KOLYA(SOUNDTRACK) [音楽(サントラ)]
表題の作品は1996年のチェコ、イギリス、フランスの合作映画「コーリャ 愛のプラハ」である。アカデミー外国語映画賞を受賞したのをはじめ、ゴールデングローブ賞でもやはり外国語映画賞を受賞、更に東京映画祭でもグランプリを獲得している作品である。老人と少年の交流を描いた物語であり、そのバックに、プラハの四季が見られる作品でもある。但し、1980年代から1990年代のチェコや東欧の歴史を少し勉強してから鑑賞した方が良いでしょうね。
作品データを記しておくと、時間は105分、監督はヤン・スヴェラーク、脚本はヤン・スヴェラークとズディニェク・スヴェラークの2人、撮影はウラジミール・スムットニー、音楽はオンドレイ・ソウクプである。そして出演は、ズディニェク・スヴェラーク、アンドレイ・ハリモン、リブシェ・シャフラーンコヴァ、オンドジェイ・ヴェトヒー、ステラ・ザヴォルコヴァ、イレーナ・リヴァノヴァ、ラディスラフ・スモリヤーク、レネ・プライヴィル、たちである。
1988年のプラハ。かつて、チェコ・フィルで主席チェリストだったフランティ・ロウカは、女性問題で転落して、今ではその日暮らしをしている55才の独身男である。ある日、彼の悪友・ブロスが、ドイツ人の恋人と結婚するためにチェコの身分証明書が欲しいロシアの女・ナディズダとの偽装結婚の話を持ちかけてきた。礼金はたっぷりと出すということで、承諾した。で、結婚式が終わると、ナディズダは連れ子で、5才のコーリャを置いて逃げてしまった、ということで、突然子どもを背負い込むことになってしまう。最初は煩わしいと思っていた彼だったが、いつしか父親意識が芽生える。で、コーリャのために色々と奔走する。が、ロシア嫌いの母からはコーリャがロシア人だと見抜かれ、秘密警察からも呼び出しを喰らうというように、災難続きであった。そんな中、ベルリンの壁が崩壊し、情勢は大きく変わる。チェコスロヴァキアもチェコとスロヴァキアに分裂。が、民主化の波で自由に国境を行き来できるようにもなった。そんな中、ナディズダがコーリャを迎えにやって来た。フランティはコーリャとの別れを惜しむが、ナディズダに返すことにした。やがて、プラハでは民主改革成功の祝典が開かれる。そして、チェコの英雄・ラファエル・クーベリックが指揮する楽団にフランティは復帰していて、その演奏会で演奏していた。
落ちぶれた男が子どもとのふれあいを通して変わっていく姿には心を惹かれるものがある。が、東欧の民主化という全く次元の異なるものが重なっていることで、何処か遠い国の物語という気がしてしまう。それだけに、東欧の民主化の歴史的な所を学んでおいてから鑑賞した方が良いでしょう。
一方、音楽の方は、政治的な背景などは関係なく、人間ドラマとしての心の表現と、国の民主化という大きな出来事とを、特に区別することなくしっかりと表現されている。映像では国境があることをしっかりと表現しているが、音楽の世界の表現では国境がなく、これが1人の男と子どもとのふれあいと国の民主化という次元の違うものを上手く繋げて表現することに成功している。ということで、映画を忘れても聴きたくなってく音楽である。
サントラ盤の収録曲は以下の全16曲である。『Together』『Little Train』『New Shoes』『Alone On The Underground』『Alone』『Lord Is My Shepherd』『Fever』『Alone』『Alone』『Wooden Top』『On The Run』『Together』『Lord Is My Shepherd』『Barcarole』『American Quartet In F-Major, 2nd Movement』『Tabor』。
映画は映画としてじっくりと見たい所であるが、映画を忘れて音楽(サントラ盤)をじっくりと堪能するというのも、本作においてはたっぷりと楽しめるところである。
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NEW ORDER『POWER, CORRUPTION & LIES』 [音楽(洋楽)]
表題のアルバムは1983年にリリースされた彼らの2nd.アルバムである。前作のサウンドとは変わって、後のクラブシーンに多大な影響を与えることになったアルバムとして知られている。アメリカではチャートインしていないが、本国イギリスでは最高位4位を記録して、彼らの名前を知らしめることになった。
収録曲は、本国イギリス盤とアメリカ盤では収録曲が違っていて、UK盤は全8曲であるが、US盤は全10曲となっている。US盤での収録曲は以下の全10曲である。『Age Of Consent』『We All Stand』『Village』『586』『Blue Monday』『Your Silent Face』『Ultraviolence』『Ecstasy』『Leave Me Alone』『The Beach』。
尚、UK盤では『Blue Monday』『Beach』が収録されていない。(それ以外の曲順は同じである。)
『Blue Monday』がシングルとしてリリースされていて、全英では最高位9位を記録しているが、イギリスではシングルのみでアルバムには収録されていない。一方、アメリカではアルバムに収録されているが、ダンス・チャートにはランクインしているが、Billboardのシングル・チャートにはランクインしていない。
本アルバムからのお薦め曲は、『Age Of Consent』『586』『Your Silent Face』『Leave Me Alone』という所をピックアップしておく。(一応、彼らの本国であるUK盤から選ぶことにして、『Blue Monday』と『Beach』は除外しました。この2曲はUS盤でこそ収録曲であるが、オリジナル盤と言うことの出来るUK盤では収録されていないのだから、対象外ですので...)
