SSブログ

「喜劇・旅行」(その8) [映画(邦画)]

今回は3本制作された1972年の作品の中から、シリーズ第9作となる1本について記します。この作品はシリーズ初の海外ロケ(フィリピン)を行った作品でもある。

シリーズ第9作喜劇・誘惑旅行
作品データを記しておくと、1972年の松竹作品で、時間は93分、監督は瀬川昌治、脚本は下飯坂菊馬と瀬川昌治の2人、撮影は丸山恵司、美術は熊谷正雄、音楽はいずみたくである。そして出演は、フランキー堺、倍賞千恵子、森田健作、尾崎奈々、川口まさみ、左とん平、森次浩司、安倍律子、佐藤允、たちである。

ひかり号の専務車掌の大沢泰三は、妻・弘子の活躍によって、クイズ番組に優勝して、フィリピン旅行を手に入れた。ということで、同僚達に祝福されて家に帰った。が、ドル・ショックのため、スポンサーの都合でフィリピンに招待されるのは弘子1人ということになってしまった。落ち込む泰三だったが、何処に幸運があるか分からないもので、弘子が羽田-マニラ路線の10万人目の客となったため、夫婦で一週間のフィリピン・ツアーに招待されることになった。で、初めての飛行機を楽しむ2人。が、フィリピンに到着すると、スポンサーの招待は弘子1人なので、弘子はスポンサーのマニラ駐在員・三宅に連れて行かれてしまった。で、泰三は機内で知り合ったデザイナーの卵である清美を弘子の身替わりと言うことにして、航空会社の案内を受けることにした。夫婦が別行動ということになるが、弘子は案内されたクラブで、泰三と瓜二つのフィリピン人・アポカバーナと出会い、彼の別荘に誘われ、泰三は清美と共に夜の町に繰り出した。で、夫婦はそけぞれ旅先での別行動を楽しむことになる。が、清美もアポカバーナの別荘で開かれるファッションショーに招待されていて、みんなはアポカバーナの別荘へ。そんな中、清美は適当に泰三をあしらいながら三宅と親しくなっていく。そんな中、一同はアポカバーナの部落に行き、変な歓迎をされる。弘子は酋長アポカバーナに気に入られ、泰三は酋長の第一夫人に熱く歓迎される。が、それぞれが何とかして熱烈歓迎から逃れ、部族の風習の怖さを思い知らされていた。何だかんだで一週間が過ぎ、色々と騒動があったが、泰三と弘子は帰国する日となる。たくさんの土産を買い込んだ泰三と弘子の前に、三宅と清美が見送りに来た。小宅は来月からは日本勤務になると言うことで、清美と結婚して帰国することになったと告げた。これにショックを受けた泰三だった。また、アポカバーナも弘子の見送りに来ていた。ということで、フィリピンの最後まで珍騒動を繰り広げていた泰三と弘子だったが、日本に向かう飛行機に乗り込み、フィリピンを離れた。

今までのシリーズ作品と大きく違っていて、鉄道員ということはどうでも良いことになっている作品であり、しかも海外(フィリピン)を舞台にしている。主演のフランキー堺の二役というのも、同様にシリーズの中では異彩を放つことになっている。

一方、舞台がフィリピンということで、フィリピンの観光をしている気にさせてくれるところや、その旅先で珍騒動が起こるという所は、本シリーズらしいところでもある。

シリーズの特徴をしっかりと受け継ぎながら、シリーズの中では異色とも言える所があって、ここのところ低迷気味だったシリーズが復活したような楽しい作品でした。

 

喜劇 誘惑旅行 [DVD]

喜劇 誘惑旅行 [DVD]

  • 出版社/メーカー: 松竹ホームビデオ
  • メディア: DVD


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:映画

ケータイ刑事銭形泪15話(2nd.2話)[裏ネタ編]PART 7 [ケータイ刑事]

BS-TBSの再放送に合わせて記している「銭形泪・裏ネタ編」の増補も、今回からは2nd.2話の「音で人を殺せるか? ~売れっこ漫画家殺人事件」に突入です。この物語の「裏ネタ編」は過去にPART 6まで記している(2009/1/1、3、6、8、12、15日付けで記しています。)ので、PART 7からということになります。今回はサブタイトルにある言葉から「」について、「売れっ子」について、「漫画家」について、そしてこの物語の被害者である胡桃割一郎の名前の元ネタとなる「胡桃沢耕史」について記します。尚、「音」と「漫画家」については「・15話(2nd.2話)[裏ネタ編]PART 1」て゜記したものをベースにして加筆しました。

