「EMPEROR OF THE NORTH」 [映画(洋画)]
表題の作品は1973年のアメリカ映画「北国の帝王」である。1930年代の不況の時代、列車にただ乗りする男と、それを阻止しようとする車掌との対決を描いた作品である。たわいもない話しと言ってしまうことも出来るが、車掌と北国の帝王の執念がぶつかり合い、これがとんでもない面白さを出している作品である。
作品データを記しておくと、時間は121分、監督はロバート・アルドリッチ、脚本はクリストファー・ノップ、撮影はジョセフ・バイロック、音楽はフランク・デ・ヴォールである。そして出演は、リー・マーヴィン、アーネスト・ボーグナイン、キース・キャラダイン、チャールズ・タイナー、サイモン・オークランド、マット・クラーク、エリシャ・クック・Jr.、マルコム・アターベリイ、ハリー・シーザー、たちである。
時は1933年。大恐慌によって失業者は浮浪者と化し、ホーボーと呼ばれるようになっていた。ホーボーたちは鉄道をただ乗りして野宿地から他の野宿地へと移動していた。が、そんなホーボーたちも、オレゴン州ウィラメット・バレーを通過する19号列車だけには乗らなかった。というのは、19号列車の車掌・シャックは冷酷無比な男で、ホーボーたちの無賃乗車を絶対に許さなかったためで、ただ乗りしたホーボーを見つけると、その場で殴り殺していたためだった。が、そんなシャックの裏をかいて、いつも19号列車にただ乗りするホーボーがいた。彼はホーボーたちから「北国の帝王」と呼ばれていた。ある日、帝王のニワトリを盗もうとしたシガレットという男が現れ、行動を共にするようになる。ちょっとした失敗によって列車から落とされるが、ただでは転ばなかった。崖下で休息し、作戦を練り、辺りに捨ててあった油の缶を使い、残っていた油をレールに塗り、列車を止めて乗り込み、19号列車に追いつく。シャックは2人が列車の下に潜んでいると睨み、鉄棒で撃退しようとする。帝王は追いつめられるが、決して諦めない。シガレットはピンチの帝王を無視したが、帝王は列車のエアブレーキで列車を止めてシャックを列車から振り落とし、窮地を脱出する。シャックは再び列車を走らせようと指示を出し、北国の帝王との対決に...
そこまでしなくてもいいのでは?と冷めた見方も出来るが、男の意地をかけた執念の物語ということで、熱いものを感じさせてくれる。車掌にしたら、鉄道員としての誇りを守る戦いであり、北国の帝王にしても自らの誇りを駆けて立ち向かって行く反骨精神があり、まさに男と男のプライドがぶつかり合う迫力に圧倒される。ここではゴチャゴチャと理屈を語っても意味がないところである。
冷めた見方をすると、「そこまでするか?」で片付けられてしまうが、世の中は理屈だけでは片付けられないものでもあり、そういう男がぶつかり合う面白さをたっぷりと味わうことの出来る作品である。それにしても、どうしてこういう面白い作品がDVD化されないのですかね... 本作は大作ではないが、心に届く叫びのある作品であり、こういう作品を「隠れた名作」というのである。男ならば見ておきたい作品である。
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ケータイ刑事銭形海33話(3rd.7話)[裏ネタ編]PART 2 [ケータイ刑事]
銭形海の3rd.7話(通算では33話)はネタが豊富と言うことなので、この物語についてはもう一回「裏ネタ編」を記すことにします。で、海ちゃんと松山さんが訪れた「パリ」「ローマ」「南極」「万里の長城」「北京」についてです。
尚、BS-iの本放送の時に記した長文&ネタバレあり版は「ここをクリック」してご覧下さい。(放送直後に記した感想版もここを経由してください。)
「パリ」:フランスの首都であり、世界でも有数の大都市である。人口は220万人弱、都市圏人口は1200万人弱(世界第5位の大都市である。)、パリ盆地の中央にあり、市内をセーヌ川が流れ、シテ島を中心に同心円状に市街地が広がっている。20の行政区があり、パリ市だけで1つの県になっている。
「芸術の都」と呼ばれ、文化的には世界をリードする年であり、ファッション、香水などは世界的に有名である。
都市になったのは古く、5世紀末にメロヴィング朝フランク王国の首都となったのをはじめ、フランスの中心都市として古くから発展した。18世紀のフランス革命の舞台となったベルサイユ宮殿をはじめ、市内には数多くの観光地がある。
エッフェル塔(1889年のフランス革命100周年を記念して建立)は高さ324mで、東京タワーよりも僅かに低い。現在はセーヌ川周辺は世界遺産に登録されている、凱旋門(エトワール凱旋門、1836年に完成)、オペラ座(オペラ・ガルニエ)などは、名前を知らない人を捜す方が難しいであろうし、シャンゼリゼ通り、コンコルド広場、バスティーユ広場、ヴァンドーム広場、ブローニュの森、ノートルダム大聖堂、ルーヴル美術館、その他数多くの観光地がある。
