「THE QUICK GUN」 [映画(洋画)]
表題の作品は1963年のアメリカ映画「クイック・ガン」である。近年では殆ど製作されなくなった西部劇である。当時は西部劇が多数製作されていたが、そんな中の一本という感じの作品である。
作品データを記しておくと、時間は87分、原作はスティーヴ・フィッシャー、監督はシドニー・サルコウ、脚本はロバート・E・ケント、撮影はレスター・ショア、音楽はリチャード・ラサールである。そして出演は、オーディ・マーフィ、メリー・アンダース、ジェームズ・ベスト、テッド・デ・コルシア、レイモンド・ハットン、ウォルター・サンド、たちである。
ガン・ファイターのクリントは、誤って大牧場主・トムの息子たちを射ってしまって旅に出ていた。そんなクリントが久しぶりに帰ってきた。一方、町の方は、ある無法者の集団に狙われていた。無法者のスパングラーとクリントは過去に一緒に仕事をした繋がりがあって、スパングラーはクリントに仲間になるように脅されるが、それを拒否したクリント。一方、クリントの愛人だったヘレンは、そのことを知ると、町を離れるようにクリントに言うが、クリントは町のために無法者たちと戦うことを決める。一味は銀行を襲うと、町の人を人質にして逃走する。その人質のナスにはヘレンもいて...
西部劇の教科書に載っているような展開で物語が進んで行くということで、ある程度西部劇を見ている人にとっては全く面白みもない作品になっているのが残念な所である。しかし、西部劇に於ける物語の展開、登場人物の設定や相互の関係という所は、西部劇とはこういうものということを学ぶのにはもってこいという作品である。
西部劇が多数あった時代では、これという特徴もなく、可もなく不可もなしという作品でしかなかったが、西部劇が殆ど制作されなくなった現在では、逆に西部劇を知るためにはピッタリという作品である。これは、日本では時代劇が大量に制作されていた時代があったが、現在では時代劇の製作本数が少なくなっている。そんな中、時代劇にはお約束という展開があって、それを守っているものとして「水戸黄門」などがあるが、時代劇の定番の設定や展開(=「お約束」と言ったらいいですかね...)を学ぶのには「水戸黄門」を見るのがピッタリということと同じである。まあ、そういう古き良き時代の西部劇の1本ということです。
が、以前はLDでリリースされていた本作であるが、DVD化もされておらず、見ようとしても難しくなっていますが...
↓本作はソフトが無いので、西部劇に関するものを拾っておきます。
ASSOCIATES『THE AFFECTIONATE PUNCH』 [音楽(洋楽)]
表題のアルバムは1980年に発表された彼らのデビュー・アルバムである。英国・スコットランド出身の彼らであるが、本アルバムは色々とあって、オリジナル版は完全に葬り去られる存在となっていた。特に、1982年に本作のリミックス・アルバム(収録曲は同じであるが、再録音をして、曲順も変更されている。)がリリースされてからは完全に無いもの扱いとなっていた。その幻のデビュー・アルバムがリマスターされて登場したということで、貴重なアルバムである。
収録曲は、オリジナル版では全10曲であったが、2005年にリマスターされたときに4曲のボーナス・トラックが追加されて、現在では全14曲になっている。収録曲は以下の通りである。『The Affectionate Punch』『Amused As Always』『Logan Time』『Paper House』『Transport To Central』『A Matter Of Gender』『Even Dogs In The Wild』『Would I.Bounce Back』『Deeply Concerned』『A』。(以下、ボーナス・トラック)『You Were Young』『Janice』『Boys Keep Swinging (Mono Version)』と『Mona Property Girl』。
この中からシングル・カットされたのはアルバム・タイトル・ナンバーの『The Affectionate Punch』と『A』の2曲であるが、特にチャートインする程のヒットにはなっていない。また、彼らのデビュー・シングルである『Boys Keep Swinging』(D. BOWIEのカヴァーである。)がボーナス・トラックとして収録されたというのも嬉しい所である。
お薦め曲はアルバム・タイトル・ナンバーでもある『The Affectionate Punch』と、『Amused As Always』『Logan Time』『Deeply Concerned』をピックアップしておく。尚、ボーナス・トラックとして収録されたデビュー・シングルの『Boys Keep Swinging』はモノラル・バージョンということで、これは大変貴重なものである。
'70's終盤のディスコ・サウンドの世界的なブームの中、ロックの世界では「パンク」とそれに変わるものとして「ニューウェーブ」と呼ばれるものが次々と登場してくるが、彼らもそういうポスト・パンクの系列のバンドである。彼らがヒットを飛ばすことになるのは1982年の3rd.アルバムからであるが、メンバーのビリーとアランの音楽的な相違からアランの脱退によって、ASSOCIATESはビリーのプロジェクトになっていく。デュオとしてはASSOCIATESを名乗る前にも発表した曲があるが、その時代も短く、2人によるアルバムはヒットし無かったこともあって、入手しにくい状況であった。そんな中で、幻のアルバムである本作がリイシューされたということは、これだけで貴重な資料である。特にビリー1人になってからはいくつかのヒット曲が生まれていて評価されているだけに、無名時代の作品は貴重である。資料性と言うことでも価値の高いアルバムである。(特にUKロックがお好きな方にはお勧めである。)但し、'80'sポップスがお好きな方には向かないサウンドですけど...
