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「丹下左膳」(その5) [映画(邦画)]

今回は、戦前にも大河内伝次郎主演で何本か製作している日活が戦後の1956年に水島道太郎主演で製作した3作品についてです。この3作品は三部作として製作されたものであり、それぞれが第一部、第二部、完結編に対応している作品である。(そのため、3作品の作品データを先に記し、中身についてはまとめて記すことにします。)

日活・戦後シリーズ第1作丹下左膳 乾雲の巻
作品データを記しておくと、1956年の日活作品で、時間は82分、原作は林不忘、監督はマキノ雅弘、脚本は棚田吾郎、撮影は永塚一栄、美術は小池一美、音楽は鈴木静一である。そして出演は、水島道太郎、沢村国太郎、南田洋子、金子信雄、河野弘、中川晴彦、河津清三郎、伊丹慶治、伊達信、植村謙二郎、小林重四郎、月丘夢路、フランキー堺、堀恭子、坂東好太郎、雪岡純、利根はる恵、森健二、坂東要二郎、玉村俊太郎、清水将夫、弘松三郎、たちである。

日活・戦後シリーズ第2作丹下左膳 坤龍の巻
作品データを記しておくと、1956年の日活作品で、時間は61分、原作は林不忘、監督はマキノ雅弘、脚本は棚田吾郎、撮影は永塚一栄、美術は小池一美、音楽は鈴木静一である。そして出演は、水島道太郎、沢村国太郎、南田洋子、金子信雄、河野弘、中川晴彦、河津清三郎、伊丹慶治、伊達信、植村謙二郎、小林重四郎、月丘夢路、フランキー堺、堀恭子、坂東好太郎、雪岡純、利根はる恵、森健二、坂東要二郎、玉村俊太郎、清水将夫、弘松三郎、たちである。

日活・戦後シリーズ第3作丹下左膳 昇竜の巻
作品データを記しておくと、1956年の日活作品で、時間は79分、原作は林不忘、監督はマキノ雅弘、脚本は棚田吾郎、撮影は永塚一栄、美術は小池一美、音楽は鈴木静一である。そして出演は、水島道太郎、沢村国太郎、南田洋子、金子信雄、河野弘、中川晴彦、河津清三郎、伊丹慶治、伊達信、植村謙二郎、小林重四郎、月丘夢路、フランキー堺、堀恭子、坂東好太郎、雪岡純、利根はる恵、森健二、坂東要二郎、玉村俊太郎、清水将夫、弘松三郎、たちである。

東北・岩城藩の城主・岩城主水正は、江戸で神変夢想流指南の道場を開く小野塚鉄斎が所有している名刀乾雲と坤竜の二刀を手に入れるために、隻眼隻手の藩士・丹下左膳を江戸に派遣した。丁度、鉄斎の娘・弥生の婿選びのための試合の日に道場に現われた左膳は、師範代・諏訪栄三郎を破った高弟・森徹馬と鉄斎を倒して乾雲の一刀を奪うも、もう一つの坤竜は弥生に持ち去られてしまう。栄三郎は弥生に坤竜を托すと、乾雲を取戻すことを誓う。

左膳は坤竜を求めて夜ごと江戸の街を彷徨し、ある夜、恋人・お艶と大川端を歩いていた栄三郎は左膳と出会い、争いが始まった。が、栄三郎は風来坊・蒲生泰軒の助力で、左膳から逃れる。

左膳の狂態は岩城藩留守居役・浅見勘解由の耳にも入り、藩に変なことが襲いかからないようにということで、勘解由は月輪軍之助に左膳を暗殺するように命じる。が、これは失敗に終わる。

そんな中、左膳に惚れるお藤は、弥生を誘い出して、栄三郎とお艶の住む長屋から坤竜を奪い取る。が、その頃左膳の持つ乾雲は与吉に奪われて栄三郎の手に渡り、それぞれの持つ刀は入れ替わった。

坤竜を求める栄三郎と与吉、乾雲を求める左膳とお藤。この両者がある橋の上でばったりと出くわし、左膳と栄三郎の間で死闘が始まる。また、これを知った勘解由は二刀を奪う絶好の機会として、2人を襲う。が、乾雲は栄三郎が、坤竜は左膳が持ったまま、両者は川の中に消えた。

左膳の狂った行いは南町奉行・大岡越前わ悩ませた。岩城主水正が江戸に呼び出されて詰問を受けるが、彼は左膳とは無関係だと言い、左膳を見捨てる。更に、賞金が出たことから左膳と栄三郎を追う者たちも現れる。

左膳と栄三郎はそれぞれ生き延びて身を潜めていたが、追っ手が迫る。栄三郎は取り憑かれたように、左膳を追う岩城藩士たちを夜ごと斬っていて、これを知った左膳は坤竜を栄三郎に返そうとするが、栄三郎は剣士達に斬られ、乾雲は月輪軍之助の元に行くことになる。

左膳は岩城藩下屋敷に乗り込み、乾雲を求めて主水正を追いつめ、乾雲を取り戻したが...