彼らは「ポスト・パンク」ということでデビューした。'70'sの時代でもあるにはあったが、大がかりなものであったシンセサイザーが使いやすい物になってきたことで、'80's前半はシンセサイザーを使った新しいサウンドが次々と登場することになる。そんな時代にマッチした彼らが「ポスト・パンク」という目標を実現したことになったアルバムでもある。確かに四半世紀前のものであり、シンセサイザーの奏でるサウンドは現在のものと比べるとちゃちな所もある。が、サウンドの方は決して陳腐化したものではない。だからこそ、'90's以降のクラブ系のアーティストに多大な影響を与えることになったということも言える。
'80'sの新しいサウンドであるシンセサイザーをフューチャーしたサウンドは、この後にエレポップと呼ばれることになるが、エレポップの歴史を語る上でも忘れてはならないアルバムの一つである。クラブ系のサウンドを聴く方は、聴いておかないといけないマストアイテムである。
尚、2008年には、UK盤のオリジナル8曲と、8曲のボーナス・トラックを収録したボーナス・ディスクの2枚組というものがリリースされているので、こちらの方が宜しいかと...
ちなみに、その2枚組のボーナス・ディスクにあたるDISC 2の収録曲は、『Blue Monday』『The Beach』『Confusion』『Thieves Like Us』『Lonesome Tonight』『Murder』『Thieves Like Us (Instrumental)』『Confusion (Alt Version)』である。
↓2枚組はこちら
↓US盤の全10曲のもの
ケータイ刑事銭形命7話 [ケータイ刑事]
二段構成で記している「銭形命」。今回の物語はちょうど中間の第7話です。物語の方は、「犬は知っていた! ~『バスカヴィル家の犬』殺人事件」ということで、コナン・ドイルの有名なS・ホームズの物語を元ネタにした物語で、「ケータイ刑事」に於いては3度目のことです。(「泪・2nd.9話」の『赤毛連盟』、「雷・2nd.5話」の『まだらの紐』についでと言うことになる。)命ちゃんもシャーロキアンということで、「泪」の血を受け継いだ物語ということで、相棒の高村さんがシャーロキアンだった「雷」とは毛色の異なる物語でした。(「泪・2nd.9話」の泪ちゃんと同様に、命ちゃんもホームズについて、いくつか語ってくれていました。)ただ、ドイルの「バスカヴィル家の犬」では、ワトソンが活躍するのだが、本作では柴田束志さんを排除して、命ちゃんがたっぷりと魅せてくれる物語となっていました。でも、束志がいないことが命ちゃんをたっぷりと魅せてくれることになったということで、これはこれで良かったですね。→「愛」の初期で、柴田太郎さんが登場しない物語がいくつかあるが、そういう物語に近い雰囲気がありました。
ホームズのコスプレをしたり、犬語(?)を話す命ちゃんということで、これまでの命ちゃんとは少し違う所を見せてくれて、ここまで真面目一直線だった命ちゃんの今後のキャラの膨らみが期待出来ると感じられたのに、丹羽Pのチョンボ発言によってあと6話で終わってしまう事が分かっているだけに、そのような期待が膨らまないのが残念である。
それでは物語の方を記していきます。(MBSでの放送(BS-TBSでの終了後になるでしょうが...)後に「改訂版」として記す余地を残しておくため、部分的に端折って記します。)尚、放送直後に記した第一稿は「ここをクリック」してご覧下さい。