また、この物語について過去に記した記事については「ここをクリック」してご覧下さい。

」:物体の振動が空気の振動である音波として伝搬されて起こす聴覚の内容のことである。若しくは、音波そのもののことを指して言う。(目には見えないものである。)

音には「三要素」と呼ばれるものがあって、この3つによって音は色々と変わったものへとなる。「音の三要素」とは「強さ/高さ/大きさ」である。「音の強さ」は音波の物理的強度に応じたものであり、「音の高さ」は音波の振動数(周波数)の高低による音の性質の違い、「音の大きさ」は感覚上の音の大小に対応している。これらの3つは独立したものであって区別されるものである。

また、音の伝搬速度、つまり音速は、音を伝える媒質によって異なるものである。空気中では秒速「331.5 + 0.61t 」m(tは摂氏温度)であり、気温が14゜Cの時が約340m/sとなる。また、水中では約1500m/sである。(やはり水温によって少しだけ変化する。)

人間は全ての音を聴くことが出来るものではなく、一般的に20~20kHzの音が可聴音域と言われている。CDの企画を決める場合、可聴音域を確保するということが基本とされ、そこからサンプリング周波数44.1kHzが決まっている。デジタルの場合は、可聴音域以外の音は全てフィルターでカットされているので、CDを中心としたステレオは再生上限周波数が20kHzで良いが、LPレコードではそれ以上の周波数をもった音が再生できる。(と言っても、RIAAカーブがあるので、高域は再生時に減衰させるので、可聴音域以上の音が記録されていてもかなり減衰されてしまいますが...)この辺りがCDが登場した当初、CDの音は固い音と呼ばれた原因とされている。

が、人間の聴覚は加齢と共に可聴上限周波数が下がっていく。20kHzまで聞こえると言われるのはせいぜい20代までとされている。(中には15才にもなると既に衰え始めているという意見もある。)

が、聞こえないはずの周波数の音の有無によって音の違いを感じるのはなぜなのかということになる。これについては、聞こえなくてもその音を体で感じているという説がある。よって、体で感じているからこそ、LPとCDの音の違いを感じられるとされている。また、同じものをステレオで再生した音を聴いた場合とヘッドホンで聴いた場合とでは違って聞こえるというのは、ヘッドホンによる立体音響が頭内定位となるとはいうものの、耳以外の部分で可聴帯域以上の音を感じているからとされている。(一応、スピーカーとヘッドホンは20kHz以上の再生能力を持っているものを使っているというのが前提でありますが...→が、スピーカーはスーパーツイーターを導入すれば、50kHz程度までの再生は簡単にできる。(当然、信号が含まれていることが前提である。が、近年のデジタル録音ではローパスフィルターが使用されており、可聴帯域以上の音はカットされることが多い。が、サンプリング周波数が96kHzや192kHzであれば、ローパスフィルターのカットオフ周波数をサンプリング周波数に連動させて上げていれば、40kHz/90kHzの音は簡単に収録出来ます。)しかし、ヘッドホンの場合では、25kHz程度までの再生能力を持つものは当たり前であるが、30kHz以上になると極端に少なくなる。これは振動板とボイスコイルの構造的なところからくることであり、仕方のない所である。が、一部のコンデンサー型ヘッドホンや、スーパーツイーターを用いた2ウェイ・ヘッドホンであれば、大型になるものの、スピーカーと同様に50kHz程度までの再生能力を持たせることは可能である。が、そこまでやる価値が無いので、行われませんが...

尚、FM放送やアナログTV放送の音声の上限周波数は15kHz、AM放送は8kHzとされている。AM放送の音声は、音楽を聴くには高音域が足りないと誰もが感じるが、FM放送では高音域が足りないと感じない人も多いが、これは可聴周波数の上限値が(加齢によって)下がってきていることも影響しているとされている。

ちなみに、20kHz以上の音が実際にオンされているものは、クラシック音楽のコンサートを収録したものや、アコースティック楽器を使ったライヴなどであり、エレクトリック・サウンドのポップスや、エレキギターなどを使用しているロックでは殆どない。(エレクトリック楽器では可聴帯域以外の音をだすことはしない。)