「ローマ」:イタリアの首都であり、ラツィオ州の州都であり、ローマ県の県庁所在地でもある歴史のある都市である。現在の人口は約270万人であるが、ローマ帝国の首都として栄え、かつては世界最大の人口を誇る大都市であった。紀元前1000年には既に人が住んでいたということで、世界的にも長い歴史のある都市である。
ローマ帝国の時代からの数多くの文化的史跡が多くあり、コロッセオ、パンテオンは余りにも有名で、観光資源も豊富である。また、スペイン広場やトレビの泉、サンタ・マリア・イン・コスメディン教会の真実の口などは、オードリー・ヘプバーン主演の1953年の映画「ローマの休日」でも有名になった。(今回の物語で、「ローマの休日」を再現している所も注目です。)
そして、ローマ市内にバチカン市国という独立した国があるというのも特徴である。世界で最も小さい独立国であるバチカン市国はローマ教皇庁によって統治されるカトリック教会と東方典礼カトリック教会の中心地である。統治者はローマ法王である。尚、1929年にイタリアから独立したということは意外と知られていない。サン・ピエトロ大聖堂、バチカン宮殿、バチカン美術館、サン・ピエトロ広場が知られている。
「南極」:南極大陸とその周辺地域のことを言う。世界地図では地図の一番下のところに変な形(球形の地球を地図という平面上に記すため、そのしわ寄せが全て集まっている大陸である。)で記されているため、その形は意外と知られていない。南極を中心とした地図を一度は見ることをお薦めする。丸くてなかなか面白い形をしています。面積は約1400万平方キロで、ロシアの国土の約80%であり、国土面積2位のカナダの約1.4倍の面積がある。(日本の約37倍)
一応、東経と西経で2つに分けられて、それぞれを東南極と西南極と呼ぶ。東南極の方が面積は大きい。尻尾のように見える南極半島が南アメリカ大陸と向かい合っている。
1961年に発効した南極条約によって、南緯60度よりも南(南極大陸全てが含まれる)の領有権は凍結されている。(その他、平和的利用(軍事的利用の禁止)、核実験、核廃棄物処分の禁止、科学的調査の自由と国際協力などがある。)現在、この条約を締結している国は46ヶ国である。
南極条約を締結した国の中でも、オーストラリア、アルゼンチン、ニュージーランド、イギリス、フランス、ノルウェー、チリは領有権を主張している。また、アメリカとロシアは領有権の主張を保留している。
「万里の長城」:英語では「The Great Wall」と言う。世界遺産にも登録されている中国にある遺跡であり、人類が建造したものとしては世界最大の大きさ(長さ)のものである。東は河北省山海関から、西は甘粛省嘉峪関に至る城壁であり、総延長は6352kmに達している。但し、現存するものは全長約2400kmである。(現存しているのは全体の2割にも満たないものであり、一部現存している地域も3割程度である。よって、総延長の半分以上は現在は残っていない。)
春秋戦国時代に斉、燕、趙、魏などの諸国が辺境を守るために築いた城壁であり、それを秦の始皇帝が大増築したものである。が、現在の長城は明代に築造されたものであり、秦の始皇帝が増築したものではない。(秦の始皇帝のものは、現在の者よりも北にあった。)
目的は、北方民族が侵入してくるのを防ぐために作られたものである。以前は現存しているもののような高さはなかったが、明の時代になってモンゴルの南下を防ぐために補強されて現在の形になった。→入ってこれないようにするということでは、中世の城塞都市の城壁やベルリンの壁と同じ発想である。
観光地としても有名であり、部分的に修復されていたり、崩れかかったままで公開している所などがある。その中でも最も有名なのが北京の北西部にある八達嶺長城である。(万里の長城観光と言うと、何と言ってもこの場所です。)
「北京」:中国(中華人民共和国)の首都である。また、古くからも中国歴代王朝の多くの都が置かれた都市でもあり、その歴史は長く、古都でもある。人口は約1200万人で、中国では3番目に人口の多い都市である。(最も多いのは重慶、次が上海である。但し、これらの都市は直轄市であるため、一般の都市とは少し違います。)また、面積は日本の都道府県の中で2番目に広い岩手県よりも広い。(九州の約4割という広さである。)
長い歴史を持つ都市であるだけに、先に記した万里の長城(八達嶺長城)をはじめ、紫禁城、天安門広場、故宮博物館、周口店の北京原人遺跡など、多数の観光地がある。(日本でも京都がそうであり、更にはやはり今回取り上げたパリ、ローマと同様である。)
2008年には夏季五輪が行われたが、BS-iのドラマでは2005年の「愛の道 チャイナロード」でその舞台となった所でもある。
ロンリープラネットの自由旅行シティガイド「北京」 (ロンリープラネットの自由旅行シティガイド 4)
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ケータイ刑事銭形泪12話[裏ネタ編]PART 2 [ケータイ刑事]
今回の「銭形泪[裏ネタ編]」は1st.12話の「さて、問題です! ~嘘つきクラブ殺人事件」の2回目です。今回は劇中、冒頭に出題された論理パズルの問題に出てきた4種類の飲み物「コーヒー」「紅茶」「ウーロン茶」「オレンジジュース」についてです。