警視庁前の地下鉄桜田門駅の入口の前で、松山さんがパンを片手に新聞(毎朝新聞の8/15の朝刊です。)を読んでいる。そこに自転車に乗った命ちゃんが現れ、松山さんの前で停まり、声を掛けて自転車から降りる。「どうしたんですか?」と尋ねる命ちゃんに「これ、見て見ろ」と言って新聞記事を見せる。その記事は「シャーロック・ホームズのパイプ 2千8百万円で落札」という記事で、命ちゃんが声を出して読んでくれる。(出ました、お馴染みの数字の「28」!!)で、落札したのが作家の篠崎浩一郎(しのざき・こういちろう)だった。命ちゃんは「へぇ~」と口にしていた。松山さんは「こんなもんで2800万だぞ。ありえねぇな」と言っていた。が、命ちゃんの反応は違っていて「篠崎浩一郎さんはシャーロキアンで有名ですからね」と納得していた。松山さんは「シャーロキアン?何だそれ?」と命ちゃんに尋ね、命ちゃんがこれに答えてくれる。そして「そういう私も...」と言って胸ポケットに入っている会員証を取り出して、松山さんに見せた。
それは「シャーロキアン日本協会 赤坂支部 会員番号562-537-239 銭形命」と言う会員証であった。(岡野さんの資格証とは違うが、何となく岡野さんを思い出させてくれます。岡野さんと命ちゃんのコンビが見たいと思えるのだが、それが無いとは、残念である。)松山さんが「シャーロック・ホームズ、好きなんだ」と尋ねると「はい、従姉妹に勧められてハマっちゃいました」と答える命ちゃん。松山さんは「従姉妹って、あの数学が得意なお姉ちゃんか?」と尋ねる。(松山さんは本家四姉妹では、数学が得意の零ちゃんとしか面識がありませんから、この真っ先に零ちゃんということになるのでしょう。)命ちゃんは「いえいえ、嘘泣きが得意な方です」と答えた。(名前を出さなくても、しっかりと分かります。泪ちゃんは色々と仲間を広げているのですね。)
松山さんは、こんなパイプに大金をつぎ込む奴の気が知れない、と言うが、命ちゃんは「それは松山さんがホームズに興味がないからですよ」と、マニアの気持ちを分かっていた。そして「古いギターでも、松崎しげるさんが使っていたものなら、ファンは欲しがるでしょう。それと同じですよ」と語る。これを聴いた松山さんは笑いながら「分かりやすい例えだな」と喜んでいた。→命ちゃんも、松山さんの操縦法を熟知しましたね。
そんな所に「警視庁から入電中」と、事件の知らせが届き、命ちゃんは携帯を開く。「港区赤坂で殺人事件発生。被害者は作家の篠崎浩一郎。直ちに現場に急行せよ」
事件現場となった篠崎邸にやってきた命ちゃんと松山さん。玄関から中に入ると、いきなり犬に吠えられる松山さん。「犬がいるよ」と言うが、命ちゃんは笑顔で「うわ~、可愛い」と言って、犬の頭をなでていた。(「舞・2話」で舞ちゃんが犬を可愛がっていたが、三女は犬好きということで、同じような所があるのですね。)
そこに、西洋の令嬢の姿をした女が駆けつけてきて「お邪魔ですようですいません、外に直ぐ出しますから」と言う。松山さんが「こちらのお宅の方ですか?」と尋ねると、「はい、家政婦の浅井佳代子と申します」と答えた。命ちゃんが「ワンちゃんの名前は何というのですか?」と尋ねる。松山さんは「プン太だろう」と言うが、佳代子は「いえ、バスカヴィルです」と答えた。松山さんは「変な名前」と漏らして笑うが、命ちゃんは笑顔になって感心していて「『バスカヴィル家の犬』から取ったんですよ」と言った。松山さんはさっぱり分からず「何だそれ?」と尋ねると「シャーロック・ホームズです」と言って、命ちゃんが説明してくれる。(ホームズには56本の短編と4本の長編がある。「バスカヴィル家の犬」はファンの間でも人気の高い長編小説、と説明していた。→人気だけでなく、評価も高い作品ですね。)が、松山さんは「何もそこまで拘らなくても、プン太でいいんだ」と言っていた。→「海」から「ケータイ刑事」の脚本を全く書いていない渡邉睦月さんの愛犬・プン太の名前が出てきたが、睦月さんには戻って来て欲しい所です。(やっぱり、多摩川ドイルを、ということになるでしょうけど...)
