「TEN LITTLE INDIANS/AND THEN THERE WERE NONE」(1974) [映画(洋画)]
表題の作品は1974年のイタリア、フランス、スペイン、西ドイツの合作による「そして誰もいなくなった」である。A.クリスティの同名小説の3度目の映画化作品である。舞台を原作の孤島から砂漠の中に立てられた宮殿ということに置き換え、結末も原作とは違うものになっているのがポイントである。また、映画「007」シリーズのファンにとっては、ゴールドフィンガーとラルゴ(「ゴールドフィンガー」と「サンダーボール作戦」)の二人が顔を揃えているという所は嬉しくなる所でもある。
作品データを記しておくと、イタリア、フランス、スペイン、西ドイツの合作で、時間は100分、原作はアガサ・クリスティ、監督はピーター・コリンソン、脚本はピーター・ウェルベック、撮影はフェルナンド・アリバス、音楽はブルーノ・ニコライである。そして出演は、オリヴァー・リード、エルケ・ソマー、リチャード・アッテンボロー、ハーバート・ロム、シャルル・アズナヴール、ステファーヌ・オードラン、ゲルト・フレーベ、アドルフォ・チェリ、アルベルト・ド・メンドーサ、マリア・ローム、たちである。また、オーソン・ウェルズが声の出演をしている。
物語の舞台は中近東で、砂漠の中に立てられた宮殿が舞台である。キャストの方も、一癖も二癖もある顔ぶれが集まっている。
砂漠の中にあるペルセポリスの宮殿にヘリコプターが到着、将軍・サルヴェ、女優・イローナ・モルガン、医師・アームストロング、歌手・ミシェル・ラヴェン、秘書・ヴェラ・クライド、ヒュー・ロンバード、高等法院判事・アーサー・キャノン、刑事・ウィルヘルム・ブロアの8人が降り立つ。そして宮殿の召使いであるオットーとエルサの夫婦の10人は互いに初対面であった。8人を招待した塗師の姿はなく、招待した理由も告げられず、晩餐会が始まる。テーブルの中央には10個のインディアン人形が置かれていた。食後、ミシェルがピアノの弾き語りを始めるが、どこからともなく男の無気味な声が流れてきた。そしてオーエンと名乗り、ここに集まった10人の過去を告発した。重苦しい雰囲気を打ち消そうとしてミシュルが歌を歌い始めるが歌い終わって酒を口にすると倒れた。酒に毒が入っていたのだった。で、10個のインディアン人形は9個になっていた。それから、ミシェルが歌った「マザーグースの歌」の通りに殺人が続いていく。そして1人殺される多比良インディアン人形の数も減っていった。そして残ったのはヴェラとロンバートの2人だけになる。が、この2人は少し事情が違っていて、ヴェラは夫を殺しておらず、妹を庇っていた。また、ロンバートはロンバート本人ではなくて彼の親友の男だった。互いに相手がオーエンだと思う2人。が、死んだと思った人物の1人が生きていて...
基本的には原作に従っているが、原作から翻案しているところが結構あり、その点では結構楽しめる。しかし、ミステリーとしたら少し甘い所があって、「?」と思う所もある。原作は有名な作品であるが、映画としたらごく平凡な作品の範疇である所がちょっと残念でした。
↓本作はDVD化されていません。(ビデオです。)
↓原作はこちら
そして誰もいなくなった [英語版ルビ訳付] 講談社ルビー・ブックス
- 作者: アガサ クリスティ
- 出版社/メーカー: 講談社インターナショナル
- 発売日: 1999/05
- メディア: 単行本
そして誰もいなくなった (クリスティー・ジュニア・ミステリ) (クリスティー・ジュニア・ミステリ 1)
- 作者: アガサ・クリスティー, 青木 久惠
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2007/12/18
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
「TEN LITTLE INDIANS」(1965) [映画(洋画)]