ケータイ刑事銭形泪22話(2nd.9話)[裏ネタ編]PART 8 [ケータイ刑事]
「銭形泪・裏ネタ編」も今回からは通算では22話となる2nd.9話の「シャーロキアンは知っている ~『赤毛連盟』殺人事件」に突入です。この物語の「裏ネタ編」は過去にPART 7まで記している(2009/4/9、11、12、14、16、18、20日付けで記しています。)ので、PART 8からということになります。今回はサブタイトルにある言葉に関しての補追と言うことで、「シャーロキアン」について、「『赤毛連盟』」について記します。尚、「シャーロキアン」については「泪・22話(2nd.9話)[裏ネタ編]PART 1」で記し、「命・7話[裏ネタ編]PART 2」で加筆した者をベースにして更に加筆し、「『赤毛連盟』」については「泪・22話(2nd.9話)[裏ネタ編]PART 1」で記したものをベースにして加筆しました。
また、この物語について過去に記した記事については「ここをクリック」してご覧下さい。
「シャーロキアン」:英語では「Sherlockian」という。アーサー・コナン・ドイルが書いた小説・シャーロック・ホームズ・シリーズの主人公・シャーロック・ホームズの研究者と熱狂的なファンのことを指している言葉である。但し、イギリスではホームジアン(Holmesian)と呼ばれている。
シャーロキアンの間では、A・C・ドイルの小説「シャーロック・ホームズ」のことを「正典」と呼び、様々な研究が行われている。(例えば、ホームズの年収は?ワトソンのミドルネームは?等)これはキリスト教の聖書研究を意識してのことでもあって、パロディ精神にも満ちたイギリス流のユーモアが表れているところでもある。また、中にはホームズは女性であったと主張する研究まであるほどで、芸能レポーターも顔負けというほど、ありとあらゆることが研究され、様々な説が語られている。また、ホー蒸す・シリーズの多くはワトソンが執筆したという設定のものが多いが、シャーロキアンはワトソンが執筆者と考えているのは常識である。
当然、研究対象はホームズだけに限られるものではなく、ワトソンのミドルネームや結婚について、更にはライバル・モリアーティ教授の論文「小惑星の力学」の内容について、というようなものも研究対象になっている。当然ながら、各作品の舞台となった場所に於いて、凍死せょうした屋敷がどれであるかという研究も盛んに行われている。(この研究で有名なのが「バスカヴィル家の犬」に登場するバスカヴィルホールという屋敷の特定である。)
また、ホームズが「最後の事件」で滝に落ちて死亡したと思われていたが、「空き家の冒険」で帰還するまでの間、何処で何をしていたのかを研究したものや、ホームズ小説の中で事件名だけしか登場しなかった事件の内容についての研究、ホームズを始め登場人物が利用した鉄道路線の特定などは有名な研究として知られている。
一方、シャーロキアンの集まりである組織としては、ホームズの本国のイギリスには「シャーロック・ホームズ協会」という組織がある。(→イギリスのクラブということで、女性は入会できないところが「伝統」を重んじているイギリスらしい所でもある。)最も古いのは1934年に設立されたアメリカ・ニューヨークのベーカー・ストリート・イレギュラーズであり、世界各地にその会は存在している。尚、日本では「日本シャーロック・ホームズ・クラブ」が1977年に設立されている。(これにはシャーロキアンであれば女性であっても入会することが出来る。)
「ケータイ刑事」ではこの物語で泪ちゃんと柴田太郎さんがシャーロキアンであるということが判明したのが最初であり、その影響で高村さんがシャーロキアンになったと言うことが「雷・2nd.5話」で語られている。但し、雷ちゃんはホームズには感心が無いということでした。で、命ちゃんもシャーロキアンと言うことが「命・7話」で語られるが、更にシャーロキアンがいることでしょうね。ただ、泪ちゃんや命ちゃんがホームズに対してどのような研究をしているのか、これについても知りたい所です。
尚、シャーロキアンとして知られている人物は作家には多く見られるが、推理小説を書いている作家はともかく、推理小説を全く書いていない作家の中にも多くいる。(小説としてそれだけ面白いと言うことでもある。)また、アメリカの第32代大統領のF・ルーズベルト(唯一の四選した大統領でもある。)もシャーロキアンとして知られている。