現場で捜査を始めた命ちゃん。松山さんが凶器を入れた袋を手にしてやってきて、「死因は後頭部殴打による脳挫傷、死亡推定時刻は今朝の10時から11時、第一発見者はあの家政婦だ」と語る。(柴田束志さんが登場しないことで、松山さんが語っているが、画面に出たテロップを含めて、「銭形愛」の初期作品の雰囲気の演出がされています。)凶器は灰皿で、指紋は拭き取ってある。また、ドアノブにも指紋を拭き取った痕があるということだった。
命ちゃんは被害者の書斎に移り、そこにある物を見て笑顔になっていた。(ホームズに関係する様々な小物が並んでいるだけに、シャーロキアンの命ちゃんにしたら、嬉しくてたまらないでしょうね。が、そちらに気を取られずに捜査をする命ちゃんは、やはり真面目です。)で、例のパイプが入っていたケースのガラスが床に砕けて散っていた。松山さんは、犯人は2800万のお宝があることを知って盗みに入ったが、被害者に見つかり殺した、と考えたが、命ちゃんは、被害者にとったら2800万のお宝でも、ホームズに興味の無い人にはただの古いパイプでしかない、と言って否定的な見解だった。松山さんは、「パイプの価値を知っている奴」と言うが、命ちゃんは「それなら、こんな乱暴にケースを割ったりするでしょうか?」とやはり松山さんの考えを否定する。で、「犯人がパイプを持ち去ったのは強盗に見せ枯れるための偽装かもしれませんね」と考えた。
庭でバスカヴィルの犬小屋の檻をいじっている佳代子の元にやってきた命ちゃんは、質問をする。佳代子はここで働くようになって5年で、元々は弟子として作家になるための修行をしていた。が、奥さんが亡くなってから家事の手伝いをするよう頼まれた、ということだった。また、篠崎には弟が1人いると証言する。松山さんが、「今朝、買い物に出掛けたそうですね?」と尋ねると、篠崎からある本を買ってくるように頼まれ、10時ちょっと前に家を出て、戻ったのはお昼前ということだった。松山さんは、本屋に言ったにしては時間がかかりすぎだ、と言うが、佳代子はスーパーとペットショップに寄ったということだった。また、先生一人では物騒なので、玄関の鍵を掛けて出掛けたが、戻って来たときには鍵は開いていた、と言い、篠崎が死んでいたということだった。(側にバスカヴィルがウロウロしていた。)
そんな所に一人の男がやってきて「兄貴が死んだって本当か?」と言う。松山さんが「あなたは?」と尋ねると「一体、何が起きたんですか?」と言っていた。
屋敷の応接室に移動して、その男に話を聞く命ちゃんと松山さん。男は篠崎浩一郎の弟の隆二(りゅうじ)で、輸入雑貨の会社を経営していた。連絡を受けて会社から飛んできたと言う。命ちゃんが「ちなみに、貴方の今朝の行動は?」と尋ねると「俺を疑っているのか?」と反応する。これに「形式的な質問ですから」と言う命ちゃん。(この台詞、命ちゃんは毎回のように言ってますね。)で、隆二はずっと会社にいた、と答える。「証明する人は?」と言う松山さんの問には「社員たちに聴いてみればいい」と答える。命ちゃんは、「浩一郎さんは他に身寄りがありませんよね。彼が亡くなった場合...」と言うと、隆二は、保険金の受取人は自分で、5000万という。浩一郎の妻が死んだときに名義を変えたということだった。更に「俺を疑うのなら、あの家政婦だって怪しいと思うけどな」と証言する。というのは、浩一郎は遺言書を残していて佳代子も結構な額の遺産を受け取ることになっている、と言う。その様子を二階の物陰から佳代子はこっそりと覗いていた。(また、隆二の鼻毛が出ていたが、これも分かる人には分かるネタですね。)
浩一郎の死体が発見された場所で、死体のあった位置に寝転んでいる命ちゃん。松山さんがやってきて「お前、何やってるの?」と尋ねるが、命ちゃんはそのままで「どうでしたか?」と逆に問う。で、保険金と遺言状の件は隆二の証言通りだと答える。続いて「2人のアリバイは?」と命ちゃんが尋ねる。で、松山さんが、隆二はずっと会社にいた、と数人の社員が証言している。一方、佳代子は、書店とペットショップの店員が覚えていたが、微妙だと言う。(10時に殺害してから出掛けても、間に合わない時間でもない、ということだった。)立ち上がった命ちゃんが「じゃあ、アリバイは成立しない訳ですね」と言った。
