「2001: A SPACE TRAVESTY」 [映画(洋画)]
表題の作品は2000年のカナダとアメリカの合作映画で、コメディ作品の「レスリー・ニールセンの2001年宇宙への旅」である。タイトルから分かるように、これはキューブリック監督の名作SF作品「2001年宇宙の旅」を意識したパロディ満載のコメディ作品である。
相変わらずのドジでマヌケなキャラクターを演じるL.ニールセン主演作であるが、本作の主人公は連邦保安官のリチャード・ディックスであって、「裸の銃を持つ男」のドレビン警部とは別人である。
作品データを記しておくと、時間は99分、製作総指揮はレスリー・ニールセン、監督はアラン・A・ゴールドスタイン、脚本はレスリー・ニールセンとアラン・シェアーマンの2人、撮影はシルヴェイン・ブロールト、音楽はクロード・フォイジーである。そして出演は、レスリー・ニールセン、オフェリー・ウィンター、ピーター・イーガン、ダミアン・メイソン、エッツィオ・グレッジオ、アレクサンドラ・カンプ、たちである。
リチャード・ディックスは連邦保安官であるが、行く先々で何かをするとそれがいつも大騒動になってしまうというトラブルメーカーである。ある日、アメリカ大統領がエイリアンに誘拐され、クローンにすり替えられてしまった。で、その真相究明と大統領を救出するために、スペースシャトルに乗って、エイリアンの秘密基地がある月に向かうことになったが...
L.ニールセン主演作であるので、物語の筋は単純なものであり、捻りがある訳ではない。兎に角、ドタバタコメディであって、何かをするとそれが必ずドジにつながり、大騒動へと発展していくのだが、回り回ってそれが事件を解決することに繋がるというのも彼の作品らしいところである。ノリも変わらないで「裸の銃を持つ男」などと同じである。また、当然の如く、色んな映画のパロディが満載である。(→いくつ分かるか、映画ファンであれば挑戦されたし。)
色々と考えることなく、ドタバタ劇は笑って楽しみ、所々に出てくる映画のパロディについては「フムフム」と頷きながら笑ってやりましょう。(但し、本作に出てくるパロディは易しい者は易しいが、ちょっとマニアックなものもあります。)こういう作品は、何も考えずに笑って楽しむことが出来るというのが良い所であるが、元ネタが何かという所までチェックしておくのが通の楽しみ方である。たっぷりと楽しみましょう!
「渡り鳥」(その2) [映画(邦画)]
今回は、記念すべきシリーズ第1作となる1959年の「ギターを持った渡り鳥」についてです。兎に角、この作品が生まれたことで本シリーズがあるのですからね。
シリーズ第1作「ギターを持った渡り鳥」(1959年)
作品データを記しておくと、1959年の日活作品であり、時間は78分である。原作は小川英、監督は斎藤武市、脚本は山崎巌と原健三郎の2人、撮影は高村倉太郎、美術は坂口武玄、音楽は小杉太一郎である。そして出演は、小林旭、浅丘ルリ子、中原早苗、渡辺美佐子、宍戸錠、青山恭二、木浦佑三、鈴木三右衛門、片桐恒男、神戸瓢介、弘松三郎、二本柳寛、金子信雄、野呂圭介、近江大介、高田保、青木富夫、天草四郎、水谷謙之、原恵子、清水千代子、たちである。
凾館に流れてきたギターを背負った男・滝伸次。彼はひょんなことから地元の親分・秋津に雇われることになる。秋津は娯楽センターを拡張するために強引なことをやって土地を得ていた。ある日、伸次は麻薬の取り引きで沖合に出た船の中で殺されそうになり、これは秋津の仕組んだことと知ると、秋津と手を切る決心をする。で、秋津の所に乗り込んでいく...