表題の作品は1965年のイギリス映画「姿なき殺人者」である。これはA.クリスティ原作のミステリー「そして誰もいなくなった」の映画化作品であり、2度目の映画化である。(最初は1945年のアメリカ映画「そして誰もいなくなった」であり、1974年の「そして誰もいなくなった」、1987年のソ連版(日本未公開)、1989年の「サファリ殺人事件」として、あわせて5度映画化されている。)クローズド・サークルと言われるジャンルの代表作であり、外界との往来や連絡が取れなくなって孤立した状況に陥った一団の中で事件が起こるというものであり、A.クリスティが得意としていたことは言うまでもない。本作は、舞台を原作の孤島からアルプスの山の中の古城に変更しているが、ストーリーの方はわりと原作に忠実である。
作品データを記しておくと、時間は92分、原作はアガサ・クリスティ、監督はジョージ・ポロック、脚本はピーター・イェルダム、ダドリー・ニコルズ、ピーター・ウェルベックの3人、撮影はアーネスト・スチュワード、音楽はマルコム・ロックヤーである。そして出演は、ヒュー・オブライエン、シャーリー・イートン、フェビアン、レオ・ゲン、ダリア・ラヴィ、ウィルフリッド・ハイド・ホワイト、スタンリー・ホロウェイ、デニス・プライス、マリオ・アドルフ、たちである。(シャーリー・イートンは「007/ゴールドフィンガー」で全身に金粉を塗られて殺されたあの人である。)
オーストリアの山中にある古城に8人の客が招待された。招待したのはオーエンと名乗る男であったが、招待客の誰もがオーエンに会ったことはなかった。夕食の席にもオーエンは姿を現さず、城にいたのは招待客8人と召使いのグローマン夫妻の合計10人だった。食卓には10人の小さなインディアン人形が飾られてあった。夕食後、広間でくつろいでいる一同、そこにオーエンの声が届いた。声は10人を殺人の罪で責めていて、その罪に対する報復を宣言した。重苦しい雰囲気の中、招待客の1人である歌手のマイクが「テン・リトル・インディアン」の歌を歌うが、歌い終わると息を詰まらせて窒息死してしまった。更にその夜、グローマン夫人が恐怖から城からの脱出を計るが、谷間に落ちて死んだ。その時、卓上のインディアンの人形は2つ減っていた。それから更に事件は起こり、残っているのは5人となる。で、5人は互いの罪を告白しあって、それを拒否した者が犯人と断定する。残った5人は罪を語り出すが、若い女・アンは告白を拒み、口実を作って席を外す。まもなく彼女の悲鳴が届き、元判事のキャノンが死体で発見される。更に、アームストリング博士の死体が城外の雪の上で発見され、死体を調べに行った私立探偵・ブロアも殺され、アンとヒューの2人だけになる。この2人はいつしか恋に落ちていたが、犯人はこの2人のどちらかということになるが...
原作から舞台を変えているが、特に違和感はない。物語の方は余りにも有名であって、真犯人についても知っているであろう。ということで、それを暴いていくという謎解きをしていくという、このジャンルの本来の楽しみ方も出来るが、ミステリー・サスペンスのスリルをたっぷりと楽しむことも出来る作品でもある。(有名原作&原作に忠実ということで、クリスティのファンであれば直ぐに分かってしまうでしょうから...)
↓原作はこちら
そして誰もいなくなった [英語版ルビ訳付] 講談社ルビー・ブックス
- 作者: アガサ クリスティ
- 出版社/メーカー: 講談社インターナショナル
- 発売日: 1999/05
- メディア: 単行本
そして誰もいなくなった (クリスティー・ジュニア・ミステリ) (クリスティー・ジュニア・ミステリ 1)
- 作者: アガサ・クリスティー, 青木 久惠
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2007/12/18
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
東京少女・セピア編「新聞少女」 [ドラマ]
今回の物語は「新聞少女」という作品です。物語は大阪万博が行われていた1970年ということで、38年前が舞台になっているということで、一味違うドラマになっていました。主演は岡本杏理ということで、「恋日・3rd.25話~三姉妹」に続いてのBS-i作品に出演と言うことになる。1994年生まれなので、本作撮影時(現在も同じですが...)13歳、中学一年生ということになる。が、彼女は2005/10~2006/3に放送された「牙狼」に出演していることから、丹羽Pが発掘した「多聞チルドレン」とは言い難い所がある。ここの所の傾向を考えると、銭形襲名の可能性は低いように思われるが、夏帆ポンから3代続くあの事務所の所属なので、一応8代目候補の一人かと...