そんな命ちゃんは部屋の中にあった「バスカヴィル家の犬」をイメージした絵を目にして「遺体の脇に犬が立っていたなんて、本当に「バスカヴィル家の犬」みたいだと思って...」と言った。これに「どういうことだ?」と松山さん。で、「バスカヴィル家には口から炎を吐き、全身が青白い炎で包まれた魔犬の伝説があるんです」と答えて、「バスカヴィル家の犬」の物語を語る。
すると、松山さんが「そうだ、あのワン公だ!」と叫んだ。命ちゃんは「まさか、この事件も犬が犯人だ何て言うんじゃないでしょうね」と漏らすが、松山さんはそれを否定して「犯人を見てるはずだ」と言った。命ちゃんは「バスカヴィルが見ていても証言できません」と言うが、松山さんは笑いながら「犬というのは、太古の昔から人間のお友達だよ。誠意を込めれば通じ合える」と言い「あの犬を事情聴取だ」といってバスカヴィルの所に移動する。命ちゃんは驚いて目を丸くするも、松山さんについて行った。
バスカヴィルの犬小屋の周囲のサークルから、松山さんが「ワンワンワンワン」と犬語(?)でバスカヴィルに尋ねる。これに日本語の字幕が出る。(「お前、犯人を見なかったか?」)これに命ちゃんが続いて「ワンワンワンワン」(字幕「お願い!あなただけが頼りなの!」)が、何も答えないバスカヴィル。(当たり前です。)が、全く通じず、命ちゃんは「ワンワンワン」と松山さんに漏らす(字幕「やっぱりダメっぽいですね」)松山さんは怒って「ワンワンワンワン」(字幕「お前の誠意が足りないんだよ!」)すると命ちゃんが「ワンワンワン!」(字幕「そんな事ありませんよ!」)ということで、犬語で喧嘩となる。それを呆れ顔で見ているバスカヴィルだった。そんな中、命ちゃんは犬小屋の中に、ホームズのパイプがあるのに気づき、手を伸ばしてハンカチにくるんで回収した。そして「ワンワンワン」(字幕「これって、もしかして…」)松山さんも「ワンワンワン」(字幕「2800万円!!」)で、命ちゃんは「響く、悪の鼓動」(Aパートはここまでで、経過時間は13分を超えた所でした。よってBパートは12分半弱となります。)
佳代子に事情を聴く命ちゃんと松山さんだったが、佳代子は犯行を否定する。松山さんはパイプが犬小屋の中に隠されていたことから、犯人はこの家の中の人間だ、と言って「詳しい話は署でゆっくり聞こう」と行って、佳代子を連行していこうとする。が、命ちゃんが「待って下さい」と行ってそれを止めると「一つ、聴いても良いですか?」と行って「浩一郎さんと隆二さんの仲をどう思います?」と尋ねた。松山さんは「関係あるのか?」と命ちゃんに言うが、命ちゃんはそれを手で制する。で、佳代子は「あまり、仲が良いようには見えませんでした」と証言した。「といいますと?」と命ちゃんが更に尋ねると、隆二は以前、浩一郎からお金の援助を頼みに来たことがあり、浩一郎はそれを断った。で、2人は大喧嘩をしていた、と証言する。また、隆二の会社は最近は上手く行ってないみたい、と付け加えた。
松山さんはパイプを手に「こんなガラクタに2800万もかけて、実の弟には金出さないのか」と言う。すると佳代子は興奮して「先生も胸の内では、本当は隆二さんのこと、心配したと思います。でも、頑固で...不器用だから、どうしても...」と言って泣き始めてしまった。命ちゃんは「分かりました。安心して下さい。あなたを犯人だとは思っていません」と言った。が、これに松山さんは「はっ?」
書斎のソファに座って松山さんはパイプを手にして「これが2800万、俺には分からないよ」と呟いていると、命ちゃんが「ジャーン!お待たせしました」といってホームズのコスプレをして現れた。「どうしたの、その格好?」と尋ねる松山さんに「そこにあるの、借りちゃいました」と言う命ちゃん。そして「何だか、これを着るとどんな難事件でも解決出来るような気がしません?」とすっかり気分はホームズになっていた。(「泪・2nd.9話」の泪ちゃんと同じですね。)松山さんは「そんなもんで解決出来るんなら、誰も苦労しないんだよ」と返すが、その手からパイプを奪い取った命ちゃんは「いいじゃないですか。たまには気分転換も必要です」と言っていた。