ところで、音の伝搬速度を基準にした速度を表す単位がある。それは「マッハ」であるが、これは音速との比で表す無次元数(単位がない)である。主に航空機などの速度を表すのに用いられるが、これは気温15゜Cの音速、すなわち約1225km/hに対する比である。(実際、航空機が飛行する成層圏では、気温が地表と比べて50~70゜Cほど気温が低いため、音速は300m/sぐらいになるが、そこまで考慮して音速に対するマッハ数を算出しても意味がない。)

また、マッハ1よりも早くなる(音速よりも早くなった場合)には、超音速で移動するものの周囲に衝撃波が発生する。これは音速以上で伝搬することになるが、急激な減衰をするため、直ぐに音波となって(音速で)伝搬される。そして人の耳に到達する時には、所謂「爆発音」となっている。

尚、「音」のことは英語では「Sound」、ドイツ語では「Ton」、フランス語では「Son」、イタリア語では「Suono」、スペイン語では「Sonido」と言う。が、音には様々なものがあって、雑音、騒音、耳障りな音については(英語では)「Sound」とは言わずに「Noise」と言う。(「Noise」も「Sound」の一部ではありますが...)

売れっ子」:とても人気があって持てはやされている人のこと、すなわち「人気者」のことである。しかし、人気というのは常に変化しているので、ある意味では「流行している人」と行っても差し障りは無いでしょうね。また、「流行児(はやりっこ)」という場合もある。

元々は、花柳界に於いて、方々でお座敷のかかる人気のある芸妓のことを「売れっ妓(こ)」と行っていたが、それが転じて「売れっ子」という言葉になったものである。

英語では「Popular Person」または「Sought-after Person」と言う。(前者は「人気者」、後者は「引っ張りだこの人」というのが本来の意味である。

漫画家」:漫画を書くことを職業としている人のことである。(漫画作家と言っても良い。)尚、ここで言う漫画とは、一コマ漫画、四コマ漫画、短編、長編などの漫画の種類は問わない。英語では「Caricaturist」若しくは「Cartoonist」という。しかし現在では、日本の漫画家は「Mangaka」または「Manga-Artist」と呼ばれ、それ以外の国の漫画家は「Caricaturist」若しくは「Cartoonist」と呼ばれる様になっている。→日本の漫画家は、アシスタントが手伝うこともあるが、基本的に作品の全ての作業を行って仕上げるため、個人の著作物となる。一方、アメリカなどではチームとして分業体制で漫画を仕上げる。(チームの著作物となるが、一般的には出版社が持つことになる。)そのため、日本の漫画家は特異な存在となり、「Caricaturist」とは区別されることになった。(と言っても、アメリカでも日本の漫画家と同様に、全てを1人で仕上げる漫画家も存在しており、日本でもチームとして作品を仕上げる漫画家もいますけど...)

尚、漫画作品の中には、物語の作者と絵の作者とが異なる場合がある。(オリジナルの書き下ろし小説の場合もあるが、原作小説があって、それの漫画化という場合である。)この場合は、物語の作者を「漫画原作者」と言って、絵の作者(=漫画家)とは区別される。

また、売れっ子漫画家となると、抱えている連載の数も多くなったりするため、1人で全ての作業を行う時間が無いということもあって、アシスタントを雇っているのが普通である。で、アシスタントになるのは漫画家志望の若者というのが多く、弟子となることも珍しくない。(やがて独立して独り立ちした漫画家になるのを目標にしている人が多い。)

こういうことを考えると、この物語に登場した売れっ子漫画家・胡桃割一郎には、アシスタントが1人しかいなかったということを考えると、ちょっと寂しいところですね。少なくと週刊漫画誌には連載を持っていないと思って宜しいかと...(「プリマをねらえ!」は月刊漫画誌への連載ではないかと思われる。)

胡桃沢耕史」:1925年、東京生まれの作家で、1994/3/22に68歳で亡くなった。戦後、シベリアでの抑留生活の経験があったり、世界に放浪の旅に出るなどの経験がある。また、NHKでプロデューサとして活躍した時期もある。作家としては、本名の「清水正二郎」の名前で活動していたが、性豪小説が中心であった。数多くの作品を発表したものの、64作品が発禁処分となり、執行猶予付きの有罪判決を受けている、という経歴がある。1977年に「胡桃沢耕史」の名前で作家として復帰して、冒険小説を発表する。それ以後は海外での経験を元にした作品を書いている。そして1983年には第89回直木賞を「黒パン俘虜記」で受賞した。(胡桃沢としての)代表作としては「翔んでる警視」シリーズがある。