3本で3時間半を越える長尺作品と言うことになるため、これが3つに分かれていると言うのは、見る方にしたら実にありがたいところである。(時間的には、2時間ドラマよりもやや短めの物語を3つ見るようなものになる。)が、続けてみようとしたら、結構冗長性があり、間延びしたように感じられるのがちょっと辛い。ということなので、バラバラで見るのならともかく、3本でせいぜい3時間という所にまとめられていたら、もっと良くなったと感じる所である。

また、水島道太郎の丹下左膳は、大河内伝次郎をはじめとするこれまでの丹下左膳の雰囲気(ニヒルな所、豪快な所)が無く、器が小さく感じられ、他の作品での丹下左膳を知っていると違和感を感じる。が、本三部作だけの世界観ということでは、こういう丹下左膳も悪くはないと感じる所である。が、これが災いしたのか、日活の丹下左膳と言えば大河内伝次郎ということなのか、本作品は現在では殆ど陽の目を見ることがないのが残念な所である。(ソフトもリリースされていません。)

 

↓本三部作はソフト化されていないので、原作本や資料をピックアップしておきます。

丹下左膳(一) 乾雲坤竜の巻 (光文社文庫)

丹下左膳(一) 乾雲坤竜の巻 (光文社文庫)

  • 作者: 林 不忘
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2004/05/13
  • メディア: 文庫

丹下左膳〈2〉こけ猿の巻 (光文社時代小説文庫)

丹下左膳〈2〉こけ猿の巻 (光文社時代小説文庫)

  • 作者: 林 不忘
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2004/06
  • メディア: 文庫
丹下左膳〈3〉 (光文社時代小説文庫)

丹下左膳〈3〉 (光文社時代小説文庫)

  • 作者: 林 不忘
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2004/07
  • メディア: 文庫
資料が語る丹下左膳の映画史―大河内伝次郎から豊川悦司まで

資料が語る丹下左膳の映画史―大河内伝次郎から豊川悦司まで

  • 作者: 田中 照禾
  • 出版社/メーカー: 川喜多コーポレーション
  • 発売日: 2004/12
  • メディア: 単行本

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「BULLITT」 [映画(洋画)]

表題の作品は1968年のアメリカ映画「ブリット」である。坂道が多いことで知られているサンフランシスコの町を舞台にした派手なカー・チェイスが見物の刑事アクション作品であるが、S・マックイーンの魅力がたっぷりと出ている実にクールな作品でもある。

作品データを記しておくと、時間は114分、原作はロバート・L・パイク、監督はピーター・イエーツ、脚本はアラン・R・トラストマンとハリー・クライナーの2人、撮影はウィリアム・A・フレイカー、編集はフランク・P・ケラー、音楽はラロ・シフリンである。そして出演は、スティーヴ・マックィーン、ジャクリーン・ビセット、ロバート・ヴォーン、ドン・ゴードン、サイモン・オークランド、ロバート・デュヴァル、ノーマン・フェル、ジョーグ・スタンフォード・ブラウン、ジョン・アプリア、ビル・ヒックマン、ジャスティン・ター、フェリス・オーランディ、ヴィク・タイバック、ロバート・リプトン、たちである。本作はアカデミー編集賞を獲得している。

ギャング組織に所属していたジョニーが仲間を裏切って200万ドルというお金を持ち逃げした。そしてジョニーは司法取引を行って、組織を壊滅させるための証言を行うことになり、サンフランシスコにやってきて当局に保護された。が、そのジョニーは本人ではなくてニセモノだった。彼はレニックという男であって、妻と共にヨーロッパ旅行を報酬としてニセのジョニーとなったのだった。このことを知らずに、敏腕刑事・ブリットがジョニーの護衛を行うことになる。ある夜、ブリットが恋人と会っている時、事件は起こり、ジョニーが襲われ、相棒の刑事も重傷を負った。司法取引に尽力した政治家・チャルマースはブリットの失態を責めるが、ブリットはチャルマースの行動に疑問を持った。病院の(ニセ)ジョニーは死んでしまうが、ブリットは、ジョニーが生きていると見せかけて行動を起こす。が、チャルマースはブリットを事件から手を引かせるように仕組み、殺し屋がブリットを狙う。やがて、ブリットは、ジョニーがニセモノと言うことを知り、その妻も殺されたことから、本物のジョニーの行方を、刑事の勘から察知し、本物のジョニーを確保しようとして、空港に向かった...