松山さんは「それでは名探偵さんにお聞きしますが、何故、浅井佳代子はシロなんだ?」と尋ねた。命ちゃんは書斎の椅子に腰を下ろすと「言い質問だね、ワトソンくん」と完全にホームズになっていて「指紋が拭き取られていたからですよ」と答えた。松山さんは「はっ?」と言う状態で訳が分からなくなっていた。で、命ちゃんは、住み込みの家政婦の佳代子の指紋は灰皿やドアノブに付いていてもおかしくなく、付いていない方が変、と言い「犯人はズバリ、篠崎隆二さんですよ」と言った。が、松山さんは笑ってから「甘いなお前は」と言って、アリバイがあることを口にする。が。命ちゃんは、先ほど隆二と話した時、「今朝の行動は?」と尋ねたのに隆二は犯行が行われた時間をどうして知っていたのか?と言い、推理を語る。
浩一郎と隆二は、今朝この家で会う約束をしていた。2人が揉めるところを佳代子に見せないようにするために、佳代子を使いに(外に)出した。佳代子が出掛けて直ぐに隆二がやってきた。だから玄関の鍵は開いていた。そして2人は口論を始めた。で、金を貸さないと言う浩一郎を隆二が灰皿で殴り殺してしまった。隆二は灰皿の指紋を拭き取り、パイプのガラスケースを壊し、パイプを持ち出した。ドアノブの指紋も拭き取り、バスカヴィルの犬小屋にパイプを隠して逃げた。
松山さんは「どうしてそのまま持ち去らなかったんだ?」と尋ねる。命ちゃんは「自分が疑われた時、注意をそらすためでしょうね」と答えた。で、松山さんは「筋は通っている」と言って納得した。が「でも...」と言う、命ちゃんはそれを分かっていて「ええ、証拠は何一つありません」と言った。
そんな2人は窓から庭のバスカヴィルの犬小屋でバスカヴィルの世話をしている佳代子の姿を見る。松山さんは「あのワン公さえ証言してくれたらなぁ...何か喋らせる方法ってないのか?」と漏らす。これに「そんな無茶な」と(真面目な)命ちゃん。「そりゃそうだな」と言う松山さんだったが、命ちゃんは「そうか、その手がありますね」と閃き、「さっすが、松山さん」と言ってから「謎は解けたよ、ワトソンくん」
応接室にいる隆二は時間が気になっていて、ウロウロしていた。そこに二階から命ちゃんが(元の制服姿に戻っていて)「篠崎さん」と声を掛けた。「いつまで待たせるんだ」と文句を言う隆二に「一つ、確認したいことがあります」と命ちゃんは言った。で、今朝10時に浩一郎と会うためにこの家に来たことを問い糾す。が、隆二は「その時間は会社にいた。社員も証言している」とアリバイを主張する。が「その証言は信用できません」と命ちゃんは言い、「会社を守るため」と言われたら、社員は嘘の証言をするかもしれない、と説明するが、「ふざけるな。そこまで言うのなら証拠があるんだろうな」と隆二は帰す。すると「実は目撃者がいるんです」と命ちゃん。そして「佳代子さん、お願いします」と言って、佳代子を呼んだ。佳代子はバスカヴィルを抱いて現れた。隆二は「この女が何を見たって言うんだ?事件の時、この家にはいなかったんだ」と言う。一階に下りてきた命ちゃんは「ええ、目撃者は佳代子さんではありません」と言った。で、改めて佳代子の方を見る隆二は「まさか、このワン公か」と言うが、「ワン公ではありません。ちゃんとバスカヴィルという名前があるんです」と命ちゃん。が、隆二は鼻に掛けて笑った。そして、「確かにコイツは、あの部屋で犯人見てるな。ただ、それがどうした。コイツは俺が兄貴を殺すのを見たと証言でもしたのか」と命ちゃんに言う。これに、「いいえ、犬は証言できません」と命ちゃん。すると「だったら、もっとまともな目撃者を連れてこい」と怒る。それまでじっと隆二の様子を見ていた命ちゃんは目を閉じた。
隆二は茶番には付き合うほど暇じゃない、といって部屋から出て行った。玄関にやってきた隆二は心臓の鼓動音を耳にして立ち止まって振り返った。荒野の地平線から太陽が昇り、ハート型になり、命ちゃんのサックスからハートマークが飛ぶ。「命長けりゃ恥多し。…」命ちゃんの口上が始まり「命の重みを感じなさい!」からストラップを投げる。で、ハートマークが大きくなり、隆二を押しつぶす。で、手足をバタバタさせる隆二。命ちゃんがストラップを引くと、上半身が起き上がる隆二。