彼は1994年に亡くなったが、彼の墓は直木三十五の墓の隣にある。が、ここで面白いのは、直木三十五は「・1st.7話」に登場した恋愛小説家・芥川三十五のモデルになっていて、ちゃんの愛読書(恋愛小説「時に愛は命を奪う」(「トキウバ」))の作家である。一方、この物語の売れっ子漫画家・胡桃割一郎も泪ちゃんの愛読書(漫画「プリマをねらえ!」)の作家であり、そのモデルになったのが胡桃沢耕史である。つまり、ちゃんの愛読書の作家のモデルになった2人のお墓が隣にあるというのは凄いことですね。(これらの2つの物語の脚本は渡邉睦月さん(「1st.7話」)と渡辺千穂さん(2nd.2話=この物語)ということで、苗字は同じ「わたなべ」であるが別人である。)偶然としたら出来すぎているように感じられるだけに、狙っているようなきもするのだが、真実は如何に...???(が、ちゃんの愛読書となった作家は共に殺されているのだから、そっちの方がより怖いと感じてしまいますけど...)

 

ケータイ刑事 銭形泪 DVD-BOX II

ケータイ刑事 銭形泪 DVD-BOX II

  • 出版社/メーカー: ハピネット・ピクチャーズ
  • メディア: DVD

↓参考まで

音のしくみ (図解雑学)

音のしくみ (図解雑学)

  • 作者: 中村 健太郎
  • 出版社/メーカー: ナツメ社
  • 発売日: 2005/05
  • メディア: 単行本

音のなんでも小事典―脳が音を聴くしくみから超音波顕微鏡まで (ブルーバックス)

音のなんでも小事典―脳が音を聴くしくみから超音波顕微鏡まで (ブルーバックス)

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 1996/12
  • メディア: 新書

トコトンやさしい音の本 (B&Tブックス―今日からモノ知りシリーズ)

トコトンやさしい音の本 (B&Tブックス―今日からモノ知りシリーズ)

  • 作者: 戸井 武司
  • 出版社/メーカー: 日刊工業新聞社
  • 発売日: 2004/10
  • メディア: 単行本

音のなんでも実験室 (ブルーバックス)

音のなんでも実験室 (ブルーバックス)

  • 作者: 吉澤 純夫
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2006/06/21
  • メディア: 新書

漫画家誕生 169人の漫画道

漫画家誕生 169人の漫画道

  • 作者: 中野渡 淳一
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2006/03/29
  • メディア: 単行本

マンガのしくみ―プロのマンガ家を目指す人のグラフィックバイブル

マンガのしくみ―プロのマンガ家を目指す人のグラフィックバイブル

  • 作者: 山猫
  • 出版社/メーカー: ワークスコーポレーション
  • 発売日: 2006/03/27
  • メディア: 大型本

↓いくつか

天山を越えて 日本推理作家協会賞受賞作全集 (43)

天山を越えて 日本推理作家協会賞受賞作全集 (43)

  • 作者: 胡桃沢 耕史
  • 出版社/メーカー: 双葉社
  • 発売日: 1997/11
  • メディア: 文庫

翔んでる警視正〈新世紀篇-1〉 (広済堂文庫)

翔んでる警視正〈新世紀篇-1〉 (広済堂文庫)

  • 作者: 胡桃沢 耕史
  • 出版社/メーカー: 廣済堂出版
  • 発売日: 1994/11
  • メディア: 文庫

翔んでる警視 ベストセレクション (広済堂文庫)

翔んでる警視 ベストセレクション (広済堂文庫)

  • 作者: 胡桃沢 耕史
  • 出版社/メーカー: 廣済堂出版
  • 発売日: 2001/04
  • メディア: 文庫


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:テレビ

名曲探偵アマデウス#57 ピアソラ「リベルタンゴ」 [ドラマ]

今月の新作は2本だけであるが、その2本目となるのが今回でしたが、今までとは少し感じが違い、かなり新しい曲(1974年に発表された曲)であるピアソラ「リベルタンゴ」が取り上げられました。しかも、クラシック音楽というよりはポピュラー音楽(ワールドミュージック)という気もするのだが、今までにこういう曲が取り上げられなかっただけに、ちょっと新鮮でした。