放送フォーマットは、前半が15分のドラマ本編で、CM明けの後半は10分のメイキングである。物語の方は、新聞配達をしている少女の物語で、時代設定が1970年と言うことなので、携帯電話も登場しない、本当に些細な物語である。が、落ち着いていて、ノスタルジックな所がある物語でもありました。
夜明け、今日も新たな一日が始まる。そんな中、息を切らせて水を飲んでいる少女がいた。彼女は新聞配達をしている麻衣という少女で、走って新聞を配っていた。新聞には大阪万博の写真が載っている。時は1970年4月だった。
あるアパートに新聞を届け、アパートを出ていこうとする麻衣。突然「あい、こら!新聞入ってないんでけど...」と呼び止められた。これに「104号室の方ですよね。ついさっき、届けましたけど」と答える麻衣。が「入ってないものは入ってないんだよ」と言うと、104号室の男・久保田窓を閉めてしまった。
改めて新聞を届けに来た麻衣。ドアをノックして新聞を届けに来たことを告げる。で、久保田が出てきて、一面の記事にだけ目を通すと「読みたい時に届いていないってどういうこと?」と改めてクレームを言う。これに「届けたはずなんですけど...」と答える麻衣。久保田は「ゴミになるから持って帰ってよ」と新聞を突き返すとドアを閉めてしまった。で、「こっちだって忙しいのに...」とぼやく麻衣だった。
次の日、104号室の新聞受けに確かめるように新聞をしっかりと入れる麻衣。指さし確認をして帰って行くが、アパートを出る前に再度振り返って新聞を入れたことを確認する。
翌日、104号室に新聞を届けに来た麻衣。新聞を入れようとすると、ドアが開いて久保田が出てきて「昨日も届いてなかったぞ」と文句を言う。が「絶対届けました」と強く言う麻衣だったが「まったく...ガキの使いじゃないんだからさぁ」と言うと、新聞を放り投げる。すると麻衣は「本当は新聞なんか読む気ないのに、嫌がらせでやってるんでしょう」と切れる。が「ガキの相手している暇はないから」と言って久保田はドアを閉めようとする。これに麻衣がドアを手で押さえて「暇そうなんですけど」と食らいつく。すると「気になることがあるんだよ」と言い、更に「明日届いていないようだったら他の新聞取るからな」と言い捨ててドアを閉めた。
翌日、104号室に新聞を届けた麻衣は、物陰に隠れて新聞の様子を見ていた。が、眠気からコックリとした隙に物音がして走り去っていく足音を耳にして、新聞を見たら、無くなっていた。慌てて追いかけようとするが、104号室のドアが開いて、久保田が出てきて「何してるの」と尋ねる。麻衣は「逃がしちゃいましたよ」と言い、「一緒に捕まえて下さい」と言って翌日は二人で様子を見ることにした。
翌日、言い合いをして犯人が現れるのを待っていた二人。物音がして新聞を奪って走って行く人影あり、それはまだ小さい子供だった。で、顔を見合わせる二人。
新聞を奪っていって子供は、近所の家に入っていった。それを追いかけた麻衣と久保田はこっそりと様子を伺っていた。すると寝たきりのおばあさんがいて、子供が毎日新聞を届けていたということが分かる。子供はおばあさんに新聞記事を読んで聴かせようとする。それを見た麻衣は「あいつ、盗んだくせに」と言って文句を言おうとする。が、久保田がその麻衣の腕を掴んで止めた。「寝たきりのおばあちゃんに新聞を届ける新聞少年、いい話じゃないか」と言って、怒らなかった。
帰り道、川原に腰を下ろして話をしている二人。久保田は疑ったことを謝り、麻衣は翌月も新聞を届けて良いかと尋ねる。これに「いいよ、ずっと届けてくれよ」と言い、見つけた四つ葉のクローバーを麻衣に渡す久保田。が、どことなく浮かない顔をしている久保田だった。
翌日、新聞を盗んでいた子供の家にやってきた麻衣は新聞を手渡すとウインクをして帰って行く。これに子供は口を開けてポカーンとしていた。で、104号室に新聞を届けに行く麻衣。が、昨日の新聞が入ったままだった。ドアをノックしようとするが、思い止まり、新聞を入れると「ちゃんと新聞読めよ」と呟くのだった。
数日後、いつものように104号室に新聞を届けに来た麻衣。が、新聞受けには数日分の新聞が入ったままになっていた。無理矢理新聞を押し込むと、ドアをノックして「新聞溜まってますよ。いらないんですか?読む気ないの?」とドア越しに声を出すが、返事はなかった。で、下を見た麻衣の目にある新聞記事が目に入った。その記事は「内ゲバ殺人事件」の記事で、被害者の顔写真が載っていて、それは104号室の久保田だった。桜が散る中、麻衣はしゃがみ込んでいて、上の方を見上げるのだった。(新聞の日付は1970/4/20)