悪の組織を壊滅するために司法取引を行うということは、アメリカ社会ではよくあることである。また、それに尽力する政治家などの有力者が背後で繋がっているという展開は、この手の作品ではよくあることである。更に、カー・チェイスというのはアメリカ映画ではお馴染みのものである。ということで、本作の内容は、アメリカ映画で刑事物ということでは実にありふれた設定のものである。が、本作は「クール」ということを前面に出し、これとS・マックイーンの魅力が融合し、一級の作品に仕上がっている。

40年前の作品ということで、近年の作品とは違って、劇中の社会的インフラ(例えば、携帯電話が無い、車の型が古い、等)ということから、もどかしさを感じたりもする(→近年の作品の見過ぎということにもなる。)のだが、マックイーンのクールな渋さがそれらを忘れさせてくれる。

サンフランシスコを舞台にしたカー・チェイスは迫力満点であり、必見である。ということで、車好きであれば見ておきたい作品の1つである。

 

ブリット

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  • 出版社/メーカー: ワーナー・ホーム・ビデオ
  • メディア: DVD

ブリット スペシャル・エディション

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EAGLES『ON THE BORDER』 [音楽(洋楽)]

火曜日の1番は「ケータイ刑事」としているが、毎月最初の記事を「ケータイ刑事」としているため、今回は火曜と水曜の1番の記事を入れ替えることにします。よって、洋楽アルバムがここにきます。



表題のアルバムは1974年に発表された彼らの3rd.アルバムである。本アルバムのレコーディングの最中にギターのドン・フェルダーが正式メンバーとなったということと、本アルバムから彼らの最初の全米No.1シングル(全部で5曲のNo.1シングルを生み出している。)が生まれたということで、彼らのキャリアの上でも大きな節目となるアルバムでもある。また、D・フェルダーによってサウンドの方もよりロック色が強くなった。また、本アルバムは全米No.1シングルが生まれたこともあって、ロング・ヒットとなり、Billboardのアルバム・チャートでは最高位17位、1974年の年間アルバム・チャートでは48位、翌1975年の年間アルバム・チャートでは10位にランクインしている。

収録曲は以下の全10曲である。『Already Gone』『You Never Cry Like A Lover』『Midnight Flyer』『My Man』『On The Border』『James Dean』『Ol' 55』『Is It True』『Good Day In Hell』『Best Of My Love』。

この中からシングル・カットされたのは3曲で、最初のシングル『Already Gone』がBillboardのトングル・チャートで最高位32位を記録するまずまずのヒットとなった。続く『James Dean』は最高位77位であったが、3rd.シングルの『Best Of My Love』(邦題:我が愛の至上)が1週とはいうものの、Billboardシングル・チャートでno.1の座を獲得し、1975年の年間シングル・チャートでも12位にランクインする大ヒットとなった。

本アルバムからの筆者のお薦め曲は、『Best Of My Love』は当然として、『Already Gone』『Midnight Flyer』『Good Day In Hell』と、アルバム・タイトル・ナンバーである『On The Border』をピックアップしておく。

前作までのサウンドはカントリー・ロックであったが、本作ではそれがハードな方向に向かい、音楽性が多様化し、これがこの後のウエスト・コーストを代表するサウンドに繋がっていくことになる。そのため、'70'sの(ウエスト・コースト)アメリカン・ロックを語る上でも、重要なアルバムである。'70'sのアメリカン・ロックだけでなく、'80'sのアメリカン・ロックにも繋がっているだけに、アメリカン・ロック(特にウエスト・コースト)ファンであれば、しっかりと聴いておかなければならないアルバムである。じっくりと聴きましょう!

 

On the Border

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  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: Wea Japan
  • 発売日: 1994/10/11
  • メディア: CD

オン・ザ・ボーダー(紙ジャケット仕様)

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  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: ワーナーミュージック・ジャパン
  • 発売日: 2004/10/06
  • メディア: CD
On the Border [12 inch Analog]

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  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: WEA International
  • 発売日: 2006/06/13
  • メディア: LP Record

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