タンゴということで、基本となるバンドネオンの解説があったが、アコーディオンとの音の違いまで語られていたのは良かったですね。(前回の古楽器についても、聞き比べての解説だけに、実によく分かるところでした。)

そんな中、カノンさんは冒頭でゼスチャーで所長に語りかけていたが、傑作として知られている「銭形泪」の第17話(2nd.4話)を思い出させてくれるところがありました。しかも、所長の解釈ということでは「銭形泪・29話(2nd.16話)」や「銭形愛・18話」「銭形舞・11話」などを思い出させてくれました。また、小ネタの方は色々とあったが、カノンさんと依頼人とがタンゴを踊っていた所は、画面の方にも一工夫されていて、細かい所まで凝った演出をしていたが、やはり「ケータイ刑事」でも見られた演出と同じということもあって、やっぱり意識していますね。まして、依頼人の過去の大ヒット曲『黒い涙を流した女』という曲名であるが、どことなく「銭形泪」をいじっているようですし...

冒頭では、声が出なくなったカノンさんがゼスチャーでそれを所長に伝えようとする。が、所長は高村さんや五代さんと同様に、(カノンさんの言いたいことと)全く違うように解釈する。所長とカノンさんのコンビの波長が合っているからこそ、こういう面白いことが出来るのですよね。

そんな所に依頼人が登場するが、まずはカノンさんに対してのど飴をといって、(依頼人が)通販でやっている「プロフェッショナルのど飴」を渡。で、口にしたカノンさんは元の声が出るようになった。それにしても、声が出るかのテストをするカノンさんが「本日は晴天なり」って、マイクのテストでお馴染みの台詞を口にするのは楽しいですね。

依頼人は、演歌歌手で、かつて『黒い涙を流した女』という曲のヒットを飛ばしていた。(自分で「これ一曲だけ」と言っていたが、一発屋ということですね。が、最近のように「懐メロ」が色々と取り上げられる用になると、たくさんのヒット曲を持っている人よりも一発屋の方が逆に目立つのですよね...)所長がEPレコードを取り出してサインを頼んでいたというのは面白い所でした。(あの所長もミーハーなところがあったのですね。)

依頼人は、最近では通販番組をやったり、ブログに力を入れているなど、新しいことを色々とやっているが、それらはマネージャーが取ってきた仕事ばかりであった。で、その新人マネージャーをちょっとしたことでクビにしたが、その彼から「リベルタンゴ」のCDが送られてきた。が、その意味が分からないということで、相談にやってきたのだった。

ということで、所長は依頼を受け、「リベルタンゴ」についての簡単に説明から入っていくことになる。いつものように「聴いてみましょう」ということになるが、カノンさんが聴いたことがあると言ったのはヨーヨー・マのものだったが、それを「日本人」と思っていたという所はカノンさんらしいところであり、それを「中国人」と直ぐに訂正する所長も所長らしいところでした。

で、この曲にはヒット曲の要素がある、ということで、それが語られる。「単純・シンプル」というのは何でもそうだが、「オスティナート/リフ」というのもそうですよね。確かにヒット曲というのは単純なメロディをちょっとした工夫によって頭に残るようにしたものが多いですよね。それにしても、リフの話の所でROLLING STONESの『Jumpin' Jack Flash』が出てくるとは思いませんでした。(ピンクレディの『UFO』の方は、所長の年代を考えたら分かりやすい曲と言うことになるので難無く理解できますけど...)

更に、「ギザギザの旋律」について語られる。これは、今までにも何度か語られたことでもあるが、楽譜に於いての視覚的な楽しみとして仕掛けられていることでもありくすね。が、名曲と呼ばれる曲って、何故かこういうことが多いと言うのは面白い所です。

で、依頼人は元マネージャーからのメッセージとして「この曲を歌えってことかしら」ということで歌い出すが、少し歌ったところで「カーン!」という音が響いた。カノンさんが茶目っ気たっぷりに、のど自慢の「不合格」ということをやってくれるが、楽しいカノンさんですね。(また、「銭形雷・33話(2nd.7話)」を思い出すところでもありました。)

そして、グレイス・ジョーンが歌った「リベルタンゴ」が流れるが所長のノリノリと、冷静さを保っているカノンさんの対比が面白い所でもありました。また、カノンさんは「タンゴというと」ということから依頼人と目があって、タンゴ(「ラ・クンパルシータ」)を依頼人と踊るところでは、古ぼけた映画をイメージした画面になっていたが、細かい所に拘るのは好きです。

