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「丹下左膳」(その8) [映画(邦画)]

今回からは、シリーズとはならずに単発作品として製作された作品についてです。今回は松竹が製作した作品についてです。2本の作品があり、タイトルは全く同じなので、主演者と製作年も一緒に記して区別することにします。

阪東妻三郎主演「丹下左膳」(1952年)
作品データを記しておくと、1952年の松竹京都の作品で、時間は分、白黒作品である。原作は林不忘、監督は松田定次、脚本は菊島隆三と成沢昌茂の2人、撮影は川崎新太郎、音楽は深井史郎である。そして出演は、阪東妻三郎、淡島千景、かつら五郎、三井弘次、高田浩吉、加賀邦男、富本民平、海江田譲二、寺島貢、喜多川千鶴、村田知英子、大友柳太朗、夏川大二郎、菅井一郎、藤間林太郎、戸上城太郎、たちである。

本作は「こけ猿の壺」を映画化したものである。8代将軍・吉宗は日光東照宮の改修工事を伊賀の柳生藩に命じたが、柳生家ではその費用の捻出に困窮する。そんな中、一風宗匠が柳生家には万一の為に莫大な金が埋蔵してあって、その在処は「こけ猿の茶壷」に地図が収められていると言う。が、そのこけ猿の壺は、柳生家の息子・源三郎が、江戸に道場を持つ司馬一刀斎の許へ持ってしっぱつしていた。が、道場の師範代・峰丹波は源三郎を道場に入れまいとし、コソ泥の与吉に盗ませていた。で、柳生家から追われる与吉はちょび安という小僧に渡していて、ひょんなことから丹下左膳の元に転がり込んでいた。それからこけ猿の壺の争奪戦に巻き込まれていく左膳は...

本作は、戦後初の「丹下左膳」の映画作品である。本作の後、大映、日活、東映がシリーズ作品として映画化を行うことになるのだが、改めて「丹下左膳」の人気の高さを知らしめることになった作品である。物語はお馴染みの物であり、これということは無いのだが、「丹下左膳」の映画史を語る上では一つのポイントになっている作品である。

丹波哲郎主演「丹下左膳」(1963年)
作品データを記しておくと、1963年の松竹作品で、時間は95分、原作は林不忘、監督は内川清一郎、脚本は内川清一郎と野口泰彦の2人、撮影は太田喜晴、美術は大角純一、音楽は大森盛太郎である。そして出演は、丹波哲郎、鰐淵晴子、瑳峨三智子、北竜二、園井啓介、東野英治郎、三島雅夫、河野秋武、佐々木孝丸、名和宏、五味勝雄、宝みつ子、大泉滉、田村高広、笠智衆、たちである。

物語は「こけ猿の壺」と「乾雲坤竜の巻」を足して2で割ったようなものである。日光東照宮の改修工事が柳生藩に下されるが、その費用の捻出に困る。で、100歳を超える長老の一風宗匠に相談すると、柳生家には千万両の財宝があって、その在処は伝家の名刀・乾雲丸に記されていると言う。が、乾雲丸は司馬卜伝の娘・萩乃の婚姻の引出物として江戸に送っていた。で、源之丞が江戸へ向い、刀を奪い返そうとして、司馬と柳生の家の間で試合を行うことになる。源之丞は勝って乾雲丸を手にしたが、その時、丹下左膳が現れ、源之丞に勝負を挑む。で、左膳が勝って乾雲丸を奪い去って行った。源之丞は刀の秘密を卜伝に語るが、それを盗み聞きしていたお蓮と師範代・峰丹波は策略を練り、道場を乗取ろうとして卜伝を毒殺した。が、乾雲丸には対となる小刀・坤竜丸があり、二刀が揃わないと秘密は分からないと言うことが判明して...

本作の丹下左膳は片腕ではなくて両手であるというのが特徴である。また「こけ猿の壺」の物語がベースであるが、それを乾雲・坤竜の刀に置き換えており、しかも丹下左膳の正体がとんでもないものになっているということで、姿も「丹下左膳」とは言えない上に、物語も「丹下左膳」とは言いづらく、「丹下左膳・風」というような作品になっている。アレンジをすることは悪くないが、原作小説を足し合わせたようなストーリーでは面白さが半減している。アレンジをするのなら、もっと大胆に行わないと... 脚色のミスというのが全てという作品でした。

 

↓阪東妻三郎主演作(ビデオ)

丹下左膳

  • 出版社/メーカー: 松竹ホームビデオ
  • メディア: VHS

 

↓参考まで

資料が語る丹下左膳の映画史―大河内伝次郎から豊川悦司まで

資料が語る丹下左膳の映画史―大河内伝次郎から豊川悦司まで

  • 作者: 田中 照禾
  • 出版社/メーカー: 川喜多コーポレーション
  • 発売日: 2004/12
  • メディア: 単行本

↓原作小説

丹下左膳(一) 乾雲坤竜の巻 (光文社文庫)

