/東京少女」からの「東京危機一髪」(主演は多部未華子)と「ライ麦畑でつかまえてでつかまえて」(主演は大場麻未、諏訪太朗さんも出演している。)が放送されることが分かっていますが、サブタイトルから「美少年Hi」の「こころのうた」も放送されることでしょう。(ここで放送しないと、最終回が30分で収まらなくなっちゃいますから...)でもこの3本を30分枠で放送しようとしたら、CMは1分を割り込むことになっちゃうのですけど...(もはやNHKと変わらない本編時間になっちゃいます。地上波の30分枠だったら「東京危機一髪」と「ライ麦畑でつかまえてでつかまえて」の2本でもちょっと長めになっちゃう...)また、これから、2/3の最終回は、早織ちゃんのデヴュー作である「臭いものには蓋の日」と「trash」「恋する梅干し」の3本ということになります。(この3本でもCM率は10%になる計算です。)

また、来週はこの「侍ショートフィルム」の放送の前の10:00からは「恋日・1st.」の「電車」が放送されますし、14:00からは「東京少年ナビ」の再放送、14:30からは「東京少女ナビ」が放送されます。(更にその翌週の同じ時間帯にナビの2本はリピート放送されます。)

(1/21 12:00追記)
公式HPを見たら、次回は「東京危機一髪」と「ライ麦畑でつかまえて」の2本になっていまた。この2本で25分半になるので、これだけというのも分かりますが、残っている4本の時間は31分になるので、「美少年Hi」の「こころのうた」(4分)は放送されないということになりそうですね。ちょっと残念です。尚、2/3の放送と思われる「臭いものには蓋の日」「trash」「恋する梅干し」の3本の時間は27分になるので、どう考えてもこの3本の放送で決まりでしょうし...

 

やっぱりこれを

ケータイ刑事 銭形舞 DVD-BOX

ケータイ刑事 銭形舞 DVD-BOX

  • 出版社/メーカー: ハピネット・ピクチャーズ
  • 発売日: 2004/04/23
  • メディア: DVD

↓本文中に記した活弁作品が収録されているのはこれらです。

ケータイ刑事 銭形雷 DVD-BOX 1

ケータイ刑事 銭形雷 DVD-BOX 1

  • 出版社/メーカー: ハピネット・ピクチャーズ
  • 発売日: 2006/12/22
  • メディア: DVD

恋する日曜日 ラブソング コレクション DVD BOX

恋する日曜日 ラブソング コレクション DVD BOX

  • 出版社/メーカー: キング
  • 発売日: 2007/02/07
  • メディア: DVD
 
↓山田監督の他の活弁作品をば...
山田広野の活弁天国 DVD-SET

山田広野の活弁天国 DVD-SET

  • 出版社/メーカー: アップリンク
  • 発売日: 2004/06/25
  • メディア: DVD

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