「TOOTSIE」 [映画(洋画)]
シドニー・ポラック監督追悼ということで、もう1本作品を取り上げることにする。今回は、彼が監督だけでなく、製作も務め、出演もしているコメディ作品の「トッツィー」です。
表題の作品は1982年の映画「トッツィー」である。D.ホフマンの女装が最大の見所である本作は、社会を風刺する所も入っていて、S.ポラック監督の野心も入っている作品である。が、コメディ・タッチで描かれているということで、社会風刺作に多く見られる重い作品にはならず、笑いながら楽しむことが出来る作品に仕上がっている。
作品データを記しておくと、時間は116分、原案はラリー・ゲルバートとドン・マクガイアの2人、製作はシドニー・ポラックとディック・リチャーズの2人、監督はシドニー・ポラック、脚本はラリー・ゲルバートとマレー・シスガルの2人、撮影はオーウェン・ロイズマン、音楽はデイヴ・グルーシンである。そして出演は、ダスティン・ホフマン、ジェシカ・ラング、テリー・ガー、ダブニー・コールマン、チャールズ・ダーニング、ビル・マーレイ、シドニー・ポラック、ジョージ・ゲインズ、ジーナ・デイヴィス、ドリス・ベラック、たちである。また、本作でJ.ラングはアカデミー助演女優賞を獲得し、「キングコングの恋人」と言われていたが、そのイメージを吹き飛ばして演技派女優として認められることになった。
売れない中年俳優のマイケル。彼は仕事で揉めることが多く、ウェイターや若い俳優たちに演技指導を行って何とか食べていた。教え子の一人であるサンディがソープ・オペラのオーディションを受けると言うことでTV局までついていくが、あっけなく撃沈するサンディ。翌日、マイケルは女装してTV局に行き、「ドロシー・マイケルズ」と名乗り、カメラ・テストを受けることになり、オーディションに合格する。その時、彼は看護婦役のジュリーに一目惚れした。何だかんだでマイケルはドロシーとしてドラマに出演し、彼(彼女)が演じた病院理事エミリーは人気が出る。また、共演者で医師役のジョンがドロシーに惚れてしまった。更に、マイケルとしてジュリーと知り合い、関係を持つことになる...そんな中、マイケルとサンディの関係は悪化、ドロシーには求婚を求む者まで現れて...
物語がコメディであるが、ドタバタ・コメディとは違っていて、社会風刺とラブ・ストーリーを絡めている当が楽しい所である。また、D.ホフマンの女装というのも、劇中劇で演じる役柄と、彼が演じるマイケルという2つの姿が見られるということで、ある意味では一人二役と解釈することも出来て、楽しい所である。(但し、彼(彼女)のような人物が側にいたら、ひいてしまいそうですが...)
また、本作には芸能エージェント役でS.ポラック監督自身が出演しているということで、また違った楽しみも出来る。
去年、本作の製作25周年を記念して、2枚組の「アニバーサリー・エディション」というDVDがリリースされたこともあって、改めて本作に注目が集まっているだけに、ここは見ておきたい所である。
今回も最後にこれを記しておきます。シドニー・ポラック監督のご冥福をお祈りいたします。
↑通常盤 | 25周年アニバーサリー盤 ↓
トッツィー 製作25周年アニバーサリー・エディション(2枚組)
- 出版社/メーカー: ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
- メディア: DVD
↓本作にはこういうものもあります。
Making Tootsie―ダスティン・ホフマンとシドニー・ポラックの映画論
- 作者: 斉藤 美代子
- 出版社/メーカー: レインボー企画
- 発売日: 1983/01
- メディア: -
「THE YAKUZA」 [映画(洋画)]
表題の作品は1974年のアメリカ映画「ザ・ヤクザ」である。先日、シドニー・ポラック監督が亡くなったと言うことで、追悼企画として取り上げるが、アルファベット・ローテーションが現在「Y」であり、近いうちに本作を取り上げようとしていた矢先の訃報でした。
ヤクザ稼業から足を洗った男と、アメリカ男の義理と人情に結ばれた関係を軸に、ヤクザ組織に立ち向かって行くサスペンス色の強いアクション作品である。但し、アメリカ映画であるので、ヤクザの描写をはじめ、日本に関する設定などは「?」という部分が多々あり、コメディのように感じられる所がある。(こういう所は新旧問わず、大なり小なりあるものです。)
作品データを記しておくと、時間は122分、原作はレナード・シュレイダー、製作と監督はシドニー・ポラック、製作総指揮は俊藤浩滋、脚本はポール・シュレイダーとロバート・タウンの2人、撮影は岡崎宏三とデューク・キャラハンの2人、音楽はデイヴ・グルーシンである。そして出演は、ロバート・ミッチャム、高倉健、ブライアン・キース、岸恵子、ハーブ・エデルマン、リチャード・ジョーダン、ジェームズ繁田、岡田英次、侍田京介、クリスチナ・コクボ、汐路章、ウイリアム・ロス、リー・チリロ、たちである。
アメリカで海運会社を営むジョージ・タナーの娘が日本滞在中にヤクザの東野組に誘拐された。これは組長・東野五郎とタナーとの間に交わされた武器売買契約をタナーが無視したための報復だった。で、4日以内にタナーが日本に来なければ娘を殺すと脅されたタナーは、旧友・ハリーに相談する。で、日本にはハリーに義理のある田中というヤクザの幹部がいて、田中健を通して交渉することにした。これを引き受けたハリーは日本に飛び、かつての愛人・田中英子の経営するバーに顔を出す。このバーはハリーがかつて英子にプレゼントしたものでもあった。そして健が京都で剣道を教えていると教えられ、京都に向かう。田中とハリーが会い、事情を話すハリー。が、田中はヤクザの世界から足を洗っていた。しかし、義理のあるハリーの頼みを断ることが出来ず、動き出し、タナーの娘を監禁場所から救出する。しかし、東野組は田中を狙い始める。また、東野とタナーが裏で手を結んでいて、それを知ったハリーと田中はタナーに、そして東野組に立ち向かって行く...