立ち上がった隆二は「何しやがる」と凄味をきかせるも、玄関に向かおうとする。が、松山さんが回り込む。命ちゃんは隆二に言った。「慌てないで下さい。誰もバスカヴィルが目撃者だなんて言ってませんよ」そして佳代子に、バスカヴィルは普段何処にいるのかを尋ねる。これに「庭のサークルの中です」と答える。命ちゃんは「じゃあ、どうして今朝は書斎にいたんでしょう?」と言う。すかさず佳代子が、昨日サークルが壊れたので家の中に入れた、と言う。「それ以前にバスカヴィルが書斎に入ったことは?」と続けて問う命ちゃん。「一度もありません」と答える佳代子。すると「変ですね」と命ちゃんは言うと、隆二が(事件後)来た時はバスカヴィルは外にいて、命ちゃんも現場に犬がいたとは一言も言っていない。「なのに、どうしてあなたは、書斎に犬がいたことを知っているんですか?今朝、あの部屋にいなければ、それを知ることは出来ないはずです」と言った。続いて松山さんが隆二に「目撃者はあの犬じゃないよ。あんた自身だ」と言った。すると隆二は「くっそ!やられたな」と漏らして犯行を認めた。
松山さんが「目的は保険金か?」と動機を尋ねると借金を返さないと会社が潰れてしまう。兄貴も実の弟よりもガラクタの方が大事じゃないか、と叫ぶように言うが「違います」と佳代子が口を挟む。そして、いつも隆二のことを心配していて、パイプのお金も本当は隆二のために用意したものだった。でも、2人が喧嘩してしまい、意地を張ってしまい、お金を趣味に使ってしまった、と言った。これを聴いた命ちゃんは「よく話し合うべきでしたね」と隆二に言った。これに「もういい、もういいよ」と隆二。で、松山さんが隆二に手錠を掛けた。
事件解決後、庭のバスカヴィルのサークルの中にいる命ちゃんの元に松山さんがやってきて、隆二の会社の社員がアリバイの偽証を認めた、と告げた。命ちゃんは「よかったですね」と返た。松山さんは1つ疑問があると言い、命ちゃんは「何ですか?」と尋ねた。松山さんの疑問は、シャーロック・ホームズは小説の中の登場人物だが、本人が使ったパイプというのはインチキだ、と言う。これに命ちゃんは「いいえ、シャーロキアンの多くはホームズが実在していたと考えているんですよ」と答え、更に「ホームズは今もまだ生きているって信じている人も少なくありません」と説明する。すると「今生きてるとしたら、何才?」と尋ねる松山さん。命ちゃんは「そうですね」と言って考えて「もう、とっくに150歳を超えています」(その通りですね。いくつかの説があるがね1854年生まれとするのが有力ですからね。)と答えた。すると笑いながら「じゃあ、もう仙人だな」と松山さん。命ちゃんは目を輝かせながら「でも、この世界の何処かで名探偵が生きているなんて、ロマンがあって良いじゃないですか。私は、いつか出会えるって信じてますよ」と言っていた。これに「会えるといいね」と松山さん。命ちゃんはバスカヴィルを可愛がっていた。
次回は「愛と宿命の将棋崩し! ~女流棋士殺人事件」という物語です。「女流棋士」ということで、将棋に関する物語と思われるが、タイトルに「崩し」とあることから、将棋は将棋でも「将棋崩し」のようですね。まあ、「ケータイ刑事」らしい発想ではあるが、今年の4月に泪お姉ちゃまこと黒川芽以さんが出演している「名曲探偵アマデウス」で、プロ棋士が依頼人として登場した物語で、最後の所で所長とカノンさんが将棋をやっていると思わせて、それが将棋崩しだっただけに、二番煎茶というイメージがあって...(やはり「海」の時からであるが、どうもネタとして使うにはタイミングが悪い、というものが増えているように感じるのですよね。で、これもシリーズのクオリティが落ちていると感じさせる所の一つである。)まあ、しっかりとした捻りがあればいいんですけど...
次回予告では、「エキシビションマッチ会場」という看板があって、松山さんが羽織を着ていたが、「零・2nd.11話」のような雰囲気を感じます。また、でも、命ちゃんは参加するのではないようなので、ちょっと残念。「泪・1st.1話」の泪ちゃんのように、和服姿の命ちゃんを見たいと思うのですがね...→2回続けてのサービス・ショットは無し、ということなのでしょうか。今回は命ちゃんのコスプレがあっただけに、続けて制服姿以外を見せてくれたらいいのに...