続いてピアソラの独特の「3-3-2のリズム」について語られる。確かに「3+3+2=8」であり、「4+4」とは違ったアクセントによって違うものというのは興味深いところでした。

で、特徴を前面に出したら、ということで、依頼人が歌舞伎のようなキメポーズ(本人は青森のねぶたを意識した、と言ってましたが...)をするが、カノンさんは冷静に「何なんですかそれ?」と口にしたり「一発ギャグとして流行らせろ」という発想はやっぱりカノンさんですね。

これに続いて所長が、「(依頼人の)大きな体」ということを言っていたが、確かに所長は細身で小柄であるだけに、インパクトがありました。

続いて、タンゴについてと、タンゴには切っても切れない楽器であるバンドネオンについての解説がある。単語の歴史は約120年ということになっているが、日本では明治になっていたことになるが、思ったよりも歴史が浅いのはトリビアですね。また、バンドネオンについては、アコーディオンの仲間であるが、アコーディオンとは音色が違っている(違う楽器だから当たり前ですけど...)が、その特徴を活かせる曲があるからこそ、現在でも使われているということですよね。

また、この時にアコーディオンとの音の違いを実際に音の違いを聴かせてくれていて、とても分かりやすかったですね。(いつもながら、こういうところは分かりやすく解説してくれます。)

更に、ピアソラの人生について語られる。1921年生まれ(1992年没)ということで、写真や彼自身の演奏を録音したものが残っていて、それらを聴かせてくれるというのは親切です。→ベートーベンとかモーツァルト、バッハなどになると、彼の実際の演奏を録音したものは存在していないし、写真もまだありませんでしたからね。

また、タンゴの革命児と言われるピアソラであるだけに、ピアソラ研究家がいるというのも凄い所ですね。

また、所長は色々と語っていたが、慣れ親しんだもの、革新的なものについて語ったが、説得力がありますね。で、曲のタイトルに込められた意味についての解説で「自由なタンゴ」というのは、やはり単純なタイトルであるが、色々と億に秘めたものがあって、奥深さを感じました。

最終的にこの曲は「自分への応援歌」という結論に達し、依頼人は新天地に出る事を決意した。ということで、やっぱり今回も人生相談にもなっていた所長でした。

今回は、ドラマ部分は約36分45秒、曲が6分半、ラストのオチの所が45秒ほどということで、ドラマ部分がやや長めという構成でした。また、曲の所では異なる編曲の「リベルタンゴ」を2曲と言うことで、同じ曲が編曲によって全く違う曲となったものを聴かせてくれました。が、「リベルタンゴ」がスタンダード・ナンバーとして色々と姿を変えていることを思うと、心憎いことをやってくれるものです。あとは、HRアレンジや現代風ダンス・ミュージック・アレンジなどでも聴きたくなりました。

ラストのオチは、所長が読んでいるスポーツ新聞に「MURAKI」という文字を見つけたカノンさんが「ちょっと貸して下さい」と言って新聞を手にしてその記事を声を出して読んでくれる。ブロレス会場に謎の覆面レスラーが登場した。入場曲は「リベルタンゴ」だった。巨体を活かして勝利を納めたMURAKIは依頼人の往年の名曲『黒い涙を流した女』を熱唱すると去っていた。で、所長は「そっちへ行ったか...」と漏らしていた。

今回は、この番組では(普段では)流れることがないストーンズやピンクレディの曲が少しだけとはいうものの流れたというのは、ロックファンや歌謡曲ファンにとっても親しみやすくなるところでしたね。また、考えてみると、音楽がクロスオーバーしていき、「クロスオーバー」というジャンルとして扱われるようになったのが1970年代になてからで、「リベルタンゴ」の発表時期に近い。そして'70's終盤には「フュージョン」という言葉が生まれることになり、様々な音楽を融合させた新たな音楽は'80年代になると色々と登場しました。そしてそれらは'80's後半のワールド・ミュージックのブームを生み出した。そういうポピュラー音楽の歴史を考えると、「リベルタンゴ」は音楽が融合して発展していくことになったハシリとなった時期に生まれた曲ということになり、クラシック音楽というよりも現代音楽の流れに含まれた名曲だったと思える。そんな曲を「クラシック」ということを言っていた扱うこの番組が取り上げたというのはとても大きなポイントですね。→この番組も「新天地に向けて新たなスタートを切った」と解釈出来ますし、今回の物語は色々と奥深いものがあった物語でした。(当然、所長とカノンさんのコンビで3年目に突入してくれますよね?)