展開は任侠映画に見られるものと大きく違わないが、日活が得意とする(凾館が舞台であるが)無国籍作品になっていて、(当時の)現代風の展開が面白い。
流石に、半世紀近く前の作品ということで、町並みをはじめ、社会的なインフラに関する部分は前時代的なものであるが、製作から時間が随分流れたために、これが逆に独特の世界観を確固たるものとしているように感じられる。(そもそも、銃を持っているということも異世界だと感じる所である。→ツッコミ所も満載ということになる。(これも製作からの50年近い時間が経過したことによって出来ることでもある。))
一つの形を築き上げた作品の第1作であるだけに、本作は見ておきたい所である。
ケータイ刑事銭形舞4話[裏ネタ編] [ケータイ刑事]
週に3本も記したので、今回はもう第4話の裏ネタ編ということになる「銭形舞」です。今回の物語は「暗闇の惨劇! ~陰陽師殺人事件」ということになる。BS-iの本放送の時(2003/10/26でした。)映画「陰陽師II」が劇場公開された直後ということもあって、劇場公開映画の新しい所をネタにしたのだが、あれから4年半以上も流れた現在、その映画の方も、そんなのあった、ということになってしまいました。
で、今回は、「陰陽師」についてと、元ネタとなる「映画『陰陽師Ⅱ』」と1作目となる「映画『陰陽師』」について、そして同名人物が出てくるが、ここではその名前の元になった歴史上の「菅原道真」について記すことにする。
尚、2年近く前になるが、MBSの再放送の時に記したこの物語の記事は「ここをクリック」してください。
「陰陽師」:「おんみょうじ」と読むが、「おんようじ」という読みもある。陰陽道に基づいて卜筮、天文、暦数を司り、吉凶災福を察知して、その対処に呪術作法を行う者のことである。
律令制度化では、中務(なかつかさ)省の陰陽寮の官職の一つである。(天文博士、陰陽博士、陰陽師、暦博士、漏刻博士が置かれた。)これが後に諸国にも広がり、中世以降は官職以外でも民間の加持祈祷を行う者も「陰陽師」と言われるようになる。
飛鳥時代の吉備真備、阿倍仲麻呂、平安時代の安倍晴明たちが有名である。
また、平安時代後期からは陰陽寮の頭は安倍が世襲で受け継いでいくようになったことから、安倍という姓の陰陽師が多い。
「映画『陰陽師』」:2001年の東宝製作の映画である。作品データを記しておくと、時間は116分、原作は夢枕獏、監督は滝田洋二郎、脚本は福田靖、夢枕獏、江良至の3人、音楽は梅林茂、 出演は野村萬斎、伊藤英明、今井絵理子、夏川結衣、宝生舞、矢島健一、石井愃一、石丸謙二郎、国分佐智子、螢雪次郎、下元史朗、八巻健弐、木下ほうか、立原瞳、萩原聖人、柄本明、岸部一徳、小泉今日子、真田広之、たちである。
平安時代の陰陽師・安倍晴明の活躍を描いた夢枕獏の『陰陽師』シリーズを映画化した作品であり、る。野村萬斎、真田広之に対しては評価されているが、CGをはじめ、それ以外の部分では酷評されている。特にCGの出来が悪いという悪評が高い作品でもある。
「映画『陰陽師Ⅱ』」:2003年の東宝制作の映画である。(「銭形舞」の本放送が始まった前日から公開された。)作品データを記しておくと、時間は115分、原作は夢枕獏、監督は滝田洋二郎、脚本は夢枕獏、滝田洋二郎、江良至の3人、撮影は浜田毅、音楽は梅林茂、出演は、野村萬斎、伊藤英明、今井絵理子、中井貴一、深田恭子、古手川祐子、市原隼人、鈴木ヒロミツ、山田辰夫、伊武雅刀、たちである。
前作の続編である。前作で「酷い」と評判になったCGは随分と良くなっているが、この手の作品という範疇であって、やはり評判は良くない。まあ、2匹目のドジョウを狙ったという作品あるが、流石に酷さを痛感したのか、「3」は製作されていない。
「菅原道真」:845年生まれ、没したのは903年。平安時代の学者であり、漢詩人、政治家でもある。代々、学者の家柄である管原是善の子供である。33歳のときに文章博士になり、その後讃岐守となる。899年に学者でありながら右大臣に任じられる。901年、左大臣・藤原時平に讒訴されて、大宰府へ権帥として左遷され、そこで没した。
彼が没した後、京の都では種々の怪異現象が起こったことから、これらは「道真の祟り」どち朝廷は恐れ、北野天満宮に御霊として祀られることになった。そしてこれから彼を信仰する天神信仰が全国に広がることになり、現在では学問の神として知られている。また、894年に遣唐使の中止を進言したのは彼であるのも有名な所である。
著書としては、彼の詩や散文を集めた「菅家文草」、大宰府時代の作品を集めた「菅家後集」がある。
マンガ日本の歴史〈9〉延喜の治と菅原道真の怨霊 (中公文庫)
- 作者: 石ノ森 章太郎
- 出版社/メーカー: 中央公論社
- 発売日: 1997/06
- メディア: 文庫
太宰府天満宮の謎―菅原道真はなぜ日本人最初の「神」になったのか (祥伝社黄金文庫―日本史の旅)
- 作者: 高野 澄
- 出版社/メーカー: 祥伝社
- 発売日: 2002/10
- メディア: 文庫