丹下左膳(一) 乾雲坤竜の巻 (光文社文庫)

  • 作者: 林 不忘
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2004/05/13
  • メディア: 文庫

丹下左膳〈2〉こけ猿の巻 (光文社時代小説文庫)

丹下左膳〈2〉こけ猿の巻 (光文社時代小説文庫)

  • 作者: 林 不忘
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2004/06
  • メディア: 文庫

丹下左膳〈3〉 (光文社時代小説文庫)

丹下左膳〈3〉 (光文社時代小説文庫)

  • 作者: 林 不忘
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2004/07
  • メディア: 文庫


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「LE CORPS DE MON ENNEMI」 [映画(洋画)]

表題の作品は1976年のフランス映画「追悼のメロディ」である。殺人の罪を着せられて投獄された男の復讐劇である。クライム・サスペンスであるが、テンポ良く進んで行く物語はとても見やすい作品である。

作品データを記しておくと、時間は121分、原作はフェリシアン・マルソー、監督はアンリ・ヴェルヌイユ、脚本はアンリ・ヴェルヌイユ、ミシェル・オーディアール、フェリシアン・マルソーの3人、撮影はジャン・パンゼ、音楽はフランシス・レイである。そして出演は、ジャン・ポール・ベルモンド、マリー・フランス・ピジェ、ベルナール・ブリエ、ルネ・ルフェーブル、フランソワ・ペロー、シャルル・ジェラール、たちである。

フランソワが7年ぶりに町に返ってきた。彼はフットボール選手と女を殺した罪で収監されていて、ようやく釈放されたのだった。彼は、町を支配するボス・リエガールの娘・ジルベルトと恋中になり、リエガールの一族に迎え入れられ、重要なポストを得ていた。が、フランソワの父が選挙でリエガールの立てた候補者に対抗して立候補して、リエガールの不正を追及しようとしたことから全てを奪われ、会社からも追放される。キャバレーの支配人になったフランソワだったが、そのキャバレーは麻薬の取り引きが行われている場所であり、彼だけがその事実を知らなかった。ある日、キャバレーでフットボール選手と女が殺された。フランソワの銃が殺人に使われたと言うことで、フランソワは殺人者とされて逮捕されたが、彼には全く身に覚えのないことであり、それは全て仕掛けられたものだった。フランソワはこの事件の真相を暴き、真犯人に復讐するために、事件を追い始める。そこにはジルベルトの強力もあった。が、組織もフランソワが真相を暴こうとしていることに気づき、フランソワを始末しようと動き出す。一つ一つ、真実を知っていくフランソワは、遂に事件の黒幕に辿り着いた。それはリエガールだった。が、フランソワは手を出せず、ある方法で復讐を果たすことにした...

物語は、復讐劇を進めながら、過去を回想として描きながら進んで行くが、それがちょっと切なかったりして、良い雰囲気で進んで行く。また、ベルモンドの伊達男ぶりが本作の雰囲気にぴったりであり、彼のキャラが物語に上手く生きている。

1950年代から1970年代のフランス映画は、「フレンチ・フィルム・ノワール」ということで、犯罪映画が数多く製作されて人気を集めたが、本作は、そういう作品群の基本的な設定を受け継いでおらず、全く違ったクライム・サスペンスになっている。また、フランス映画に多く見られるオシャレな所も無いが、フランス映画らしい独特の世界が描かれていると言うこともあって、見ておきたい1本である。

 

追悼のメロディ (1976) (ユニバーサル・セレクション2008年第8弾) 【初回生産限定】

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  • 出版社/メーカー: ユニバーサル・ピクチャーズ・ジャパン
  • メディア: DVD

↓欧州版のため、PAL仕様です。(リージョンコードは日本と同じ「2」ですけど、PAL対応でないと再生できません)

Le Corps de mon ennemi

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  • 出版社/メーカー: Universal
  • メディア: DVD

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ケータイ刑事銭形泪9話[裏ネタ編]PART 4 [ケータイ刑事]

銭形泪・1st.9話」の「BS初!! ドラマ公開収録 ~超能力殺人事件」の「裏ネタ編」の4回目ですが、今回は、「鑑識メモ」に関するネタを取り上げることにします。で、場所が楽屋だったので「楽屋」について、そして柴田さんが口にした「心霊現象」についてです。(単に、マヤヤが生で喋っているのに気づかなかっただけの柴田太郎さんだったのですが、それをこう言ってしまうのはやっぱり柴田太郎さんらしい所でもありますね...)