次の新作(ファイルNo.058)は3/7まで間に2週間空きます。ということで、再放送となる来週(2/21)は、ファイルNo.021のチャイコフスキーの「くるみ割り人形」です。これは2008/12/6が初放送だったので、1年以上前のものということになります。内容もクリスマス・プレゼントでくるみ割り人形が送られてきたということから繰り広げられる物語でした。また、2/28も何かの再放送ですが、そちらは比較的最近のものの再放送になることと思います。で、3/7になって、ファイルNo.058のストラヴィンスキー「バレエ曲『春の祭典』」の登場となります。

 

ピアソラ:リベルタンゴ

ピアソラ:リベルタンゴ

  • アーティスト: アストル・ピアソラ
  • 出版社/メーカー: Naxos
  • 発売日: 2008/02/06
  • メディア: CD

リベルタンゴ

リベルタンゴ

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: キングレコード
  • 発売日: 1999/09/03
  • メディア: CD

↓ピアソラ以外の「リベルタンゴ」も拾っておきます。

リベルタンゴ

リベルタンゴ

  • アーティスト: ラ・クァルティーナ
  • 出版社/メーカー: マイスター・ミュージック
  • 発売日: 2006/10/24
  • メディア: CD

ベスト・アルバム

ベスト・アルバム

  • アーティスト: ヨーヨー・マ,ピアソラ,オコーナー,バッハ,ドヴォルザーク,ポーター,プレヴィン,モーツァルト,ボッケリーニ
  • 出版社/メーカー: ソニー・ミュージックジャパンインターナショナル
  • 発売日: 2004/11/17
  • メディア: CD
リベル・タンゴ

リベル・タンゴ

  • アーティスト: アル・ディ・メオラ,マリオ・パルミザーノ,ジョン・パティトゥッチ,アート・タンクボヤチオアン,ハーマン・ロメロ,グンビ・オーティズ,ジラード,トロント交響楽団
  • 出版社/メーカー: ユニバーサル インターナショナル
  • 発売日: 2000/10/25
  • メディア: CD
リベル・タンゴ ~タンゴ・フォー・4

リベル・タンゴ ~タンゴ・フォー・4

  • アーティスト: タンゴ・フォー・4
  • 出版社/メーカー: ワーナーミュージック・ジャパン
  • 発売日: 2000/03/23
  • メディア: CD
哀愁のリベルタンゴ

哀愁のリベルタンゴ

  • アーティスト: マーク・ヴァン・ローン,フランス・ホーヴァン,ロイ・ダッカス,チャーリー・マリアーノ
  • 出版社/メーカー: ポニーキャニオン
  • 発売日: 1999/12/17
  • メディア: CD
リベルタンゴ

リベルタンゴ

  • アーティスト: ジャンニ・ベドール,ジュゼッペ・プレスティピーノ,ジャンニ・ジリオリ,マーレーン・ケシック,アンドレア・ポッギ,フィリッポ・ダッコ,アンベルト・ベネデッティ・ミケランジェリ,エルサ・パッラビチニ,パオロ・セイビ,フェリス・ダ・ビア
  • 出版社/メーカー: キング・インターナショナル
  • 発売日: 1999/01/22
  • メディア: CD

↓「ケー刑事」で思い出した物語が収録されているものを拾っておきます。

ケータイ刑事 銭形泪 DVD-BOX II

ケータイ刑事 銭形泪 DVD-BOX II

  • 出版社/メーカー: ハピネット・ピクチャーズ
  • メディア: DVD

ケータイ刑事 銭形愛 DVD-BOX

ケータイ刑事 銭形愛 DVD-BOX

  • 出版社/メーカー: ハピネット・ピクチャーズ
  • メディア: DVD
ケータイ刑事 銭形舞 DVD-BOX

ケータイ刑事 銭形舞 DVD-BOX

  • 出版社/メーカー: TBS
  • メディア: DVD
ケータイ刑事 銭形雷 DVD-BOX 3

ケータイ刑事 銭形雷 DVD-BOX 3

  • 出版社/メーカー: ハピネット・ピクチャーズ
  • メディア: DVD

nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:テレビ

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。