それから歳月は流れ、1970/9/14の新聞が万博が終わったことを伝えていた。その新聞を手にしている麻衣はエプロン姿で弁当を作っていた。おにぎりを作り、竹の皮に包み、それを万博閉幕の新聞の上に置き、更にリンゴを置くと弁当を包む。部屋には久保田から貰った四つ葉のクローバーを写真立てに入れて置かれていて、それを見た麻衣は出掛けて行く。で、川原やアパートでの久保田とのやりとりを思い出す麻衣。そして久保田が殺された場所に向かった。
今回は『イケナイ恋』も流れることなく、切ないノスタルジックな物語でした。麻衣にとったら初恋だったのかということも感じるが、淡い物語で、ちょっとウルウルくる物語でもありました。派手な所は一切無いが、ジーンとくるものがあり、こういう作品は「恋日」にも通じる所があるBS-i作品の得意分野でもありますね。特に、久保田が殺された新聞が足元にあり、そこに散る桜吹雪が印象的でした。
CMを挟んで後半はメイキングです。これまでの「東京少女」と同様に、撮影風景が続き、時々いくつかの質問が飛んでいました。
撮影が行われたのは2007年9月中旬、まだ暑い日だったようで、アイスノンで首を冷やしていた所が出てきました。
また、劇中に出てきた四つ葉のクローバーは、スタッフさんも捜したが、結局は演じた二人が発見したということでした。(まあ、そういうものであって、下手に捜そうとしても「四つ葉」は見つかるものではありません。)で、終わりの方に岡本杏理ちゃんに対するインタヴューがあったが、「ショートフィルム道」の時の「東京少女」のような質問が出ていましたね。で、最後はオールアップの時の様子で、ウインクで締めようとしていたが、杏理ちゃん、ウインクは苦手のようでした。
今回のメイキング(10分)には、丹羽Pは全く登場することなく、セミ・ドキュメント・タッチとなっていました。こういう構成のメイキングだと、DVDの特典映像として収録されているメイキングっぽくて、爽やかさを感じる所でもある。
しかし、丹羽Pがメイキングに出てこないということで、岡本杏理について語らなかったということは、銭形襲名の可能性はかなり低いと見ましたが...(年齢のことを考えると、7代目はあり得なくて、8代目候補の一人だと思いますが、「多聞チルドレン」とは言い難いだけに...)
次回は「恋日・3rd.12&13話~卒業~春の嘘」に出演していた水沢エレナ主演の「さよなら少女」です。美絵素四姉妹の一人(三女)でもあり、佐々木監督が惚れ込んでいること、そして年齢的なことを考えると、筆者は7代目候補の本命ではないかと思っているのですけど...(対抗は山下リオ)
尚、本日は「新聞少女」の放送前の真希ちゃん&夏帆ポン作品は「銭形舞・5話」の「シベリア超特急殺人事件」でした(次回予告がカットされるのは仕方ないにしても、「鑑識メモ」の方もカットされていましたね。→柴田さんは登場しない物語であり、鑑識メモも「水野晴郎の鑑識メモ」になっていた回でした。)が、来週は「銭形零」の放送ですが、どの物語が放送されるのかはBS-iのHPにも、EPGにも出ていません。果たして何が放送されるのでしょうか?
↓新聞配達と言うことで...
ヘンリーくんと新聞配達 (ゆかいなヘンリーくんシリーズ 5)
- 作者: ベバリイ・クリアリー
- 出版社/メーカー: 学習研究社
- 発売日: 1970/01
- メディア: -
年少労働調査資料〈第23集〉新聞配達をしている年少者 (1953年)
- 作者: 労働省婦人少年局
- 出版社/メーカー: 労働省婦人少年局
- 発売日: 1953/09
- メディア: -
インスタント・フューチャー―大阪万博、あるいは1970年の白日夢
- 作者: イルドーザー
- 出版社/メーカー: アスペクト
- 発売日: 2000/04
- メディア: ペーパーバック
第17巻 昭和45年 大阪万博と公害多発 (昭和ニッポン 一億二千万人の映像)
- 作者: 古川 隆久, 永 六輔, 佐々木 毅, 瀬戸内 寂聴
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2004/10/21
- メディア: 単行本
プロジェクトX 挑戦者たち 第VIII期 大阪万博 史上最大の警備作戦
- 出版社/メーカー: NHKエンタープライズ
- 発売日: 2005/05/27
- メディア: DVD