「『赤毛連盟』」:原題は「THE RED-HEADED LEAGUE」。1891年に発表された「シャーロック・ホームズの冒険」の中に収録された短編作品である。尚、この物語では「赤毛連盟」という邦題タイトルを用いて語られているが、「赤毛組合」「赤髪組合」という邦題タイトルもある。→「League」という単語の和訳の違いということになるが、「League」という単語の和訳で、組織を指すものとしては「同盟」「連盟」「協会」という単語がある。また「組合」を英語にすると「Association」や「Union」という言葉になる。これを考慮すると、筆者は「組合」という言葉を使うよりは「連盟」という言葉を使うべきだと思います。(物語の中に登場するのは互助組合と言うことのできるものであるが、作者のドイルの付けたタイトルの単語を優先するべきだと思います。)
この物語は、作者であるドイル自身も気に入っている作品であって、自薦の作品の中でも第2位に位置づけている作品である。また、本作ではワトソンが結婚しているということで、ホームズとの同居ではないということもある。ということで何かと注目度の高い作品でもある。(ホームズの初心者であれば早い内に読んでおきたい作品でもある。)
簡単なストーリーは、劇中で泪ちゃんが語っているが、概ね以下のようなものである。
1890年のある日、ベイカー街221Bのホームズの元に、ジェイベズ・ウィルソンという赤髪の男が尋ねて来た。彼は質屋の経営者であり、アルバイトとして雇っているヴィンセント・スポールディング(相場の半額で雇うことが出来た者である。)から簡単な作業で高額な収入を得ることができるという話を聞かされ、その話に乗った。その仕事とは、赤毛の人間だけで組織された「赤毛連盟」という組織のものであり、毎日決まった時間(10時から14時)に指定された決められた事務所に行き、そこで大英百科事典を書き写すだけ、というものだった。報酬は高額で、週に4ポンド(年収に換算すると200ポンドとなるが、これは当時の家庭教師の年収の約4倍になる。)にもなるというものであった。彼はその仕事をしていたが、数週間後、「赤毛連盟は解散した」という張り紙が貼ってあって、事務所は閉鎖されてしまった。ということで、彼は赤毛連盟の仕事仲間・ダンカン・ロスの名前を頼りにして調査を行う。しかし何も分からず、ホームズに調査を依頼しに来たのだった。ホームズはこの事件に興味を持ち、依頼を引き受けた。
ホームズは調査を開始する。で、依頼人・ウィルソンの店は銀行と背中合わせになっている建物にあり、しかもウィルソンはそこに住んでいた。「赤毛連盟」というのは強盗グループが銀行に通じるトンネルをウィルソンの家から掘るため、一日中店兼住居にいるウィルソンをそこから遠ざけるためのものであり、赤毛連盟の事務所にウィルソンがいる間にトンネルを掘っていた。解散したのはトンネルが完成したためであった。ホームズの推理によって強盗グループの計画はホームズに知られることとなってしまったのだった。
尚、この作品のトリックは「赤毛トリック」と言われる様になり、ドイル自身も気に入っていると言うことで、後の作品である「三人ガリデブ」と「株式仲買店員」でも使っている。
そんなに長くない作品でもあり、作者自身もお気に入りの作品と言うことなので、読んでおいて損はしない物語である。特に、ホームズ作品をこれから読もうという方には、最初に読む物語にするのもいいかもしれないですね。兎に角この作品は読んでおきたい作品であり、お薦作品でもあります。当然、映像化もされている作品でもあるので、見る機会があれば見ておいて損はしない物語である。
↓いくつか
[オーディオブックCD] シャーロック・ホームズ 「赤毛連盟」
- 作者: シャーロックホームズ
- 出版社/メーカー: パンローリング
- 発売日: 2007/09/18
- メディア: CD
赤毛連盟 (ポプラポケット文庫―名探偵ホームズ (701-1))
- 作者: ドイル
- 出版社/メーカー: ポプラ社
- 発売日: 2005/10
- メディア: 単行本
↓この組み合わせは正に「ケータイ刑事」向けということも出来ますね...
名探偵シャーロック・ホームズ 赤毛連盟 まだらのひも (角川つばさ文庫)
- 作者: 作:コナン・ドイル
- 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
- 発売日: 2010/03/15
- メディア: 単行本
シャーロック・ホームズ 赤毛連盟/まだらの紐 (コミック版ルパン&ホームズ)
- 作者: コナン ドイル
- 出版社/メーカー: ポプラ社
- 発売日: 2009/03
- メディア: コミック