ゲストの八木小緒里さんには怪演ぶりを期待したいところですけど、次回予告から、何となく動機も分かっちゃったようで...果たしてどういう展開を見せてくれるのか...?
「鑑識メモ」:今回は柴田束志さんの唯一の登場する所である。玩具のヒゲ付き眼鏡を掛けて、ボール遊びのパイプを咥えた柴田さんが登場する。で、カメラの方を向いて、ボールを落とすと「どうも、柴田です」と挨拶をする。続いて手にしていたパイプほ放り投げて「犬の忠誠心というのは、本当、感動ものですね」と言うと「では、鑑識メモ」と言って、例の手帳を開く。「犬が大好きな命ちゃんは、最近、動物占いに凝っているらしい。命ちゃんに占ってもらったら、猿の柴田さんは事故に注意とのことでした」と占い結果を語る。で「いや、本当に当たるんでしょうかね?」と笑っていた。で「では失礼します」と言って立ち去る。が、何かにぶつかる音がして、柴田さんは「当たりました~」と言っていた。
今回も着ボイスDLのお知らせではなく、8/27の「SUMMER PARTY in 赤坂BLITZ!ファン感謝祭歌謡祭」のお知らせとなっていました。→本放送では良いのだが、この物語の再放送は8/29である。(22日は世界陸上の放送のため、再放送がお休みです。)よって、再放送の時、この部分がどうなっているのか、という楽しみが出来ました。
傑作として知られているコナン・ドイルの「バスカヴィル家の犬」であるが、どれだけこの作品のネタを入れているのかを注目していたが、ストーリー的にはあまり使っていなかったですね。(30分枠では、どう考えても無理でしょうけど...)被害者はチャールズ・バスカヴィル卿の死体が発見された時の様子を元にしていたが、犬の足跡ではなくて犬が側にいたということにしたというのをはじめ、アイデアの方は「バスカヴィル家の犬」をかなり意識していましたね。家政婦・佳代子のあの格好とテンションはベリル嬢のつもりでしょうし、犬の名前を「バスカヴィル」にしたことで、まとめてしまったというところでした。残念だったのは、被害者の浩一郎が何かの病気で、その主治医がいて、少しは謎めいた所を見せて貰いたかったところでした。まあ、最初から、犬を魔犬にして、その咆哮が...、ということまではやらないと思ったが、これまでは真面目な處だけしか見せなかった命ちゃんに、可愛い犬の鳴き声をさせたということで、一応、これを「魔の犬の咆哮」の翻案と解釈しておきます。
やはり、丹羽Pの「銭形命は1クールで終了」と発表したのが早すぎたというのは大チョンボですね。(本作に於いて、丹羽Pはヘッポコ・プロデューサになったという結論がほぼ確定です。)今回の物語が折り返しの第7話であり、ここで命ちゃんのキャラが弾けて、真面目一直線だったのからノリの良さを見せたので、今後のキャラの持つイメージが膨らむという期待が膨らむのが本来の姿である。が、あのミスのために、その期待もあと6話だから無理だろう、という諦めに繋がってしまい、命ちゃんのキャラがぶれた、と解釈する方が先になってしまう、(この物語の時点で「1クールで終了」という発言がなかったら、例え1クールで終わることが決まっていたとしても、それを知らないために、相棒を変えた2nd.シリーズに突入して、命ちゃんのキャラの広がりを期待することになるので、今回の命ちゃんのキャラクターの違いは「ぶれ」ではなく、「今後に対する期待」となる。)まあ、本作は丹羽Pのチョンボがダメにしてしまったという見本市として、それを証明するエピソードの一つになるということですね。→この失敗は大いなる反省点として今後に活かすべき所であるが、キャラのブレは「海」での失敗と同じであるだけに、反省されていないということで、同じ過ちを繰り返しそうな予感がする。もしそうなるのなら、本当に残念であるが、「ケータイ刑事」シリーズは終了させるべきである...)
今回は、「ケータイ刑事」らしい所が色々と出てきただけに、本当に残念なことである。岡本あずさは頑張っているだけに、ちょっと可哀想に感じられるようになってきて...
詳注版シャーロック・ホームズ全集〈5〉四つの署名 バスカヴィル家の犬 (ちくま文庫)
- 作者: アーサー・コナン ドイル
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 1997/08
- メディア: 文庫