日本の任侠映画に通じる設定があるものの、日本映画とは全く異質な世界が構築されている。これは日本の描写がアメリカ人の持っているイメージそのままという部分があるためであり、日本人に執ったら「???」というものがあるためである。(まあ、外人にすれば、日本とは「富士山、芸者、侍」ということで、とんでもない世界観を持っているものです。逆に、日本人がある国に対して持っているイメージも、多くは正しいものではないのが普通ですから...)が、そういう部分が全く異次元の世界を生み出すことになっていて、面白い所でもある。
純粋な任侠映画ファンには、見ない方が良いでしょうね。が、アメリカ人の持つ日本のイメージそのままということを納得出来れば、こういう作品もありでしょうね。
最後に、シドニー・ポラック監督のご冥福をお祈りいたします。
↓現在、DVD/ビデオはありません。LDです。
↓S.ポラック監督作品をいくつか
愛と哀しみの果て (ユニバーサル・セレクション2008年第3弾) 【初回生産限定】
- 出版社/メーカー: Universal Pictures Japan =dvd=
- メディア: DVD
ケータイ刑事銭形舞1話[裏ネタ編] [ケータイ刑事]
今回からは「銭形舞」の裏ネタ編ということにしました。(2クール/3クールある「愛」/「泪」は先送りにして、1クールの「舞」を3ヶ月かけないで片付けてしまう予定です。日曜日の「海」とパラレルと言う状況を続けます。))第1話の物語は「舞姫登場! ~トップアイドル殺人事件」ということで、舞ちゃんの初登場ということになるが、今回は劇中に出てきた踊りの種類から「ヒップホップ」「フラメンコ」について記すことにする。尚、「朝っぱら娘」「ゴマミ」というのは「モーニング娘。」「ゴマキ」が元ネタであるということだけにしておき、元ネタの方は記さないことにします。
尚、約2年前になるが、MBSの再放送の時に記した記事は「ここをクリック」してください。
「ヒップホップ」:1960年代の終盤から1970年代にアメリカ・ニューヨークで発生した黒人によるストリート・カルチャーの総称である。(歴史的にはせいぜい40年というものであり、20世紀のいくつかの音楽ムーブメントの一つである。)「ヒップホップ」と言う名称はエレクトロ・ファンクの先駆けでありその創設に大きく関わったAFRIKA BAMBAATAA(アフリカ・バンバータ)による造語である。
カラースプレーを使った地下鉄や建造物への落書き(グラフィティ)、黒人ダンス音楽に合わせてアクロバティックな踊り(ブレーク・ダンス)、レコードのリズムに合わせて語りのように歌う音楽(ラップ)、そしてDJがヒップホップの四大要素である。
その中でも、ラップは1980年代になるとアメリカに一般的に広がり、黒人に限るものでなくなり、大衆に浸透した。そして1990年代にはヒップホップ・ミュージック(ラップを含む)は頂点を極めることになり、NYを中心とするイーストコーストだけではなく、ロスを中心としたウエストコースト、さらにはフロリダやヒューストンなどのサザンの方でも新たなラップが生まれるようになった。
元々はの一つの現象を指していたが、今ではそれが大きく広がったために、意味も広がっている。こういう所にも、言葉は生きものである、ということを感じる所である。
「フラメンコ」:スペイン南部のアンダルシア地方の音楽と舞踏である。歌と踊り、ギターの伴奏が主体となったものである。歌を「カンテ・フラメンコ」、踊りを「バレイ・フラメンコ」と区別して呼ぶこともある。また、男性ダンサーを「バイラオール」、女性ダンサーを「バイラオーラ」と呼ぶ。
ジプシーに由来しているとされていて、手またはカスタネットを叩いてリズムを取りながら、足を踏みならして踊るのが特徴である。また、掛け声の方も力強く、観客が掛け声を出すことは歓迎される。(手拍子は逆に嫌われる。)
歴史は古く、ムーア人の影響や、東方音楽の要素がある。19世紀の後半にカフェ・カンタンテという舞台のある飲食店で上演されるようになり、これによって広く普及することになった。20世紀になると、その他の大きな劇場にも進出し、スペインを代表する世界的な民族舞踏となった。(スペインと言えば「フラメンコ」という人も多いですし...)
↓参考まで
ヒップホップ・ジェネレーション 「スタイル」で世界を変えた若者たちの物語
- 作者: ジェフ・チャン
- 出版社/メーカー: リットーミュージック
- 発売日: 2007/12/25
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
はじめてのフラメンコ 最新版―観て、習って、踊って…もっともっと輝くわたしになりたい!
- 作者:
- 出版社/メーカー: イカロス出版
- 発売日: 2007/05
- メディア: ムック