尚、約2年7ヶ月前のBS-iのこの物語の再放送時に記した記した記事は「ここをクリック」してご覧下さい。
「コーヒー」:コーヒーノキの種子(=コーヒー豆)を乾燥させ、煎り、それを挽いて粉にしたものを湯や水に浸して抽出した褐色の飲物である。独特の香がある飲料であり、苦みも持っている。
当初は薬用とされたり、食用とされていたが、13世紀半ば頃からアラビアを中心に飲料として飲まれるようになる。その後、17世紀になってヨーロッパに伝わり、更に世界中に広がっていった。日本には18世紀後半に長崎の出島に入ってきた。但し、コーヒーを飲ませる店が開店したのは1886年のことであり、東京・日本橋に洗愁亭が1号店とされている。
コーヒー豆には糖類、アミノ酸、タンパク質、脂質が多く含まれている。特にポリフェノールであるクロロゲン酸とアルカロイドであるカフェインはよく知られている。尚、カフェインの含有量は豆の重量の1~2%である。コーヒー豆が焙煎されることで化学反応を起こし、数百種類の成分が焙煎豆に含まれ、これらが抽出されたコーヒー液に含まれることになる。
現在では世界中で飲まれている最もポピュラーな嗜好飲料であり、各国の間でも盛んに貿易が行われている。農産物では貿易規模が最も大きいものである。
主な生産国は、ブラジル、コロンビアの中南米、ベトナム、インドネシアの東南アジア、エチオピア、ケニア、タンザニアなどのアフリカである。最も生産量の多い国はブラジルで、ベトナム、コロムビアと続いている。(輸出量の多い国もこれと同じ順位である。)
「紅茶」:茶の葉を摘み取り、それを感想させ、更に発酵させた茶葉を、沸騰した湯で抽出した飲料である。(発酵させなければ「緑茶」になる。)
起源は中国であり、18世紀にはヨーロッパで広く飲まれるようになった。特にイギリスでは「午後の紅茶」というのが上流社会で広く受け入れられ、伝統として今日にも受け継がれている。尚、日本に入ってきたのは幕末の時期である。但し、広く飲まれるようになったのは戦後である。
茶葉に含まれる成分は緑茶と特に変わらないが、発酵させたことによってクロロフィルやタンニンが参加されて茶褐色になる。
茶葉の主な産地は、インド、スリランカ、中国、ケニア、トルコ、インドネシアなどである。
「ウーロン茶」:緑茶と紅茶の中間に位置する茶葉を使って入れたお茶である。つまり、紅茶のように発酵させるが、その途中で加熱して発酵を止めることによって製造される。
「ウーロン」は「烏龍」の中国読みであり、茶葉の色が烏のように黒く、形が龍の爪の様に曲がっていることからこの名前が付いた、とされている。尚、中国では「烏龍」を英語表記した「Wulongcha」と表記されるが、英語では「Oolong Tea」と言う。
主な産地は、中国の浙江省や福建省などであり、1880年代に台湾に伝わり、これらが現在の主な産地となっている。
基本的に、茶葉の成分は緑茶や紅茶と同じであるが、発酵が途中ということで、これが独特の香や風味を持たせている。特に中華料理と合うのは、酵素の働きによって油脂の分解力が強いためである。
「オレンジジュース」:オレンジの果実を搾った液体飲料である。尚、果汁そのままだけではなく、色々と加工したものも当然のことながら含まれる。尚、「みかん」と呼ばれる「温州ミカン」と「オレンジ」は、共にミカン科ミカン属に属するが、別種である。よって、正確には「オレンジジュース」と「みかんジュース」とは別物である。(従姉妹みたいなものですけど...)
オレンジはインド・アッサム地方が原産であり、中国を経て、ポルトガルに入り、そこから世界中に広がった果実である。現在では、ブラジル、アメリカ、スペイン、イタリア、メキシコなどが主な産地となっている。(生産量が最も多いのはブラジルである。)日本には明治になってから入って来た。
オレンジは栄養素が豊富であり、ビタミンCや食物繊維が豊富なのがオレンジジュースの特徴である。そのため、牛乳と共に、(洋食の)朝食メニューには書かすことの出来ないものになっている。
オレンジジュースには、果汁100%というものが意外と少ないのだが、これにはちょっとした歴史があるためである。日本では、オレンジはその殆どがアメリカ・カリフォルニア産を輸入しているが、以前は高い関税がかけられていたため、100%のオレンジジュースというのは高価になってしまうということ、また、果汁100%のオレンジジュースは酸味があり、酸っぱさがあるということ。これらのため、果汁100%のオレンジジュースというのは珍しいものだった。現在では関税も撤廃されて輸入自由化となり、価格が下がったこと、また、果汁100%と煎っても味付けに工夫を凝らすことで酸味を抑えることに成功しているので、「果汁100%オレンジジュース」というのも珍しく無くなった。(「果汁100%」=「オレンジの絞り汁のみ」ではなく、定められた添加物のみが配合されたものでも「果汁100%」という表示が認められている。)
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