尚、約2年7ヶ月前のBS-iでの再放送時に記した本編について記した記事は「ここをクリック」してご覧下さい。

楽屋」:意味としては3つある。まずは「雅楽で、楽人(=演奏する人)が演奏する場所」という意味があり、これは古語でもある。(これが語源で、第二の意味を持つようになった。)第二は「劇場やテレビ局などに備えられた出演者の為の控え室」のことであり、一般的にはこれを指す。(後から更に記します。)そして第三は比喩的表現で使われ、「物事の内幕、内情」という意味である。「ケータイ刑事」の市販DVDソフトでは特典映像が収録されているが、「楽屋落ち」のネタがたくさん出てくるが、その場合はこの意味である。→「楽屋落ち」を「楽屋」を舞台にして行うというのは、面白い所である。

楽屋は、出演者の控え室であると同時に、そこで衣装に着替え、化粧をして出番を待つことになる。そのため、楽屋には紙という物が重要なものとなる。よって、いくつもの鏡があり、美容室や理髪店の様に鏡が壁を占領することになる。が、美容室や理髪店と異なるのは、照明によってどう見えるのかということも考える必要があるため、鏡の周囲には数多くの照明器具(電球など)が多数設置されている。

テレビ局では、出演者事に個室が用意されることが殆どであるが、これは同時に異なる複数の番組製作が進められていることが多く、混乱しないようにという目的もある。一方、演劇場などの劇場の楽屋だと、座長や主演者などの一部には個室が用意されることがあっても、その他の出演者の楽屋は「大部屋」と呼ばれる共通の楽屋となる。また、小さい劇場であれば、個室の楽屋が無いというのも珍しいことではない。が、大部屋の方が、メイキングなどの特典映像を撮影するには、色々とネタとなることが転がっている場合が多いのが普通である。

心霊現象」:超常現象の中でも霊が介在して起こる現象のことである。広く言うと、今日の科学では説明できない超自然的な精神現象のことである。英語では「Psychic Phenomenon」と呼ばれる。

「幽霊を見た」というような目撃体験、霊が体内に入り込んだ憑依現象、手で触れることなく物が動くポルターガイスト現象、何もない場所から音がするラップ現象、霊能者が霊の姿を物質化させたり視覚化させたりする物質化現象、などがある。

また、霊を撮した写真やビデオなどの所謂「心霊写真」も心霊現象の一つとされている。

ただ、これらの現象は、科学的に検証すると、実際は錯覚だったり、光のイタズラによって偶然起こったものであったりするのが殆どである。音に関しても幻聴であったと言う物が多い。特に「(昔の人の)体験談」として語り継がれたものには、尾ひれが付いて脚色されている場合が多い。また、体験者の主観による報告であるので、思い込みということで、信憑性は低いと言わざるを得ない。→この物語の「鑑識メモ」で柴田太郎さんが「心霊現象」と口にしたが、これは思い込みによる錯覚であり、冷静に周囲の状況を把握できなかったことによるものである。(こういうものが殆どである。)

が、中には今日の科学で色々と検証を行っても、本当に説明の付かない事例が確実に存在しているのも事実である。

 

ケータイ刑事 銭形泪 DVD-BOX I

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  • 出版社/メーカー: ハピネット・ピクチャーズ
  • メディア: DVD

↓参考まで

ノーベル賞科学者ブライアン・ジョセフソンの科学は心霊現象をいかにとらえるか

ノーベル賞科学者ブライアン・ジョセフソンの科学は心霊現象をいかにとらえるか

  • 作者: ブライアン・D. ジョセフソン
  • 出版社/メーカー: 徳間書店
  • 発売日: 1997/05
  • メディア: 単行本

超常現象の心理学―人はなぜオカルトにひかれるのか (平凡社新書)

超常現象の心理学―人はなぜオカルトにひかれるのか (平凡社新書)

  • 作者: 菊池 聡
  • 出版社/メーカー: 平凡社
  • 発売日: 1999/12
  • メディア: 新書

超常現象大事典―永久保存版

超常現象大事典―永久保存版

  • 作者: 羽仁 礼
  • 出版社/メーカー: 成甲書房
  • 発売日: 2001/03
  • メディア: 単行本

実録心霊現象目撃地帯 (ミッシィコミックス)

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 宙出版
  • 発売日: 2008/07
  • メディア: コミック

本当にあった恐怖体験!!呪われた写真 (広済堂ペーパーバックス)

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  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 廣済堂出版
  • 発売日: 2005/07
  • メディア: 単行本

不思議現象 なぜ信じるのか―こころの科学入門

不思議現象 なぜ信じるのか―こころの科学入門

  • 作者: 菊池 聡
  • 出版社/メーカー: 北大路書房
  • 発売日: 1995/04
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)

TVで放送できなかった超怖い話―あなたにも見える戦慄の心霊現象! (竹書房文庫)

TVで放送できなかった超怖い話―あなたにも見える戦慄の心霊現象! (竹書房文庫)

  • 作者: 中岡 俊哉
  • 出版社/メーカー: 竹書房
  • 発売日: 1999/01
  • メディア: 文庫

心霊現象の心理と病理

  • 作者: カール・グスタフ・ユング
  • 出版社/メーカー: 法政大学出版局
  • 発売日: 1982/01
  • メディア: 単行本


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